閑話2 地球での日常1

 平和だ。

 無事に目が覚める事が、知っている天井である事が、着慣れたパジャマと自分の布団。


 こうして朝を迎える事がどれだけ幸せなのか。

 異世界に召喚されるたびに思い知らされる。

 日常の平和をかみしめ、今日も目覚ましが鳴る前に目を覚ます。


 目覚まし時計は5時にセットしているが、いつも4時59分に目覚めるのだ。

 俺はもう30秒ほどで鳴るはずの目覚まし時計を止めるため、手をスイッチに伸ばし………

 あれ?3時半?


 

 震える手をスマホに伸ばし、時計を確認……出来ない。

 昨夜寝落ちしたせいか、充電せずに寝てしまったようだ。

 やってたスマホゲームを終了させた記憶も無い。


 恐る恐るテレビをつけると、画面から聞こえる「おはようございます。」

 まだ朝であることに少しだけほっとするが、言っているのはスモール倉さん。

 つまりこれはとく○ネ!午前8時!

 お帰りスモール倉さん!


 今日のバイトの現場は近所、仕事開始は8時半!

 急いで着替えて走れば間に合う!

 まだ泡出るハンドソープ!じゃなかった、まだ慌てる時間じゃない!


 スマホは移動しながら手回し充電器で充電だ!

 超高速で回転させれば、少しは充電できるはず。


 着替えてゴー!


 道もガン無視直線距離で【ホップ】・【ステップ】・【ジャンプ】・【エアリアル】・【セカンドジャンプ】・【エアダッシュ】・【ホバー】・【カタパルト】!



 この日、UFOが各地で目撃された。


 異世界基準で近いと勘違いした現場までは約100km。

 つまり、20分で行くなら時速300kmとなる。

 さらに高速回転する充電器はサイレンのような騒音をまき散らしていた。


 しかし写真も動画も間に合わなかったため、ネットでウソだ本当だと言い合って炎上しているが、本人は既に作業着でラジ○体操中であった。


「さあ!今日も一日頑張るぞー!」



 え?召喚魔法陣?

 21回目と22回目の間は1ヶ月あったし、昨日戻ってきたんだから次は来月くらいじゃないの?

 召喚オチだと思った?

 残念でしたーーー!




(ブォン)

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