第22話 おおぐまちゃんとこぐまちゃん、船を探検する

おおぐまちゃんが医務室に戻ると交渉官のくろくまが来ていた。

「おおぐまさん、ご苦労様でした。」

「いえ、ボクは何も・・・。あなた方こそお疲れ様でした。」

「実のところ大筋では決まっていたことなんです。上が決めたことを最終的に確認しただけでした。それよりくまぞうさんを連れ帰ることができて本当に良かった。クマランドではもっとマシな治療が受けられるでしょう。」

医務室からこぐまちゃんと医師が出てきた。医師からくまぞうの様子について説明された。少し疲れたみたいで眠ってしまったので何かあったら呼び出すとのことだった。船室に戻ると船は外海に出たところで、来たときよりずいぶん穏やかな揺れに感じる。

「こぐまちゃん、酔い止めは飲んだよね?」

「だいじょうぶ。ふねにのるまえにのんだよ。」

「来るときは大変だったもんね。気持ち悪くなったらすぐ言うんだよ。」

「はーい。ねえ、おおぐまちゃん。ふねのなかをたんけんしない?」

「あんまり遠くに行かないでね!」

「はーい!」

楽しそうにおおぐまちゃんの手を引きながら走り出した。


この船は『ブルー・オーシャン』という。クマランドとクマロニアを結び、貨物船とフェリーを合わせたような船である。船首後方20mから長さ100m、幅20m、深さ25mのコンテナ収納区画がある。荷物はコンテナに収められており、積み降ろしのときは上甲板が真ん中より開き、さらに左右にそれぞれが中折式に折り畳まれる。おおぐまちゃんとこぐまちゃんはその区画にやってきた。

「うわあ。おっきいへやにきたよ!」

「いっぱい荷物を運べるんだね。」

国交が正常化したとはいえ初めてのクマランド行なので、製品などのサンプルが主で、積載されているコンテナは少ない。

「つぎはしょくどう。ね、いいでしょ?」

「はいはい。」

船酔いを警戒して2頭はクッキーしか食べていなかった。おなかが空いているの思い出し食堂に急いだ。コンテナ区画からブリッジ真下を抜け、食堂にやってきた。明るい照明で座り心地の良さそうなソファ、ショウケースにはメニューのサンプルが並べられていた。

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