隠居魔王の成り行き勇者討伐 倒した勇者達が仲間になりたそうにこちらを見ている！

４－② 余には第2形態が必要じゃないかと

漫才、第2形態

シコロモート（以下、シコロ）「どもどもども、シコロモートンじゃ！」

ギムコ「えー、ギムコンです」

シコロ「元魔王と魔王の漫才コンビ、『まおまお』じゃ、今日はよろしくー！」

ギムコ「そっくりさんですよー、本物じゃないですよー、似ているからこのコンビ名にしたんですよー」

シコロ「ところで余は思うのじゃ。余には第2形態が必要じゃないかと。余も魔王の様に変身できるようになるべきではないかと」

ギムコ「たった今否定したのを台無しにしないでくれませんか？」

シコロ「何を言う、余たちはそっくりさんじゃよ？　だったら元魔王の全てができるようにしておかないとまずかろう！　中途半端はいかぬ！」

ギムコ「まあ……それはそうかもしれませんね……」

シコロ「じゃろ？　じゃから余は研究してきたのじゃよ！　第2形態とはこういうものだ、ということを！　その研究成果をお前にも見てほしいのじゃ！」

ギムコ「まあ、いいですよ」

シコロ「それじゃ余が魔王役で、お前英雄役な」

ギムコ「それではやりましょう」

（ギムコ、シコロモートを倒す）

シコロ「ぐわー！やられたのじゃー！」

ギムコ「はあはあ……ついに魔王を倒したぞ！　これで世界は平和になるんだ！」

シコロ「こうなれば第2形態で勝負じゃ！」

ギムコ「な、なにい！　そんなことが！」

シコロ「ふふふ、余の第2形態は強いぞ、何せ腕が増える！」

ギムコ「そんな！　あれだけ強かった魔王の腕がさらに増えれば、連続攻撃されてしまう！」

シコロ「ただしそれは猫の手じゃ」

ギムコ「ちょっと待て！」

シコロ「肉球ぷにぷにで爪もきちんと切ってある安全状態！　いくらでも触ってよいぞ！」

ギムコ「だからちょっと待て！　何でそこで肉球!?　何でそこで猫の手!?」

シコロ「かわいいじゃろう？　攻撃できんじゃろ？　よって最強！」

ギムコ「間違ってるから！　第2形態は怖がらせるものだ！　それじゃ誰も怖がらんだろ！」

シコロ「注文の多い奴じゃのう……分かった、怖がらせる奴をやればいいんじゃな」

ギムコ「そうそう、そういうのをやってくれればいいんですよ」

（ギムコ、シコロモートを略）

シコロ「ぐわー、やられたのじゃー！」

ギムコ「はあはあ、遂に魔王を倒したぞ」

シコロ「こうなれば第2形態で勝負じゃ！　余の姿に恐怖するがいい！」

ギムコ「な、なにい！」

シコロ「おーばけーじゃぞー！」（白布を頭からすっぽり被りながら）

ギムコ「怖がるかそんなん！　今時そんなお化けいるか！　しかもそれ絶対前見えてないだろ！」

シコロ「目に見えるものばかりにとらわれてはいけない。真実は見えないものの中にこそある……」

ギムコ「カッコいいこと言ったつもりかその格好で！　全く決まってないわ！」

シコロ「これもダメなのか……なら巨大化にするかのう……」

ギムコ「そういうのあるなら早く出せよ！」

（ギムコ、略）

シコロ「ぐわー、やられたのじゃー！」

ギムコ「はあはあ、勝ったぞ」

シコロ「こうなれば第2形態で勝負じゃ！　巨大化した姿を見るがいい！」

ギムコ「な、なにい！」

シコロ「どうじゃこのパッチリとした瞳！　一重にしたんじゃよ！　目が大きくなったじゃろ！」

ギムコ「女子か！　怖がらせるのはどうした！」

シコロ「余の美しさは怖かろう……」

ギムコ「そういうのじゃねえ！　恐怖！　欲しいのは！」

シコロ「それならば別案で行くかのう、とっておきの化け物と化す技があるんじゃ」

ギムコ「だからあるんなら最初っから出しとけよそういうの！」

（略）

シコロ「ぐわー、やられたのじゃー！」

ギムコ「はあはあ、勝ったぞ」

シコロ「こうなれば第2形態で勝負じゃ！」

ギムコ「な、なにい！」

シコロ「……」

ギムコ「……」

シコロ「………………」

ギムコ「………………」

シコロ「あ、すまんがこの技は余が転生してから100年ほど経って完成するから待ってもらえんかのう？」

ギムコ「待てるかあぁぁぁぁぁぁ！　ていうかこれ第2形態じゃねえ！　転生って言ってるし！　そもそも死んでるのに第2形態もクソもねえだろ！」

シコロ「これもだめとか……もうできるのは、炎を吹いて雷をまとう巨大竜になるくらいにしかできんぞ！」

ギムコ「そういうのが欲しいんだよ！」