第7話 サナンダ記 :「命の賛歌」
サナンダ記
「命の賛歌」 乙音メイ
メアリーはアリを可愛らしいと感じている。また、そんなアリと人間は似ている面があると考えている。少しくらい気の合わない人物がいても、結局人間はコチョコチョとしていてかわいい、そう思っているのだ。そんなことを職場で話していて「達観している」と女性の係長から言われているところを見た。メアリーが働く職場とは、大型小売店である。メアリーが働いた5年近くの間に、店長は3回、課長は2回、係長は4回変わった、転勤の多い企業だ。メアリーが、べらんめえ口調で好きだったその女性係長は、何と半年で移動してしまった。メアリーはガッカリした。
私はそんなメアリーを見ている。いつも見ていた。今も見ている。見ているだけではないのだが、歯がゆい気持ちも常に同時にある。私は光輝くライトボディの存在としてメアリーに寄り添う、天使界の夫である。しかしここは物質界も交えた次元で、メアリーの体の周波数が、より軽い一定の波動になるまで、私がいつもそばにいることさえも顕在意識では知らないそぶりだった。生活することに余りにも気を取られていて、私のことを思い出す暇もない。日中の、人間という人形に入ってご機嫌でいる間は、まあこれで良し、としていた。
だが、そうも言っていられない事態が進行しそうなのだ。
メアリーのスピリットの軽やかな陽気さが、いい方向に向けばいいが。何しろ本人は彼らのことをI・N・Oが付けた護衛だと思っているのだ。妻よ、何ともまあ……。
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