4-④ 我等、豪傑戦隊、シコレンジャア!

ショートコント、豪傑戦隊

(ギムコ、1人で王の広間にいる)

ギムコ「ふはははー、この悪の大王、ギムコに世界は征服されるのだー! 全ての生物達よ、支配してやるぞー! この世界は私のものだー!」

??「待て!」

??「そんなことはさせないぞ!」

ギムコ「なにい! 何者だ、名を名乗れ!」


シコロモート(以下、シコロ)「レッドシコロ!」

ブリア「イエローブリア!」

ロボッソ「えーと、その……ろ、ロボッソ・ウギューです……趣味は、盆栽です……」

グーヴァンハ(以下、グーヴァン)「人生の勝利者なれど唯一にして最大の黒い染みは陛下の師匠であったこと! 過去をなきものにしたい! グーヴァンハブラック!」

キーテス「ちょっと待て! 僕が汚点ってどういうことだ!」


シコロ「我等、豪傑戦隊、シコレンジャア!」

ブリア「さあ、覚悟してください悪の大王ギムコ! 私たちが一丸となってあなたを退治します!」



ギムコ「……おかしい」

シコロ「え?」

ギムコ「おかしいおかしいおかしい! おかし過ぎる! 何が一丸だ! 全然まとまってねえ! チームになってねえ! 着ている服だって私服じゃねえか!」


シコロ「私服なわけないじゃろ! 皆が学生時代来ていたジャージを持ち合わせただけじゃよ!」

ギムコ「統一! チームなんだから一緒! それが普通なの! それもできてないお前ら戦隊を名乗んな! シコレンジャーなんて看板下ろせ!」


シコロ「……さすが悪の帝王! その名にふさわしい最低の奴じゃな!」

ギムコ「はあ? 何だいきなり?」


ブリア「私達、シコレンジャ『ア』なんですー! シコレンジャ『ー』なんかじゃありませんー! 名前を間違えるって大変失礼なんですよー!」

ギムコ「どうでもいいわんなもん! というか格好だけじゃない! 趣味を紹介する! 名乗りのときに名乗らない! 喧嘩する! こんな戦隊いるか!」


シコロ「いや、何もおかしくないぞ!」

ブリア「何故なら私達は家族! 私達は兄弟!」

ギムコ「理由にすらなってない! 屁理屈以下!」


ロボッソ「あの……俺突然連れ出されてここに来ただけなんだけど……『カボチャ2個渡すから出てくんない?』ていわれてきたから、家族でも何でもないんだけど……」

ギムコ「断れよ! 自分の意思を持て! 流されんな!」


ロボッソ「いや、意思はあったよ。だってカボチャの天ぷら作りたかったから」

ギムコ「そういう話をしてるんじゃない! カボチャくらい俺がやるから今すぐ辞めてこい!」


グーヴァン「ええい、そんなことはどうでもいい! 我々の友情力でお前を倒してやる! 陛下以外はかたい絆で結ばれた、シコレンジャアの力を思い知るがいい!」

キーテス「だからさっきから僕を除け者にするな! 5人1組で戦隊だろ!」


グーヴァン「4人戦隊もあるんですよ。まあ、だったら『4人と茶渋以下のものが付いてくる戦隊』ということで譲歩してやらなくも無いですけど」

キーテス「どこが譲歩してるんだそれ! 茶渋とかこびりついてるだけで、利用価値すらない役立たずそのものじゃないか!」


グーヴァン「おや陛下自覚していたのですか」

キーテス「あったまきたー! お前殺すー!」

ギムコ「だから仲間割れするなって言ってるだろお前ら! 俺敵だぞ! 悪の大王だぞ! 目の前だぞ!」


キーテス「それがどうした! こいつは悪魔とか魔王とか悪の大王とか、そんなんよりよっぽど憎い存在! むしろぶっ飛ばしてくれと提案したいところだ!」

ギムコ「正義の戦隊が言っちゃダメだろそれ!? つうか私怨入りすぎだ!」


シコロ「悪をもって仲間を倒す……新しいダークヒーロー像……?」

ギムコ「ダークヒーロー辞書で引き直してこい! そもそも味方倒してる時点でヒーローじゃなくて敵って言うんだよ!」


シコロ「さっきから黙って聞いていればなんという侮辱!」

ギムコ「1回も黙ってねえじゃねえか! お前大体喋ってるよ!」


ブリア「こうなったら必殺武器で倒してやります!」

ギムコ「やっと少しまともになりそうな感じが!?」


シコロ「伝説の剣!」(ハリセンを構えながら)

ブリア「このラブラブドッキン、ハートキュンキュンであなたを倒します!」(マサカリを担ぎながら)

ロボッソ「えーと、えーと……そ、それじゃ盆栽用のはさみで」(はさみを出しながら)

グーヴァン「陛下じっとしててください! 弾丸代わりにあなたを投げます!」(キーテスの襟首をつかみながら)

キーテス「それを聞いてじっとしているバカがいるか! お前が投げられろ!」(グーヴァンハを殴りながら)


ギムコ「もういやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! まともな奴来てくれぇぇぇぇぇぇぇぇ!」


シコロ・ブリア『私達がまともじゃないとか屈辱なんですけど!(なんじゃけど!)』

ギムコ「ハリセンは戦う武器か! 名前と武器が一致してない! この時点でまとも名乗るなぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」



??「ウッホー!」



シコロ「だ、誰だ!」

ギムコ「本気で言ってんのかお前! この鳴き声の時点でゴリラしか考えられないだろ!」


(周囲に霧が発生して雷が鳴る)

シコロ「何だこれは!?」

ブリア「一体何が!?」


ゴリラ「ウホー!」(禍々しい黒い甲冑を着て現れる)


シコロ「あ、あれは!」

ブリア「この世の悪を統べるもの、ゴリラーグ!」

ギムコ「スベっているの間違いじゃねえのかな! ゴリラに鎧なんて似合わないにもほどがあるわ!」


ゴリラ「ウホウホウホ、ウホホ!」(両手で胸を叩きながら)

シコロ「何だって!『これまでの悪事全ては自分が仕組んだこと。そうとも知らず、シコレンジャアやギムコはよく踊ってくれた。お前たちは全く最高の駒だったぜ』だって!?」

ギムコ「言ってねえ! ウホウホしか言ってねえぞあいつ!」


ゴリラ「ウホウホウホ、ウホホ!」(両手で胸を叩きながら)

ブリア「『そんなお前たちに観賞料だ! バナナ5本と言いたいところだが、ここは大奮発で俺が直々に討ち取ることで払ってやろう! 光栄に思うがいい!』だなんて……私達はあなたなんかに負けませんよ!」

ギムコ「文章! 発音! 動作も! 全く同じなのにここまで意味が違うとかあり得んわ! お前適当言ってるだろ!」


ゴリラ「という訳だから覚悟しろ! シコレンジャア! ギムコ!」

ギムコ「お前喋れたのぉ!? さっきまでウホウホ言ってたの何だったのぉ!?」


シコロ「ギムコ、余達の戦いは全部誤解に基づいての、ゴリラーグが企んだものだったんだ! ここからは協力しあって、ゴリラーグを倒そう!」

ギムコ「ああもうそれでいいよ! めんどくさいから!」

ブリア「これぞツンデレ男子! 珍しい! 学会に連れ帰って保管しましょう!」

ギムコ「違う! そもそもツンデレ男子とか珍しくないし収蔵している学会とか聞いたことないわ!」


グーヴァン「さあ行くぞ! ゴリラーグ! 私達5人と1茶渋の力を合わせてお前を倒してやろう!」

キーテス「よーしまずお前からな! 先にお前倒してから、あいつを倒すからな!」

ギムコ「だから仲間割れするなって言ってるだろお前らあぁぁぁ!」



次回予告

ブリア「長い戦いを超え、手を取るシコレンジャアとギムコ。そんな彼らは真なる悪、ゴリラーグと対決する! しかし圧倒的な握力に彼らは切られ、撃たれ、爆発していく!」

ギムコ「握力でできるかんなもん! 魔法でも使うのかあのゴリラ!」


シコロ「果たして、この世界の運命は? シコレンジャアは生き延びることができるのか? 次回、豪傑戦隊シコレンジャア。豪傑、死す」

ギムコ「ネタバレぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

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