☆4夜目「きんぴら好き」

   「きんぴら好き」   乙音メイ



 家族がきんぴら好きである。

 十代でもこんなにきんぴらが好きとは。常々そう思っていた。船が沈没する映画のDVDにも反応し、

「それ、まだ持っているの?」

と何度か言われた。

「今夜はきんぴらよ」

と言うと、とても素直に喜ぶので、きんぴらの入った器を前に置くときには、マットや箸置きをきちんと並べたうえで、恭しくお運びしたくなってしまう。それほどの雰囲気を醸している。


 そもそもこのきんぴらは、何故「きんぴら」という名前が付いたのだろう?何か可愛らしい響きがする。


 辞書を調べてみたが、味付けの記載はあったが、語源はなかった。ふと、もしかしたらこの語が先にあったのかも?と思い立ち、似た言葉「こんぴら」を調べてみた。

   

【金比羅・金毘羅】《名》

①〔仏〕もとインドの(ワニを神格化した)神。参考;梵語kumbhira(=わに)の音訳。仏教で薬師十二神将のひとつ。仏法を守護する神。日本では航海の安全を守る神として信仰される。

②香川県琴平にある、「金刀比羅宮」の俗称

〖学研 国語大辞典 金田一晴彦、池田弥三郎編〗より



梵語の音が類似。地名も分解した結果、今、平、比羅、毘羅、面白いように錯綜しているので、コンピラ関係の漢字と意味を判る範囲で調べてみた。


          

【今】〔合意〕あわせること、およぶ、から成る。

【金】〔意味〕たいせつな。こがねのように美しい。りっぱな。音「キン。  

【平】〔合意〕ことばがなめらかに出る、分かれる、から成る。〔意味〕無事。おだやかな。乱を鎮める。           

【比】〔指事〕二人ならぶ、を左右反対にした形。したしい。〔意味〕したしむ。近づきになる。               

【毘】〔意味〕そばについて、たすける。梵語の「ビ」の音訳 例ー毘沙門、毘盧遮那(ビルシャナ=大日如来)       

【羅】〔合意〕あみ、つなぐ、から成る。〔意味〕あみをかけてとらえる 例ー網羅。外国語の「ラ」「ロ」の音訳字 例ー羅漢。 

【金毘羅コンビラ】〔仏〕もとガンジス河のワニを神格化した仏法を守護する神。十二神将の一つ。また、航海の安全を守る神として、信仰が厚い。〔表記〕「金比羅」とも書く。

〖三省堂 例解新漢和辞典 第四版 山田俊雄編集代表・戸田芳郎・影山輝國〗より



「航海の安全」~ピンッ(閃いた音&より軽い波動領域のパラレルワールドに入った時の音でシャボン玉がはじけるような音)!船遭難の映画に強く反応する、きんぴら好き家族!「海」~ピンッ!黒潮、赤潮!二重に分かった!


 家にいる天使は、ご褒美代わりに、また、節目節目の何かで、時折我が家の成員の前世を教えてくれる。もうすでに、一人につき八人くらい教えてもらっている。私はフランス人、家族はアーサー王他イギリス人が多かった(笑)


 きんぴら好きなうちの家族の「前世はコンピラ」。

 航海の安全祈願にきんぴらを捧げて「お参り」。今と比と羅の字から「統合する意味」。


 なるほどと思ったのは、コンピラ様の元々の文字は、地名に因んで「琴平と金刀比羅」(どちらもコトヒラ)の二種類があったこと。

琴平コトヒラ」の文字は「今平コンヒラ」へと繋がり、それは「コンピラ」とも読まれるようになり、さらに有難いという気持ちが「毘」を使用するに至り、インドの神格化されたワニ神様「コンビラ《金毘羅》」とさらに入交り、何時しか四国の「コトヒラ」が「金毘羅」になった。それに合わせるように、「金刀比羅」も「刀」が抜けて「金比羅」に。


 整理すると、きんぴらの牛蒡の黒は黒潮を、きんぴらの人参の赤は赤潮を表している。黒潮と赤潮を網羅して征服するという意味合いで、海に出る前に、きんぴらを食べたのかもしれない。そして、コンピラ様にもきんぴらをお捧げし、安全を祈願したのだと思う。

 きんぴらは元々はコンピラ様に捧げるこんぴらという名で通っていたのが、大切さを表す「金」にこちらも変化してきんぴらになった。


 走馬灯のようにこれら一連のつながりのイメージが湧いてきた。これは天使を介して右脳に送られてきた、宇宙の叡智、インスピレーション(笑)半月前から、音音おとねという名前で、短歌や俳句を創って楽しんでいる。


黒潮の 黒でない「青」 

赤潮の 赤でない「灰」 

日替わりの海               詠み人:音音おとね


 海ある県に来て初めて知った事を詠んだもの。ヒントが周りにもあった。



 海に暮らす人々が安全を願って一途な気持ちで捧げた「きんぴら」を、生まれ変わっても「好物」と感じて食べる我が家族、その気持ちもまた一途。

 人も神も愛でいっぱい!



好物の きんぴら捧げ

航海の 安全祈願 

昔金比羅  (今家族)……字余り 

                     詠み人:音音おとね



「コンビラ様、コトヒラ様、私たちの仲間が粗相をしましてごめんなさい。コトヒラ様、お名前を合体して、コンピラ様と申し上げたにもかかわらず遍く善くして頂き、深くお礼申し上げます」




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