第8話 ゴリる

 そして俺は現在クレアが置かれている状況をひげ面から……聞かなかった。

 ひげ面が正しいのか、本当に味方なのかわからないからではない。



 俺は脳筋で行くと決めたのだ!!!



【エネミージャッジ:クレア】



 この魔法は本来関所などで国の敵になる人間を通さないように一人一人にかける魔法だ。

 それを対象を設定できるように改編し、ベクトルを逆向きにした上に強度別に可視光線の波長を変化させることによって…


 難しい話はやめよう。脳筋なんだから。

 つまりはクレア基準で敵を見分ける魔法になったわけだ。

 真っ赤に光ったら末端から削れていく拷問魔法をかける。オレンジ色は頭を殴る。

 黄色は幸運を吸い取ってクレアに付与。緑は何もしない。青にはスマイル。

 ちなみに【エネミージャッジ】を唱えた途端ひげ面がオレンジ色に光ったので、彼は今肉片となってスラム街を真っ赤に染めている。

 どうせ偽の情報で政敵あたりと戦わせようとした貴族の手先かなんかだったんだろう。

 マジ異世界って優しさが足りてない。クレアたんマジ天使。


 赤・赤・き…オレンジかな?・緑・緑・黄色・オ…黄色・赤・赤


 ちょっとオレンジと黄色間違えやすいよ誰だこの魔法考えたの。


 俺だ!


「ウホウホ」


 絶賛脳筋ゴリラアタック中である。ゴリラっているのである。ゴリってる。

 ゴリらない・ゴリります・ゴリる・ゴリれば・ゴリ郎

 ゴリ五段活用!ゴリ郎誰だ!


 ちなみに本物のゴリラは繊細で神経質らしいから、脳筋をゴリラって呼ぶのはゴリラに失礼だと思う。

 そしてローランドゴリラの学名はゴリラ・ゴリラ・ゴリラ。

 こんなゴリラゴリラ言ってたら将来がゴリ夢中。

 あれ、なんか字が違う気がするけど気にしない。


 そんなことを考えながら全力で国内を回ったところ、加速する系の魔法を全部重ね掛けしたのに丸4日かかった。意外とこの国広かった。日本なら半日で同じことできそうなのに。

 これは魔法の相性で逆に効果が下がっている可能性が……


 おっと、俺は今ゴリラです。

 ゴリ郎ゴリ郎。


「さて、終わったし帰るか。」


 スラムの青く光った女性に寝ていたクレアを預け、宿屋に押し込んでたので迎えに行こう。

 クレアの面倒を見る青女、クレアは聖女。

 敵殴り国は正常、これでクレアも無事成長。


「SAY YOH!この国ぱっと見西洋!

 韻を踏んでるようでタダのオヤジギャグだせぇよう!」


「お、お兄ちゃんお帰り……

 つ、疲れてるの?おやすみした方がいいんじゃないかな……」


 クレアたんドン引きである。

 レベルだのステータスだのが上がっても、流石に4日徹夜は無理があったようです。

 おやすみなさい。



 ちなみに翌日起きたら青女はいなくなっていた。

 正常な判断だと思う。

 あ、まだ疲れ残ってんのかな。

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