第53話 占星光術師2

「へぇ。それで今そこの坊やと二人で旅をねぇ~」

「そうなんです」


 私はこれまでの経緯を叔母さんにお話ししました。

 まあ、旅に出てクリスタ君に出会ってここに来たって言っただけですけど。


「それじゃあ可愛い姪達の安全を祈願しつつ見ていこうかね。ほら、三人とも手を出しな」

「はい」

「はーい!」


 と言う事で私とクリスタ君とルーファンさんは手を前に。

 それにしても占い師さんが叔母さんだとは少し緊張が解けました。


「それじゃあ始めるよ。部屋が暗くなるけど驚いて手を下げないようにね」


 そう言うと叔母さんは丸い透明な玉を両手で掲げます。

 その動きからいよいよ始まるって分かって、凄くドキドキです。

 どんな感じなんでしょう。見届けるために目を凝らして見ないとですよね!


 そう思っていたら叔母さんの言ったとおり部屋の蝋燭の火が消えて真っ暗に。

 という訳じゃ無くて、なんと天井から点々とした光があって、薄らと明るいです! まるで夜みたいです!

 これどうなってるんでしょうか?


 すると叔母さんの手に持った玉が光っていきます。

 その光景が凄く神秘的で、綺麗です。

 これが占星光術なんですかー……。


 と、今度は玉に集まった光がそれぞれ三つに分かれて私達の手の方に向かってきます。

 その光景は不思議ですけど、綺麗で、凄く綺―――


「「 ふぁあー!!!目がぁーー!!! 」」


 なんか急に凄まじい光が!! 眩しくて椅子から転げ落ちちゃいました。

 うう、痛いです。あと、目がぁ……。

 ですけど、何か一瞬、何か誰か見えたような……。凄く寂しそうな誰かが。


「だ、大丈夫?」

「レシアさん、だいじょーぶ?」


 倒れている私に二人が声をかけて下さいました。うう、ありがとうございます。


「……私の事も心配してくれても良いんじゃないかい?」


 と、クリスタ君の手を握りながら立ち上がった私の視界にテーブルに腕をついて立ち上がろうとしている叔母さんの姿が。

 叔母さんも床に倒れちゃったんですか。

 と、そんな叔母さんが―――


「レシア、もしかと思うけど、この坊や。石を食べる子だったりするかい?」

「え? あ、はい。岩食族って種族らしくて食べますよ」

「―――やっぱりかい。……レシア、さっきの話でちゃんとそこまで話してくれれば。普通の人の子だと思って占っちまったじゃないか」

「岩食族だと何かダメなんですか?」

「ふえ? 僕ダメなのー?」

「いや、ダメって事無いんだ。けどね、さっきみたいに強い光が出ちまうからね。それに、―――嫌なもん見ちまったよ」


 叔母さんはそう言って膝をパンパンってして立ち上がりました。

 嫌なもんってなんでしょうかね?


「とりあえず、レシア。―――あんたにゃ伝えなきゃいけない事が二つある。良く聞きなよ?」

「あ、はい」


 気にしていたら叔母さんが凄く真面目な口調で言ってきました。

 伝えなきゃいけない事というと、なんでしょうかね?


「まず、そうさね。あんたにゃ妹がいるんだ。なんであいつフィオルが隠そうとしてたのかは知らないけど―――」

「ええ!? 私に妹がいるんですか!?」


 いて欲しいなって思った事はありますけど、私に妹がいるなんて。どんな子なんでしょう!?


「ああ、いるよ。それは今度教皇街に来た時に教えるから。だから、旅をして教皇街に着いたら私の所へ訪ねてくるんだよ?」

「分かりました!」


 ああ、そんな事を聞いたら今から凄くドキドキですよ!

 次に行く場所が決まりましたね。ムフー!


「よし、それじゃあもう一つだけどね。レシア、あんた達は明日の昼前にはこの街を出な」

「分かりまし―――……え? 明日ですか?」

「ああ。明日の昼前には出発だ。そうした方が良い」


 えーと、きゅ、急にそう言われても―――


「ま、待って下さい。武器を今フクゥダ公爵様に作ってもらっているところなので。まだ完成してないと思うので―――」

「ああ、その点は大丈夫だよ。見えたもの通りなら今日の夜にはあんたの所にフクゥダ工房長―――じゃなく、公爵が持ってくるはずだからね」

「え? そうなんですか?」

「ああ。でなけりゃ明日には出発しろだなんて言わないよ」

「な、なるほど」


 確かにそうですね。さすが叔母さんです!


「一体、何が見えたんですか?」


 と、叔母さんの言葉に納得していたら隣でルーファンさんがそう叔母さんに問いかけます。


「嫌なもんさね。一度に情報が入ってきたもんだから整理が大変だったけれど、私が見たのは―――、あー、いや、この話は後で、夜に公爵も交えて話さないとだね」


 あれ? 叔母さんなんで一瞬こっち見たんでしょうかね?

 んんー?


「なるほど。じゃあ、レオンにも後で伝えておきます」

「ああ、話が早くて助かるよ。ただ、あんまりあいつの手は借りたくないが。仕方ないだろうね」


 叔母さんはなんか腑に落ちないような表情です。何かあるんでしょうかね?

 あ、そうです。


「ところで夜のいつくらいにお話しするんですか?」


 夜にお話しするって言ってたのに聞いておかないと私達も集まれませんからね。


「え? ああ、大丈夫。レシアには関係の無い事さ。それに、明日出発しなきゃいけないんだからゆっくり休みな」

「えー! 私もお話聞きたいです!」

「街に関する事だから旅をしてるあんたが聞いても仕方ないだろう? それに早く妹に会いたくないのかい?」


 うっ、それは……。


「それは会いたいです」

「なら、今日は夜しっかり寝て。明日ちゃんと出発するんだよ? 良いね?」

「分かりました」

「よし。それじゃああんた達で最後って話だから―――」

「ねえねえ」


 叔母さんが何か言おうとしたらクリスタ君が横から叔母さんに声をかけました。


「ん? なんだい?」

「僕はどうだったのー?」

「どうだったてのは何がだい?」

「ふえ? 占い……」


 あー、クリスタ君。占いの結果が知りたかったみたいですね。


「あー、そうか。見えては―――、あー、んー、そうさねぇー。うちのレシアと一緒に旅をすると良いって出てたね」

「そうなの?」

「ああ、だからレシアと一緒に無事に教皇街までやって来な。美味しい煉瓦を用意しておくからね」

「本当ー!?」

「ああ、それは本当さね」

「わーい! 僕頑張って教皇街きょーこーがい行くー!」

「ああ、待ってるよ」


 ふふ。クリスタ君、凄く喜んでますね。

 それにしても私と一緒に旅をすると良いですか。なんか嬉しくなりますね。


「あれ? るーあんさんは?」

「え?」

「るーあんさんの占い聞いてないよ?」


 クリスタ君が首を傾げて叔母さんにそう言ってます。

 確かに、ルーファンさんの占い結果聞いてないですね。


「あー、それは今夜どうせ会うからね。その時で良いかなってね」

「えー? でもー」

「夜に向けて私は今から早めに休みたいんだ。分かってくれ」

「んー、分かったー」

「良い子だ。それじゃあ、二人はしっかり寝てまた教皇街で。ハイエルフの嬢ちゃんはまた後で」

「「 はーい 」」

「分かりました」


 そういう事で私達は叔母さんのいた場所を出て、ルーファンさんと分かれフクゥダ公爵様のお屋敷へ―――


「うー、気になるけどー。でも、れしあさん。楽しみだね。教皇街!」


 クリスタ君、ルーファンさんの占い結果知れなくて少し残念そうですけど、でも気持ちを切り替えてそんな事を。

 ふふ、クリスタ君たら。


「そうですね。あ! そうです! クリスタ君、明日早めに出発する予定ですし、煉瓦選びに行きませんか?」

「え? いーの?」

「はい! 教皇街に行くのに沢山買っていった方が良いような気がしますし、いっぱいあればクリスタ君嬉しいですよね?」

「うん! いっぱいの煉瓦、凄く嬉しい! あ。僕ね僕ね、赤煉瓦が良い!」

「ふふっ、じゃあ、買いに行きましょう!」

「うん!」


 そうして私とクリスタ君は煉瓦屋さんに行きます。

 まあ、行ったら煉瓦屋さんになんか微妙な表情されましたけど、どうかしたんでしょうかね?

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