4-⑦ うぎゃあああああああああああ!

ショートコント、元魔王と王様

(キーテスの剣がシコロモートを切る)

シコロモート(以下、シコロ)「うぎゃあああああああああああ!」

キーテス「やったか!?」


(倒れ伏し、転がるシコロモート)

シコロ「切られたあ! 薄皮1枚切られたあ! 渾身の一撃だったから薄皮1枚切られたあ!」

キーテス「1枚かい! 僕の全力はたったの1枚かい!」


シコロ「何を言う、誇ってよいのじゃよ。余の薄皮を切ったのはこれで5億3761万91人目なのじゃから」

キーテス「嬉しくないわい! そんな数も半端でその中の1人なんて! そもそも僕はお前を殺そうとしているんだ!」


シコロ「なるほど、それじゃったらこの槌を使えばいい。この槌でたたけばいくら余でも死ぬぞ」(魔法で槌を出しながら)

キーテス「おーおー、だったら使ったるわい!」(袖をまくりながら)


シコロ「ただし重さは城1個分くらいある」

キーテス「持てるわけねーだろ! 僕王様だぞ! いや王様でなくても持てないけど!」


シコロ「持てないのか……? 王様なのに……?」

キーテス「なんだその目は! むしろ持てる方が少数派だろ! つーかいないだろ!」


シコロ「モテる王様が少数派……(じっくりとキーテスを見ながら)ああ、確かに」

キーテス「違あぁぁぁぁぁぁう! 何でそこで『抱える』と『異性に好かれる』を混同する! 確かに発音は同じだけども! そもそも僕はモテてる! 今は作ってないけどハーレムだって建設できるんだぞ!」


シコロ「はっはっは、まあ、そんな見栄を張らなくて結構じゃ。人の価値はモテる云々で決まるわけではない。例えば……うん、ほらあれじゃよ。うん、あの、あのあれとか、名前出てこないけど、あれとかそうじゃろ。皆知っているお前の良いところ、あれ。誰かに聞けばきっと答えてくれるあれ」

キーテス「そこははっきり言え! 僕がまるで長所のない人みたいじゃないか! もうあったまきた! お前殺す!」


シコロ「それじゃったらいい手段があるぞ」

キーテス「先の槌以外だよな? それだったら聞くぞ!」


シコロ「もちろん、まずは体を鍛えるんじゃ」

キーテス「そうだな、確かに戦うのに筋肉は必要だからな」

シコロ「そして金を集めるんじゃ」

キーテス「資金があればできることも増える、当然だな」


シコロ「最後に顔を整形する」

キーテス「待て! それはおかしい! 整形関係ない!」


シコロ「おおありじゃよ、イケメンで筋肉がそこそこある、そしてお金持ち。異性が好む3要素満載! モテモテ問題解決!」

キーテス「違うそうじゃない! 僕が殺したいのはモテモテ問題じゃない! お前だ!」


シコロ「いやいや、余だって死ぬぞ」

キーテス「はあ!? 何で!?」


シコロ「そんなお前を見て、愛の海でおぼれ死ぬからじゃよ」


キーテス「甘くないわ! 面白くないわ! うまくないわ!」

シコロ「そして私達2人はもういいわ、どうもありがとうございましたー!」

キーテス「何にもありがたくないわー!」

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