第52話 占星光術師
クレサン様に場所を教えて貰って私とクリスタ君は占星光術師さんって方が来ているという占い屋さんまでやって来ました。
そんな私の目の前に映るのは、なんか布で覆われた建物の前に並んだいっぱいの人達です。
す、凄く多いです。
一体何人並んでるんでしょうか? いっぱいすぎて分からないですね。
「れしあさん、占い師さんところ並ばないのー?」
と、目の前の光景に立ち止まっていたみたいでクリスタ君にクイクイって袖を引かれました。
そ、そうですね。
「とりあえず並びましょうか」
「うん!」
という事で私とクリスタ君は列の最後尾に。
って、あれ?
「ルーファンさん?」
「―――え?」
私が声をかけると前に並んでいた人が振り向きます。
あ、やっぱりルーファンさんです。
「こんにちは。ルーファンさん」
「るーあんさん、こんにちはー!」
「ああ、うん。こんにちは」
それにしてもルーファンさんもここに並んでるという事は占ってもらいに来たんですね。
私達と一緒ですね。
「それにしても、変なタイミングで会うわね」
「え? そうですか?」
なんか変なタイミングだったんでしょうかね? というか変なタイミングってなんですかね?
「でも、丁度良かったかもしれない」
「はあ……」
今度は丁度良かったんですか。
「出来れば一人で入りたかったけれど、途中で術師が三人一遍に見てあげるから傍にいる者と順番に三人一組になって入ってって言い始めたから。それで最後尾の私が一人余った状況だった。そこにあなた達が来た。まあ、他の知らない人が来るよりはマシかもだけども」
なるほど。よく分かりませんけどそういう事みたいですね。
あれ? そういえば―――
「レオンさん達は一緒じゃ無いんですか?」
「レオン達は一つ前」
ルーファンさんが指した方を見ると、いました。レオンさんとディアナさんと、……誰でしょうかあれ。
うーん? 背は低いみたいですね。と、気になったその子が偶然横を向きました。
って、―――マイティアちゃんです!
いつも着ていた制服とは違う服を着てたので分からなかったですね。
「レシアさん達も来たんだね」
マイティアちゃんのいつもと違う様子を見ていたらそんな声が。
見ればレオンさんが私達に気付いて話しかけてくれたみたいです。
「うん! お姫様にね、せんせーこーじゅつしして貰えるよーって教えて貰って来たのー!」
レオンさんにクリスタ君が私達がここに来た経緯を教えてます。
「そうか。それは楽しみだな」
「うん!」
そんなクリスタ君の頭をディアナさんがしゃがんでなでなでして、クリスタ君嬉しそうです。
それからたわいも無い話をしながら待っていたら、レオンさん達の番になっちゃいました。
「それじゃあ、行ってくるよ」
レオンさん達はそう言って布で覆われた建物の中へ。
ああ、ついに次ですね。ワクワクしますよ!
「ところでレシアとクリスタ」
と、そんな折、ルーファンさんに呼び止められました。
なんでしょうかね?
「なんでしょう?」
「なーに?」
問いかけたらルーファンさんが勢いよく顔をこちらに向け―――
「中で聞いたことは絶対誰にも言わないで。 良い?」
な、なんか凄い迫力でそう言われました。
ひぃぃいい。怖いです!
「わ、分かりました」
「うん! 分かったー!」
「なら安心」
そう言うとルーファンさんはまた前の方へ視線を向けます。
うう、怖かったです。一体急にどうしたんでしょうか……。
「ところでレシア」
「はいっ!?」
また急に呼ばれちゃいました!
こ、今度はなんでしょうか!?
「レシアは、その、好きな人とかっている?」
「へ?」
す、好きな人ですか……?
なんで急にそんな事を聞いてくるのか分かりませんけど……
「そ、そうですね。お父さんとかお母さんとか、あとタイボクさんとか。クリスタ君とかオーラ様とかコロンさんとか―――」
「そう。あとは良いわ」
な、なんか溜息交じりにそう言われちゃいました。
ええ、なんなんですか……。
「僕もれしあさん好きー!」
ルーファンさんの様子にどう反応して良いか分からずにいたらクリスタ君がそう言ってくれました。
「ありがとうございますクリスタ君」
「えへへー」
「そういえば、一緒にいたあの子はどうしたの?」
クリスタ君の頭を撫でていたらふとルーファンさんがそう問いかけてきました。
あの子って誰でしょうかね? ……あ、もしかして
「コクヨーちゃんの事ですか?」
「違う。コロンだっけ? あの子」
あー、コロンさんの方でしたか。
「コロンさんならここで考古学者になるって言って今、フクゥダ公爵様のお屋敷にいますよ」
「そうなの」
「はい。そうなんです」
そう答えた後、特に何か話す訳でも無く沈黙が。
ど、どうしましょう。何か話題を―――。
話題を、話題―――
むむむむむ……。
っ!
そうです! これですよ!これを聞いてみれば良いんですよ!
ふっふっふ。流石、私。
「ところでルーファ―――」
「レシアさん達、終わったから次どうぞ」
話かけたところで丁度レオンさん達が出てきました。
うう、折角あの重たい空気をなんとか出来る話題が出たのに!
「れしあさん行こー」
がっかりしていたらクリスタ君に手をクイクイ引かれ、渋々建物の中へ。
ちょっとがっかりした気持ちはありましたけど、中に入ったらその中の光景になんか少しどうでも良くなりましたね。
暗いのを蝋燭で照らしているのがなんかこう、綺麗です。
と、そんな中で更に布があってその隙間から光が見えます。
「さあ、中へ」
と、その布の前には人が立っていて私達に中に入るように促してきました。
その人は薄暗くてよく見えませんでしたけど。
そうして言われたまま中に入ると、白い布がかけられたテーブルの前に一人のエルフが座って、俯き加減で―――って、……あ、あれ?
この人、どこかで見た事があるような?
「さあ、席に座るが良い」
あっ! この声! 思い出しましたよ!!
「メリア叔母さんですか!?」
「え?」
私の言葉に固まるメリア叔母さん。そして叔母さんは俯き加減だった顔を上げます。
「うえ? あ、あんた、え? まさか、レ、レシアかい!?」
「そうです。レシアですよ。お久しぶりです!」
まさかこんな所で会えるなんて思ってなかったです。
「こんなに大きくなって。私が隠れ家にお邪魔した時なんてまだそこの坊やくらい小さかったのに。元気してたかい?」
「はい。元気でした」
「それは喜ばしい事だよ。それにこんな所で会えるなんて。ところで
「あの、叔母さん」
「ん? レシア、どうかしたのかい?」
「お父さんとお母さんはですね―――百年前に亡くなりました。」
「え?」
私の言葉に叔母さんは固まっちゃいました。
「あの二人が死んだ? なんでまたそんな事に?」
「分からないです。けど、二人でお出かけしてそのまま。タイボクさんが森の前で血まみれで倒れているお父さんとお母さんを見つけてくれて―――」
「……はあ、そうかい。全く。だからそんな遠くに住むなって言ってたのに」
叔母さんは私の話を聞いて、なんというか少し怒っているような感じです。
でも、なんというか少し寂しそうな感じもします。
「レシア、ちょっとこっちに来な」
と、叔母さんがふとそんな事を。
なんで、しょうかね?
そう思いつつ叔母さんの傍に近寄ると―――
「よく頑張ったね。レシア」
ギュッと抱きしめて頭を撫でてくれました。
う、うう……。
私は思わず叔母さんに抱きついて―――
「ちょっと、レシア! あんたアルラウネの血も入ってて怪力なんだから昔みたいな感じで全力で抱きつくんじゃ無いよ。昔でさえぇぇええええ!!!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます