ブルーをさがせ~ハナちゃんとウマタロウのぼうけん

@cchanabo

第1話 青は青なれど青にあらず

「けんけんぱっ。けんぱっ。5まででーきたっ。つぎウマタロウのばんね。」

「はなちゃん、ルーレットをまわして。」

「いいよー。えいっ・・・6だって。」

「じゃあいくよ。けんけんぱっ。けんけんぱっ。できたよー。」

「ぶぶー。ざんねん、5がちがうよー。5は、AのれつとCのれつを、どうじにふむんだよ。」

「そっかー。またまちがえちゃったー。」


 はなちゃんとぬいぐるみのウマタロウは、おへやで仲良くなかよくあそんでいます。

 そこへママがやってきました。

「あら、バイナリけんけんぱしてたの? じょうずになったわねー。」

「うん、はなちゃんはちゃんとできたけど、ウマタロウったらまちがえたのよ。」

「わー、はなちゃん、いわないでー」と、ウマタロウ。

 ウマタロウのこえはママにはきこえません。でも、ママにはなんだかウマタロウがいつもよりしょんぼりしているようにみえました。

 ママは、やさしくウマタロウをなでながら

「ウマタロウは、まだちいさいから失敗しっぱいもするんだよ。はなちゃん、やさしくおしえてあげてね。」

「うん!!」

 はなちゃんとウマタロウは、二人ふたりどうじにこたえました。


「さあ、ゆうごはんができたから、おててをあらっていらっしゃい。」

「わかった!」

 ウマタロウを、いつものざぶとんのうえにおくと、はなちゃんはせんめんじょに、はしっていきました。


「うわー、きょうはコーンのかきあげだあ。」

 テーブルのうえには、はなちゃんのだいすきなコーンのかきあげがのっていました。

 おもわずさきにつまみぐいをして、

「こらっ。」

 とママにおこられるはなちゃんです。

「いただきまーす!!」

 そのときです。

 テレビのニュースが、そくほうをつたえました。

「ただいまはいりました、ニュースです!日本人にほんじんが、かいきょです!」

今年ことしの、サーベルかがくしょうは日本人にほんじん3にんが、じゅしょうしました!」


「えええっ!!!!」

「すごい!!あおいろはっこうダイオード、LEDかー。」

 ママがびっくりしたこえでいうので、はなちゃんもとってもおどろきました。


「ママ、サーベルかがくしょうってなあに?」

世界せかいですごいはつめいや、はっけんをしたり、みんなのやくにたつけんきゅうをしたり、りっぱなこうどうをしたひとに、おくられるしょうよ。」

 ママよりも、もっとすごいけんきゅうしゃがいるんだと、はなちゃんはとてもびっくりしました。


「で、あおいろはっこう・・・??ってなあに?」

「あおいろはっこうダイオード、ね。あおいろLEDともいうけど。」

「あおいろ?エルイーディー??」

「テレビや、しんごうや、でんきゅうでつかわれているひかりのしゅるいよ。ほら、あれにもあるわ。」

 ママがゆびをさしたさきには、このまえパパといっしょにかざりつけをした、クリスマスツリーが、ピカピカとひかっています。

「あのピカピカしているの、あれがLEDよ。」

「…でも、あそこにあるのはあおいろじゃなくて、あかやみどりやオレンジやしろだよ。あおはないよ。」


「ふふふふ…」

 とつぜんママがニヤニヤとしました。


「あおはあおなれど、あおにあらず。」


「・・・じゅもん?」

 はなちゃんにはさっぱりいみがわかりません。

「ふふ。明日あした、はなちゃんにいいものをせてあげる。今日きょうは、おそいからはやくごはんをたべちゃいなさい。」

「はーい。」

 そのよる、はなちゃんは、みんなのまえで『サーベルかがくしょう』を

 もらうゆめをみました。


 ところで、このおはなしをよんでいるおともだちは、

『バイナリけんけんぱ』であそんだことがあるかな?

 ちょっとだけルールをせつめいするから、いっしょにあそんでみようね☆

『バイナリけんけんぱ』は、みんながいつもやってる『けんけんぱ』とはすこしだけルールがちがうよ。


 よこに、4つのれつをよういしてね。みぎからA(エー)、B(ビー)、C(シー)、D(ディー)だよ。

 0から15までのすうじを、すきにえらんで、そこまでけんけんぱするんだよ。(はなちゃんとウマタロウはルーレットをつかっていたんだよ。)


『バイナリけんけんぱ』のるーるはわかったかな?

 じつはね、この『バイナリけんけんぱ』は、はなちゃんとウマタロウがたびをする『バイナリおうこく』でのかずのかぞえかたなんだ。

 あしでふむところは1、ふまないところが0をあらわしているんだよ。バイナリおうこくのみんなとおともだちになるためには、この『バイナリけんけんぱ』ができるようにならないとダメなんだって。だから、このおはなしをよんでいるおともだちも、ぜひはなちゃんみたいにじょうずにできるように、あそんでみてね☆



 さてさて、それではおはなしにもどりましょう!


 つぎのはどようびでした。

 あさから、はなちゃんはママのいう『いいもの』がきになってしかたがありません。

「ママー。はやく『いいもの』みせて!」

「ちょっとじゅんびがいるから、おかいものにいってからね。あさごはん、はやくたべなさい。」

「…はぁーい。」


 いつものスーパーのとなりにあるほんやさんで、ママは、なにかはこのようなものをかいました。

「…りかのじっけん・・・ってなに?」

「これは、あとで、はなちゃんにみせてあげるための、せんようのはこよ。ふふふ。」

 二人ふたりは、おゆうはんのざいりょうもかって、いえにかえりました。

 いえにかえると、さっそくママははこのなかみをとりだしてくみたてはじめました。それから、いえのなかにあるかいちゅうでんとうを、

 もってきました。

「さあ、いまからじっけんをしまーす。」

 ママは、えんじろう先生せんせいのようなしろいふくにおきがえしていました。はなちゃんは、ウマタロウをかかえてすわりました。

「ここに『かいちゅうでんとう』があります。このいろは、なにいろかな?」

「しろ!」 はなちゃんとウマタロウはどうじにこたえました。

「そうね、しろいろだね。」

「でもね、このしろいろは、しろいライトからできているんじゃないのよ。」

「・・・え?」

「はなちゃん。えのぐでいろをまぜたりするよね?あかいろときいろをまぜるとなにいろになるかな?」

「うーんとね・・・オレンジ!」

「じゃあ、きいろとあおいろだったら?」

「みどり!」

「じゃあ、あかいろとあおいろだったら?」

「むらさき!」

「ふふ、せいかーい。じゃあ、あかいろとあおいろときいろぜんぶまぜたら?」

 あれ?なにいろになるんだっけ?はなちゃんは、ちょっとわからなくなりました。

 すると、ママがあかいろのねんどと、あおいろのねんどと、きいろのねんどを、つくえのうえにだしました。

「これ、ぜーんぶまぜまぜしてごらん。」

 はなちゃんは、いつものねんどのように、みっつのねんどをこねこねこねこねとまぜました。


 すると・・・まっくろのようなちゃいろのような、なんだかへんないろになってしまいました。

「へんないろになっちゃった・・・」

「そうねー。くろっぽいいろになったね。」

「じゃあ、こんどはこれをみて」

 はなちゃんがかおをあげると、つくえのうえのくろいがようしに、ままがライトをあてました。

「このいろは、なにいろ?」

「あか」

「じゃあこれは?」

「みどり」

「じゃあこれは?」

「あお」

 ママがよういした、あか、あお、みどりの3つを、ママはがようしのうえで、かさねます。


 ・・・すると、なんとしろいひかりになりました!


「うわーーーーしろい!!!!」

「ね、びっくりしたでしょう?」

「うん!」

ひかりのさんげんしょく、っていうのよ」


 あかいひかりと、みどりのひかり、そして、あおいひかりをかさねると、しろくなるなんてふしぎです。

ひかりは、あかとみどりとあお。このみっつがあると、どんないろにもなるの。」

「どんないろでも?」

「そう、どんないろにもなるの。だから、『あおはあおなれど、あおにあらず』なのよ。」

「…そっか、あおのひかりにいろんなひかりをあわせたら、あおじゃなくなっちゃうんだ!」

「そうよー。さすが、はなちゃん!」

 ママはうれしそうなかおをして、はなちゃんと、それからウマタロウのあたまを、こうごになでました。

「このクリスマスツリーも、おうちのでんきも、テレビもパソコンも、ぜーんぶあおいろがないと、しろにならないのよ。」

 あかいろのひかりと、みどりいろのひかり、それにあおいろのひかりがかさなったら、しろいひかりになる。

 ママは、サーベルかがくしょうのひとが、そのあおいろのひかりをだす、あおいろLEDのはつめいをしたのだと、おしえてくれました。

 LEDにあおいひかりができたから、それで、みんなはしろいひかりを、てにいれることができたのだと…。

 あおいひかりって、すてきだなと、はなちゃんはおもいました。

 ママのじっけんどうぐの、あおいひかりのぼうを、はなちゃんはにぎりしめながら、そのひはおふとんにはいりました。

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