第9話 今後の話

「というわけで、クレアの敵は全て無力化してきた。

 そこでだ、今後の事を考えよう。」


 二度寝を含めて丸一日寝ていたが、朝食をとりに宿の食堂へ向かうとクレアがいた。

 ついでに今後どうするかを聞き取りしようと思う。


「わたし、みんなが笑ってるのが好きなの!」


「ふむ、じゃあとりあえず特訓だな!強くなればなんでもできる!」


 俺脳筋だしね。他の選択肢なんてなかったね。

 既に忘れられているかもしれないが実はこの世界、召喚獣の強さで貴族としての格が決まってしまう部分がある。

 ほら、エビ出して喜んでたデブガキがSSRとか言ってたあれだ。

 おそらくあのガキがSSRを召喚が出来たという事は、親のSSSRの眷属か何かをもらったのだろう。

 基本的に自力でテイムしても大したランクの召喚獣は手に入らない。

 育てて子孫に引き継いで行くうちにランクが上がっていくのだ。

 そのため、この世界は下克上が起こりにくくなっている。平民で高ランクの召喚獣など持てないのが現実なのだ。


 それにしてもSSRだのSSSRだの頭悪そうなランク付けはなんとかならないんだろうか。

 俺が召喚された時代は『さいきょうのおにいちゃん』という事でAランク扱いだったはずなんだけど。

 Sってなんだ。ショボイのSか、凄くショボイランクでSSRか。


 ……はっ!?刺身しゃぶしゃぶ生(レア)食可能って事か!!!

 しくじったああああ!半分は刺身にするんだったああああああああ!!!



 んなわけない。



「アホな妄想はさておき、子孫が途絶えるまでずっと俺がいないとダメってのは問題だな……」


「あほなもうそう?」


「とりあえずその辺の捕まえて育てようか。」


 首を傾けて聞き返すクレアはスルーで。可愛いけどスルーで。お兄ちゃんを許してくれ。

 とりあえずクレアを連れて強そうな敵のいるところまで飛んでみる。


 クレアに限らずこの世界は召喚能力だけで、個人の能力はそんなに高くない。

 なので、いくら風や気圧から守るようにシールドを張ったとしてもGにやられてしまう。

 重力操作は出来なくは無いが、単純な重力じゃなく慣性の問題だし個人の血流にまで影響を与えるレベルだと何かあった時が怖い。

 クレアに何かあってからじゃ遅いからな。


 そういうわけでマッハまではいかないジャンボジェット並みのスピードで飛んでいる。

 風圧も感じなければ気温も保たれているのだが、それでも時速1,000㎞で木々や川が流れるように通り過ぎていく世界はクレアには少し怖いようで、必死にしがみついてくる。マジ可愛い。マジ天使。


 そろそろ見えてくる頃だと思うんだが……

 そう思った頃に見えてきたのはこの世界で言う暗黒大陸。

 元魔王の本拠地だったところで、ここなら手ごろな魔物も経験値の元もそこそこいるだろう。


 さて、クレアにはどんな召喚獣がいいかな?

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