第7話 ○○があらわれた!
結局エビは一人で食べた。
普通のエビの味だったけど、大きいせいか少し味が薄いというかぼやけているというか…とにかく大味だった。
「とりあえずお腹も満ちたし、今の現状を把握しようと思うんだけど……」
クレアは寝ていた。
お腹いっぱいでうとうとしていたと思ったら、広場であぐらをかいて座っていた俺の脚の上に乗ってきて寝た。普通にかわいい。
綺麗になった金髪を手ですくように頭を撫でると、クレアはくすぐったそうに微笑みながら顔を擦り付けてくる。マジ天使。
最近人格が変わってきているような気がするけど、きっと疲れているからだろう。
19回目に丸坊主即帰宅をやってから頻繁に召喚されているからに違いない。
全部異世界召喚が悪い!
そんな事を考えていると、何やらひげ面のオッサンがやってきた。
魔法できれいにはなっているが、ボロボロの服なのでスラムの住人だろう。
「なんか考え込んでるみてえだが、顔面崩壊して変態にしか見えねえぞ?」
「うるせえスラムA。」
「いや、スライムAみてえに呼ぶんじゃねえよお兄ちゃん」
鳥肌が立った。超立った。
クレアの頭を撫でて癒されながらなんとか平常心を保とうとする。
なぜ俺がスラムのひげ面オッサンにお兄ちゃんと呼ばれなきゃいけないのか。
あれか、7話目なのにクレアとエビ以外の名前が一切出てきてないからか。メタネタやめろ。
「お兄ちゃんとか呼ぶなヒゲ面、前髪を切りそろえて全部毛先が目に入る位置にカールさせんぞこの野郎。」
「中途半端に地味な嫌がらせだな!
切ったらすぐ終わりだろそんな嫌がらせ。」
「切ったらすぐに元の位置まで伸びる魔法をかける。」
「何でそんな高度な事が出来んのにしょっぱい嫌がらせしかしねえんだよ!」
思い付いたからに決まっている。こちとら脳筋だぞ脳筋。
普通に殴ったら粉みじんに砕け散るから嫌がらせしかできないんだよ。うん。
「ところで何の用だひげ面。もう飯はエビのしっぽくらいしか残ってないぞ。」
エビフライのしっぽは食べるけど、塩焼きだと残す派です。
「いらねえよそんなもん。それよりなんでここで飯配ったりしたんだ?
ここでそんな事しても得する事なんざ何もねえぞ?」
「クレアが世話になったそうだからな。お兄ちゃんとしては礼をしなきゃならんだろ。」
「けっ…物好きな奴め。てめえはクレアがどんな立場かわかってんのか?」
クレアとその周囲くらいはさっき調べたが、具体的な細かい所までは調べていない。
そこまで魔法で調べるには脳の負荷が高すぎるからだ。
常人なら世界の記憶に繋がった時点で目と鼻と口から血を噴き出しかねない。
とりあえずひげ面にはこう答えておこう。
「クレアがかわいいという事は揺らぐ事の無い事実だ!」
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