第11話 こぐまちゃん、おとうさんに出会う

ようやくクマロニアに到着した。ふたりは最後まで船酔いに悩まされた。世話になった船長に挨拶をして船を降りた。

「おおぐまちゃん、あしがふわふわするよ。」

こぐまちゃんは到着ロビーをヨロヨロと歩いていた。危なっかしく見ていられなくなったおおぐまちゃんは彼女の両脇をかかえ抱き上げた。

「気をつけないとだめだよ。」

といって涼しい顔をしているおおぐまちゃん自身、船酔いで相当ダメージがあったがカッコをつけてみたかったのだ。

指定さてたホテルに着くなり、こぐまちゃんはベッドに倒れ込んだまま寝てしまった。時間は昼の2時を回ったところだが気分が悪く食事をする気がおきない。とりあえずこぐまちゃんの枕元に水の入ったボトルを置き、ベッドになだれ込んだ。夜中に一度起き持ってきたおやつをふたりで食べた。

翌朝の7時、時計のアラームがなった。今回の渡航は緊張関係にある両国の間で熊道的措置として許可されたことであり、指定された時間どおり行動しなければならない。こぐまちゃんを起こし、身支度をして朝食をとって9時にロビーに集合。用意された車に乗って病院へ向かう。お気に入りのピンクのワンピースを着たこぐまちゃんはだいぶん緊張した面持ちでシートに座っている。小さな手をおおぐまちゃんの大きな手で握った。


病院に着くと前もって控えていた黒いスーツを着たくまがふたりを案内した。薄暗い病室の奥に点滴をうけているくまが寝かされている。看護師が近寄り耳元で声をかけると、力なく目を開きこぐまちゃんを見た。

「ああ・・・くまみによく似ているな。」

こぐまちゃんの姿を見てすぐに娘だとわかったようだ。

「おとうさん?」

「こんなに遠くまでよく来たね。こぐま。」

こぐまちゃんはお父さんに近付こうとするが足が動かない。

おおぐまちゃんの手をぎゅっと握ってくまぞうの元に近寄った。

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