第2話 青が消えた日

シクシクシクシク……

だれかのなきごえが、きこえてきました。

はなちゃんとウマタロウが、あたりをみわたすと、そこには、おひめさまのようなおんなのひとと、うさぎがいました。


そう、あのバイナリおうこくのビットひめと、そのけらいのうさぎたちです。

しかし、なんかようすがへん…です。

「ねえ、ゼロ。どうしたの?」

そう、こえをかけたとき、はなちゃんはめがさめました。


そう、そこははなちゃんのおうちでした。ママとパパはすでにおきていました。

…でも、なんだかへんです。

ママがじっとみているテレビは、いつもとちがって、へんないろになっていました。

「りんじニュースです。りんじニュースです。

 世界せかいから、あおいろのひかりが、なくなってしまいました。どこにあるのか、だれがもっていったのか、まだわかっていません。」

「ママ、ねえ、なにがあったの?パパ、ねえ、どうしたの?」

はなちゃんはたずねました。

「…よく、わからないんだけど、なんだかたいへんなことがおこっているみたいだよ。」

パパがこたえました。

ママはじっと、テレビのニュースをみつめながら、パソコンのがめんをみつめています。そのがめんも、いつもとちがってへんです。

ママがとつぜんでんわをかけました。

「もしもし、さくたです。おせわになっております。けさのできごと…ええ、あおのけんですが。これどのぐらいえいきょうでてますでしょうか…。」

パパがやいてくれたパンをたべながら、なんだかへんなきぶんになりました。だって、パンもミルクもぜんぶ、きいろくみえるんですもの!!!



「ねえ、ママ。どうしていえのなかが、きいろいの?」

むずかしそうなかおをしていたママが、かおをあげました。

「えっ…あっ…そうね。じつはね、あおのひかりがきえてしまったの。」

「えっ???」

「あおいひかりがきえると、あかとみどりのひかりしかないでしょう? このでんとうも、しろいいろがだせないの…」

はなちゃんは、きのうのママのじっけんにつかった、あのあおいひかりのぼうのでんげんをいれました。

あおくひかりません。

あたらしいでんちにしても、ひかりません。あかいぼうと、みどりのぼうは、ひかります。

まるでだれかが、あおいひかりだけ、どこかにぬすんでしまったかのように、おもえました。


パパもママもなんだかあさからこまっています。

「どうしよう…でんしゃもバスもとまってしまったよ。」

「そうね、パソコンもスマホもつかえないわ。」

あおいひかりがないだけなのに、みんなとてもこまってしまっていました。

「あおいひかり、どこにいったんだろう。」

はなちゃんは、ウマタロウをかかえながらふと、つぶやきました。


「…はなちゃん!はなちゃん!」どこからか、こえがします。

このこえは…ときづいたしゅんかん…




きがついたら、あの0と1のぐるぐるにまきこまれて、またまたバイナリおうこくにいました。


「はなちゃん、ウマタロウさん、たすけてください!」

いつものうさぎのけらい、ゼロとイチです。

でも、うさぎのけらいのいろがへんです。イチのいろが、きいろくなってます。いつもはしろなのに…。

「どうしてイチは、きいろいの?」

はなちゃんは、おそるおそるききました。


「じつは、あおいひかりがうばわれてしまいまして…」

「かいとうブルーのせいですっ!」


「かいとうブルー???」

はなちゃんとウマタロウがききかえしました。

ゼロとイチによると、バイナリおうこくには、あかいひかりと、みどりのひかりと、それからあおいひかりがあって、ビットひめはそのみっつのひかりを、だいじに、まもっているのだそうだ。

みっつのひかりがあるから、しろいいろからくろいいろまで、よのなかのすべての、ぜーんぶのいろができるんだって。

「そんなだいじなひかりが、どうしてぬすまれたの?」

「かいとうブルーです。」

「あいつが、あおをぬすんだんだ!!!」


「かいとうブルー???」

ゼロが、うわぎのポケットから、いちまいのかみをとりだしました。


『おまえたちのせかいから、あおをうばってやった。

 かえしてほしければ、しろいバイナリメガネをもってあおのやかたにこい。

 じかんは、Dじだ。

 あおはあおなれどあおにあらず。かいとうブルーより』


「あおはあおなれど、あおにあらず!」

「しってるんですか?」

「・・・ママがそういってたの。ひかりは、あおがそろってはじめて、しろになるって。」


「あおのやかたって?」

ウマタロウのといに、イチがこたえました。

「うみのちかくにあるやかたです。もう、なんねんもまえに・・・」

ゼロとイチによると、あおのやかたには、とてもゆうめいなかがくしゃが、すんでいたのだけど、もうずいぶんまえに、そのかがくしゃは、

なくなったのだという。

「いまは、だれもあおのやかたには、いないはずなのですが…」

「おばけがでるって、うわさもあるよー」

おばけときいて、ウマタロウがぶるぶるふるえました。

「しかし、こまりました…。」

「どうしたの?」

「Dじというのは、13じというのはわかりますけども、しろいバイナリめがねがないんです…」

「なんで?」

「この世界せかいでは、しろはすべて、あかと、みどりと、そしてあおをかさねてつくります。でも、いま、あおがありません…。」

ふと、はなちゃんはポケットのなかに、てをいれました。

そこには、まえにママからおみやげでもらった、あのうさぎのついたバイナリめがねがありました。

「あ、バイナリめがねなら、ここにあるよ。」

ないているビットひめと、うさぎのけらいたちが、いっせいにはなちゃんのをみつめました。


「し ろ い バ イ ナ リ め が ね だぁ !」


いっせいにみんながさけんだので、はなちゃんとウマタロウはびっくりしました。

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