第11話 帰宅と帰還
帰ってきた。
後はもう安心じゃないの?
王様も既にいないし。
え?なんか適当じゃないかって?
そりゃそうだろう。
俺がクレアを抱っこして帰る予定だったのにいぃぃぃぃぃ!!!
シロとクロのトカゲ野郎どもがよおぉぉぉぉ!!!
『姫は我らでお連れします!我らの初仕事として承りたく存じます!』
『アニキの手をわずらわせる訳にはいきません!俺達に任せてくだせえ!』
とか言っちゃってくれてんの!俺の楽しみ奪ってくれてんの!
クレアが乗ってたらチクチク嫌がらせもできねえじゃねえか!
とまあ荒ぶってはみたものの、行きの3倍くらいの時間かけて帰り着いた。
時速330kmくらい?まあこの世界じゃ速いんじゃねえの?ケッ。
結論から言うと、クレアは白竜と黒竜を連れ帰った王家の姫として祭り上げられた。
自由が無くなりそうだったから、適当に君臨すれど統治せずとか貴族院を含めた二院制とか民主化を吹き込んできたけど。
急な民主主義は不幸しか呼ばないからね。しかたないね。
議員も今は貴族と商人しかいないけど、教育が進めば他の人も増えてくるだろう。
これで法と力がクレアを守ってくれるだろう。
俺の役割ももうひと段落ついた。
クレアに元の世界に帰る事を伝えよう。
「お兄ちゃんいなくなっちゃうの?」
涙ぐむクレア。
でも俺はもう決めたのだ。
俺は今回正義だったわけではない。
弱者の味方となり、敵を虐殺しただけの男なのだ。
このままクレアのそばにいてもいい影響は無いだろう。
力なら二匹のドラゴンがいるし、過剰な戦力は必要ないのだ。
「お兄ちゃんにはやらないといけない事があるんだ。
また遊びに来るから、そのネックレスを大事にするんだよ。」
早く帰らないと勉強したこと忘れちゃうからね!
まだ大学進学は諦めてないんだよ?
地球じゃ22歳だからね。
時間的余裕も無いんだよね。
「ぜったいぜったい遊びに来てね!約束だからね!」
こうして俺は地球へと帰還するのであった。
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『さいきょうのおにいちゃんはワガママ』
お兄ちゃんが戻ってきました。
お姫様の娘の娘の娘の……とにかくずっと先の子孫のところに。
その子孫の女の子は、悪い人にいじめられていてとても困っていました。
戻ってきたお兄ちゃんはたくさんの人のお腹をいっぱいにして、笑顔をいっぱいにしました。
次にお兄ちゃんは悪い人たちをバッタバッタとやっつけると、女の子がいじめられないようにシロ様とクロ様をお友達にしてくれました。
女の子は女王様になり、シロ様とクロ様は国を守ってくれました。
お兄ちゃんがみんなで考えて国を良くする方法を教えてくれたので、良いことばかりじゃ無かったけど、とてもいい国になりました。
でもお兄ちゃんは言っていました。
話も聞かずに敵をやっつけるのは正義なんかじゃない。
そんな人は王様にはなっちゃいけない。
俺はNo kingだと。
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