第54話 スクロック出発

「ふー、いっぱい買いましたねー」

「うん! いーっぱい買ったー!」


 お買い物をしてクリスタ君とフクゥダ公爵様のお屋敷でのんびりです。

 クリスタ君は沢山煉瓦を買って、そして私は美味しそうな食べ物をいっぱい買いました。これでお腹空いても大丈夫です。

 さてと、後は明日の出発の準備でもしましょう。叔母さんにお昼前には出発するように言われてますし。


「れしあさーん」


 と、いつの間に窓の方に行ったんでしょう? クリスタ君が呼んでます。


「どうしました?」

「れしあさんの叔母さん来たー」

「え? 本当ですか!?」


 クリスタ君の隣で見てみたら、叔母さんです!

 暗い中、黒いお洋服着てるので見づらくはありますけど。

 それと叔母さんのところにいた人達も一緒です。


「レシア様、クリスタ様、いらっしゃいますでしょうか?」


 後ろのドアがトントン叩かれてそんな言葉が。

 誰でしょうかね?


「はい。いますよ」

「失礼致します」


 私が返事をしたらドアが開いてフクゥダ公爵様と使用人さんが立ってました。

 んー、何か用事でしょうかね?

 あ、もしかして―――


「レシア、ようやく出来たぞ。ほれ」


 私が予想したとおり、フクゥダ公爵様は戦大鎚ウォーハンマーを。

 って、なんか凄くキラキラしてるんですけど! なんですかこれ?


「凄ーい! キラキラしてるー!」


 イメージと違う物に唖然としちゃってたら私の隣でクリスタ君が凄ーいって言うのでハッとしました。


「どうじゃ? 渾身の出来じゃ」

「え、えーと、綺麗で、す、凄いです」

「そりゃあそうじゃ。お前さんの武器となるなら使って欲しいとオーラが材料を提供してくれてな。これにはコーメインで採れた高純度のミスリルを主体に鎚の縁にはこれまたコーメインの採掘場最奥で採掘された硬金を使用しておる。故に、そんじょそこらの武具ならいとも簡単に破砕できる程の攻撃力と頑丈さがあるからの。ほっほっほ」

「そうなんですか」


 よく分かりませんけど、大きくて全体的に白くて所々キラキラで凄く綺麗です。


「ちょっと持ってみてくれぬか?」

「あ、はい」


 受け取ってみると、大剣よりも重いですけどなんかしっくりきます!

 それに間近で見ると更にキラキラしてて綺麗です。それにあの金槌の叩く部分みたいなところ、クリスタ君の体の大きさの半分以上あって凄く大きいです。


「どうじゃ?」

「凄く良いです! ありがとうございます」

「ほっほっほ、そうかそうか。それと、ワシから、これをあげよう」


 と、フクゥダ公爵様が何かを出してきました。んー、鞄みたいに見えますけど。


「これなーに?」


 と、首を傾げていたらクリスタ君が。


「これはお主らがレオンから貰った鞄の改良品じゃ。物が入る場所を広げておるからお主らが持つ鞄の三倍、いや、四倍くらいは入るじゃろう。それに、重さ軽減の効果もパワーアップしておるから安心して使えるしな。更に、肩掛けも付けておいたからこのように出来るから便利じゃぞ」


 そう言ってフクゥダ公爵様は実演してくれました。おお、なんか良いですね!


「という事でほれ」


 鞄をフクゥダ公爵様が渡してくれました。

 ちょっと掛けてみましょうかね。


「どうですかクリスタ君」

「おー! なんか凄ーい!」


 ふふ、クリスタ君が目を輝かせてそう言ってくれました。


「僕もやってみたーい!」


 と、クリスタ君がそんな事を。という訳で鞄をかけました。

 ちょっとクリスタ君には大きな鞄って感じで少し地面に付いちゃってますけど、なんだか良いですね!


「れしあさんどーお?」

「とても似合ってますよ」

「わーい!」


 ふふ、クリスタ君喜んで可愛いですね。

 でもちょっと引きずっちゃってますけどね。


「それじゃあ、レシア、クリスタ。これから色々あるみたいじゃから、多分明日お主らの事見送る事は出来ないと思うからの。達者でな」

「はい。ありがとうございます!」

「ありがとー!」


 そうして二人でフクゥダ公爵様と使用人さんが部屋から出て行くのを見送ります。

 なんだか、いざ言われると、この街から離れるのなんか寂しく感じちゃいますね。


「ねぇねぇ、れしあさん」

「ん? どうしましたクリスタ君」

「たっしゃでーってなーに?」


 全く、クリスタ君ったら。


「達者でっていうのは元気で頑張ってって意味ですよ」

「そーなんだ!」

「そうなんです。―――さあ、クリスタ君。明日に備えて寝ちゃいましょう」

「うん!」


 そういう事で、クリスタ君は「お休みなさーい」とベッドに入りました。

 さて、私も早く準備して寝ちゃいましょう。と、言ってももう買った物とかは鞄の中に入ってますし。

 フクゥダ公爵様から貰った鞄は今は使わなくても良さそうですし、分かりやすいように一カ所に集めてっと。

 よし、それじゃあ私もお休みしちゃいましょう。


 そうして私がベッドに入ると最初に入っていたクリスタ君が既に寝息を立てているのが聞こえました。

 ふふ、クリスタ君おやすみなさい。


 そうして目を瞑った私が次に目を覚ましたのはカーテンから漏れた朝日の光によって。

 最早恒例のようにいつの間に来たのか私の腕の中で寝息を立てているクリスタ君を起こさないように起き、カーテンを全部開けて朝日を浴びます。

 なんか昨日寝ていたベッドは横の方だった気もしますけど気のせいですよね。それよりも、んー、気持ちいいです。

 今日は絶好の旅の出発日和ですね!


 と、いう事で!


「クリスタ君、起きて下さい。朝ですよ」

「んうー? あー、おあよーれしあさん」

「はい。おはようございます」


 クリスタ君を起こした私はいつものように髪をとかしたり、顔を洗ったり準備をします。

 って、クリスタ君。まーたベッドにポテって横になって。

 あ! そうです。


「クリスタ君」

「んんー?」

「起きて下さーい!」

「ほにゃー!?」


 昔お母さんにやられた方法ほっぺーむにーでクリスタ君を起こします。

 ふふ、どうですか! 両手で両頬を挟んでむにむにーってされるのは―――、って、なんでしょう!?

 クリスタ君のほっぺ初めて触りましたけど、凄くもちもちしてて気持ちいいです!

 はぁ~、ずっと触っていたくなりますよ~。


「れひあはんー」

「―――はっ!? あ、ご、ごめんなさい」


 バタバタしたクリスタ君の様子にハッとして手を離します。

 クリスタ君のほっぺが凄く柔らかくてずっと触ってちゃいましたよ。でももう少し触っていたかったですね。


「それじゃあクリスタ君、朝ご飯食べに行きましょうか」

「うん!」


 そうしてクリスタ君と一緒に朝食を頂くところへ。

 んふふ~、今日も美味しいです。


「それじゃあクリスタ君、お部屋に戻って準備しましょう!」

「うん!」


 使用人さん達にお礼を言って、お部屋へ―――。


「んー? おや、レシア。まさかここで会うとはね」


 戻る途中で叔母さんと鉢合わせました!


「おはようございます。叔母さん」

「おはよーございます」

「ああ、おはよう。二人は朝食済ませてきたのかい?」

「はい」

「うん!」

「そうかい。という事はこれから準備して出発かい?」

「はい」

「うん!」

「ふふっ、それじゃあ―――、レシア、しっかり教皇街に辿り着くんだよ?」

「え? はい! 勿論です!」

「それと、クリスタだったね。レシアの事、よろしく頼んだよ」

「うん!」

「それじゃあね」


 そう言って叔母さんは食堂に向かっていきました。

 ですけどなんか私に話しかけてきた時、少し暗かったような? うーん?

 もしかしてお腹空いて元気無くなっちゃったんでしょうかね?

 なら、今からご飯食べると思うので元気になりますよね!


「さあ、クリスタ君。叔母さんに言われたとおり教皇街目指して準備して出発しましょう!」

「うん!」


 そうして私達はお部屋に戻って準備をして、いざ出発です!


「お待ちしておりました。レシア様、クリスタ様」


 と、お屋敷の外に出たら使用人さんがそう言って頭を下げてきました。

 その向こう側。お屋敷の門の向こうに馬車の荷台が見えますね。

 その荷台にはなんかピシッとした格好の人がピシッと立ってます。なんかかっこいいですね。お耳もピンッと立ってて凜々しいです。


「公爵様より手配、いえ、ご用意されました、こちらの馬車をご利用下さいませ」

「良いんですか?」

「勿論で御座います」


 なんと、フクゥダ公爵様が用意してくれた馬車みたいです。


「ありがとうございます」

「ありがとーございます」

「その言葉は今度会った時にでも公爵様にお伝え下さい」

「分かりました」

「はーい!」

「この馬車は教皇街までとはいきませんが、半分の距離にある町まで行きますのでそこからはまた乗り換えて下さいませ」

「分かりました」

「はーい!」


 と言う使用人さんに返事をして馬車に乗車して、荷台にいる人にも挨拶をして―――

 って、あれ?

 お馬さんがです。

 お馬さんがいるはずの所には荷台にいる人と同じ服装をした人がいて―――、

 あっ! 下半身がお馬さんですよこの人達!


「あ! 間に合ったみたいです!」


 ビックリしていたらそんな声が。

 見ると、コクヨーちゃんとトパーズサイト様が。

 どうかしたんでしょうかね?


「あ! こくよーさんとお姫様ー! どーしたのー?」

「すみません、オリナークリスタとレシアさん。一つお願いがあってやって参りました」

「「 お願い? 」」


 何かお願いがあるみたいです。なんでしょうかね?


「ええ。もし、旅の途中で岩食族に出会ったら、安心して私のいるこの街に来て欲しいと伝えて欲しいのです。今、何人の民が生き残っているのか分かりませんが、コクヨーの両親がいるのは確実ですので、それでお願い致します」

「私もお願いしますです。おりなーなら出来ると思うです!」


 おー、なるほど。

 つまりコクヨーちゃんのご両親を見つければ良いんですね!


「分かりました! ちゃんと伝えますよ! ね、クリスタ君」

「うん! 見つけたら皆にお姫様のところに行ってーってゆーね!」

「流石おりなーです!」

「恩に着ます。オリナークリスタ、レシアさん」

「宝晶族様、そろそろよろしいでしょうか?」

「はい。お時間ありがとうございます」

「では―――、ケンタウロス快速の方々よろしくお願い致します」

「それではケンタウロス快速便、出発致します!」

「お客様、しっかりと座っていて下さい」

「「 ハイヤー! 」」


 そのかけ声と共に私達が乗っている馬車は走り出しました。

 さぁて、教皇街! 今から行くのが凄く楽しみです!

 あと、頑張ってコクヨーちゃんのご両親と、岩食族の方々も探しましょう!

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