第14話 脳筋化学
狐の獣人、狐人種には魔術が使えるらしい。
と言っても、生活魔法に毛が生えたようなレベルみたいだけど。
狐人種に限らず、獣人の手は人の手とほぼ同じ形をしているらしい。
その手の甲に魔法陣らしき物があり、指の根本まで枝のような線が延びている。
親指が火を、人差し指が水を、中指が風を、薬指が土を、小指が命を司っているらしい。
トウカとタマモが練習している狐火とやらは、親指、中指、薬指をくっつけた形で使う複合魔術だそうだ。
なるほど、まさに狐の影絵のような形だ。
手に鉱石を握り、土魔術で抜き出した鉱物を火魔術で着火、風魔術で空に飛ばす花火のような物だった。
なるほど、この前地球で勉強した炎色反応ってやつなのか。
「お父さんが使っていた石を使ってるのに、あの緑色が出ないの。」
トウカが悲しそうにそう言うと、タマモが詳しいことを補足してくれた。
「私たち狐人種では新緑は神力に繋がるって事で、他の色より優遇されてたの。
でもそのお父さんはお母さんと一緒に鉱石を取りに行った時、不自然な落盤に巻き込まれて死んじゃったんだ。
門番の話では、お父さんたちの前後に街を出たのは他の狐火師が数人だけだって……」
「他の妬んだ狐火師に、か……」
新緑は神力。
異世界言語で翻訳されているとはいえ、どう考えても漢字に通じる物が根付いてる気がするな。
炎色反応を使った狐火とか花火みたいな物だし。
タマモの説明もあまり頭に入らない。
過去に俺以外の日本人がこの世界にいたのだろうか。
まあ脳筋の俺には関係ないや。
他の狐火師を軽くボコって白状させに行こう。
……2人に全力で止められた。
えー…、脳筋活動止められちゃったら何も出来ないじゃーん。
これだけ強くなれば全部力でゴリ押し出来ると思ったのに、世の中そんなに甘くないのかな……
とりあえず、体感的に数ヶ月前になるけど炎色反応は語呂合わせで覚えた気が…。
あれ?続き何だっけ?
もう1個緑があった気がするけど、とりあえず鉱石が黄銅鉱みたいだから、銅の緑なんだろう。
……なるほど、黄銅鉱だからか。
小難しい話させやがって、ここからは脳筋のターンだぜウェーッハッハ!
「この鉱石は主に2つの金属から出来てるんだけど…」
そう言いながら【金属精製】で黄銅鉱を硫化鉄と硫化銅に分ける。
「こっちが緑で、こっちは色が出ないから。
土魔術でこっちだけ動かせるように練習するといいよ。」
はい解決ー!
これ以上頭つかえませーーーん!
ぽぴーーーー!
ボコボコにするのがダメなら脅しに行こう!
今後の2人のために!
……決して暴れたいだけじゃないよ?ウホウホ。
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