第7話 こぐまちゃん、お絵かきして過ごす

おおぐまちゃんとこぐまちゃんは2頭で暮らすことになった。何から手を付けていいのかわからない。とりあえず出会った岸壁に行った。

「ムリに思い出そうとしなくていいんだよ。時間はいっぱいあるからね。」

こぐまちゃんが自分自身を追い詰めたりしないように、十分注意して接するようにした。


おおぐまちゃんが食堂で働き始める日がやってきた。数日、こぐまちゃんは1頭で過ごすことになるが、店の休みに保育園の申し込みに行くことになった。

「こぐまちゃん、ボクはお仕事に行ってくるね。何かあったら携帯電話のここを押して電話してね。それとお店までの地図も描いておいたから、もし困ったことがあったら来るんだよ。鍵も渡しておくけど、出かけるときは必ず鍵をかけること。それとお部屋にいるとき知らないひとが来てもドアを開けちゃいけないよ。この小さいテレビみたいなのに顔が映るから、ちゃんと見るんだよ。」

インターホンの使い方を説明してから新しく買った携帯電話と鍵を彼女の首にかけ、肩からかけたポシェットに地図を入れた。

「じゃあ行ってくるね。2時くらいには一度戻るから。あ、おやつはそこに入ってるよ。」

「まってるね。ばいばい。」

笑顔でおおぐまちゃんを送り出した。


ランチタイムが終わり、一旦部屋に戻った。初出勤としてはうまくいったほうだろう。店のまかないを持って帰って一緒に食べた。

「ひとりで寂しくなかった?」

「うううん。テレビみたり、絵かいたりしてたの。だいじょうぶ。」

昨日買ったらくがき帳に何枚かの絵が描いてあった。

友達らしき数頭が遊んでいるような絵、おおぐまちゃんの絵もある。そしておひさまと船と2頭のくま。大きい方のくまは彼女の父親だろうか。

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