第51話 デッサン見学

 目の前に映るその姿は、もう言葉が出なくなる程、凄く、綺麗です。


「お姫様きれー!」

「です! お姫様きれーです!」


 隣に座るクリスタ君とコクヨーちゃんが目を輝かせて私が思っている事を。


「あら~、もう、素敵~」


 私達から少し離れた所ではカリンさんがポーズを決めているトパーズサイト様を見て手を合わせてます。

 でも、本当に綺麗です。お日様みたいな光がトパーズサイト様を照らして。

 トパーズサイト様の腕輪とかがキラキラ輝いてて。凄く綺麗です!


「ありがとうございます。ですけど、このポーズは一体……?」

「ん? いやねぇ、良いものを手に入れちゃったのよ。それで、そのポースをしてもらおうと思ってね」

「そうなのですか」


 カリンさんの言葉にトパーズサイト様はそう返しましたけど、良いものって一体なんでしょうかね?

 んー、気になります。というかトパーズサイト様のそのポーズはどこかで見たことあったような……?


「ありがとうございます宝晶族様。お陰で残りのデッサンが揃いました」


 気にしていたらお絵描きをしていた人がそう言ってお礼を言ってます。

 どうやらもう終わっちゃったみたいです。

 まあ、私達が来たのは途中からだったので仕方ないですけど。


「いえ、こちらこそ。……ところで残りとは何の事でしょう?」

「ふふ、気にしなくて良いの」

「そう言われますとますます気になるのですけれど……」

「もう、トパーズちゃんたらー。でも、今回は教えられないから諦めることね」

「んー、そうですか。分かりましたわ。今回は諦めます」

「物分かりが良くて助かるわぁ」


 カリンさんはふふって笑って、「さて」って声を出します。


「それじゃあ私達はこれでおさらばするわね。私もデッサンして貰わなくちゃいけないもの」

「え? カリンさんは別に要らないですけど……」

「え? 何でよ。ああ、照れてるのね。全く、照れなくても良いわよ。この肉体美を遠慮無くキャンパスに描きなさーい」

「では、失礼致します。ありがとうございました宝晶族様」

「あ、こら。待ちなさーい!」


 そう言ってお絵描きしてた人とカリンさんが出て行っちゃいました。

 なんか仲いいですね。


「ところで、先程の、カリンさんが話していらっしゃった残りという話に関してオリナー・クリスタとレシアさんは分かりますか?」


 二人を見送ったらトパーズサイト様がそんな事を。

 やっぱり気になるみたいです。ですけど―――


「んー、私もよく分からないです」

「僕もー」

「そうですか。ならこれは知ることは難しそうですわね」


 トパーズサイト様、凄くがっかりしてる様子です。

 何かしてあげたいですけど、でも、何か出来るような気はしませんし……。


「ところでオリナー・クリスタ。先程から何をしていらっしゃるのですか?」


 悩んでいたらトパーズサイト様のそんな声が。

 見ればクリスタ君、目の前のテーブルに紙を広げてお絵描きしてますね。


「えーとね、お姫様描いてるのー!」

「私をですか!?」

「うん! あの人がお絵描きしてたから僕もしたくなったのー!」


 そう言って手を動かすクリスタ君。

 それを横で見ているコクヨーちゃんが目を輝かせて「おりなー上手です!」って言ってます。

 まあ、クリスタ君上手ですからね。


「そうなのですか。でしたら出来たら見せて頂いてもよろしいでしょうか?」

「うん! いーよー!」

「ふふ、ありがとうございます」


 そうしてお絵描きしているクリスタ君を見ていると、「できたー!」ってクリスタ君が描いていた紙を上に掲げます。

 ふふ、無邪気で可愛いですね。

 と、クリスタ君はその紙を持ってトパーズサイト様の元へ


「お姫様、できたー! はい」

「ありがとうございます」


 そう言ってクリスタ君から紙を受け取ったトパーズサイト様は視線を紙に移すと、凄く驚いたような表情になっていきますけどどうかしたんでしょうかね?

 見た感じ普通に上手かったと思うんですけど?


「これ、本当にオリナー・クリスタがお描きに?」


 と、トパーズサイト様がそんな表情のままクリスタ君に。

 そんなトパーズサイト様にクリスタ君は元気に「そうだけどー?」って首を傾げるとトパーズサイト様はなんか慌てた様子で「あ。そ、そうですわね」って言いました。むむ? なんかあったんですかね?


「凄くお上手ですわ。オリナー・クリスタ」

「えへへー、ありがとー」


 トパーズサイト様は先程とは打って変わって優しい表情でクリスタ君に言うとクリスタ君は嬉しそうに返事してますけど、さっきのトパーズサイト様の表情なんか気になります。

 気になりますえけど、クリスタ君が嬉しそうなので良いですかね。


「では、こちらお返し致しますね」


 と、トパーズサイト様はそう言うと紙をクリスタ君の方へ。


「それ、お姫様にあげるー!」


 ですけどクリスタ君は笑顔でトパーズサイト様にそう言います。

 トパーズサイト様は「よろしいのですか?」って少し驚いた様子で言ってます。それにクリスタ君は「うん!」って元気に頷きます。

 トパーズサイト様はそんなクリスタ君に優しい笑みを浮かべます。

 なんだか凄く暖かい感じの笑みに感じますよ。


「ありがとうございますわ。オリナー・クリスタ」

「です! おりなーありがとーです!」


 トパーズサイト様に続いてコクヨーちゃんも何故かお礼を。


「えへへー、僕もありがとー」


 そんな二人にクリスタ君は笑顔でそう返答します。

 ふふ、なんか暖かいですね。


「ところで、オリナー・クリスタとレシアさん、お二人はこれからどうされるのですか? 私、これからコクヨーと共に予定があり一緒にはいられないので」


 と、トパーズサイト様がそう問いかけてきました。

 んー、そうですね。


「特に考えてませんでした。どうしましょうか、クリスタ君」

「どーしよーね?」


 んー、特に考えて無かったのでお互いに顔を見合わせても全然思い浮かびません。

 むむー。


「であれば、占いなんてどうでしょうか?」


 悩んでいたらそんな声が。見るとクレサン様がドアを開けて立っています。


「占い……。ああ、今日はその日でしたか」


 クレサン様の言葉にトパーズサイト様はなんか納得していますけど今日はその日って忘れてたんですかね?


「占いってなーに?」


 そんな中クリスタ君が首を傾げて問いかけます。

 クリスタ君、占い知らないんですね。では、ここは私が!


「占いはですね。占い師という方から望みごとに関する未来の事柄や運を見て貰う事ですわ。叶うのか叶わないのかのように」

「そーなんだ!」


 あうう、まさかトパーズサイト様に先を越されるなんて……。

 あれ? ですけど、


「占いって自分でやるもんじゃ無いんですか?」


 私、いつも自分でやってましたし。お母さんとかに教えられた方法で。

 でも、誰かを見たりはしなかったような……?


「レシアさんは占いの術を知っているのですね」


 むむむとしていたらトパーズサイト様からそんな言葉が。


「れしあさん凄ーい!」

「です! れしあさん凄いです!」


 トパーズサイト様の言葉に続いてクリスタ君とコクヨーちゃんもそんな事を。

 な、なんだか照れますね。


「でも、自身で見るのとは違う感じを味わえると思いますので、どうでしょうか? 毎年光晶祭の後にお呼びしている教皇街にいる凄腕の占星光術師せんせいこうじゅつし様ですし。現教皇様の叔母という話もありますし」

「そうなんですか」


 なんだか凄そうな人ですね。


「せんせーこーじゅつしってなーに?」


 と、私の隣でクリスタ君が首を傾げています。

 んー、


「なんでしょうね?」


 そういえば占星光術師ってなんでしょうかね? 占い師さんの話からいきなり出てきた単語ですし、占い師さんなんでしょうけど、うーん?


「占星術師とは星から降り注ぐ光を丸い魔宝石へと集め、占われる人の手に当たった光の感じで運を占う人の事ですね。私もそれくらいしか詳しくは分からないのですけど」


 へえ、そんな占いなんですか。クレサン様、物知りです。というか聞いていたらどんな占いなのか気になっちゃいました! 手に当った光を見て占うってどんな感じなんでしょうか!

 それに、誰かに占いされるのって初めてですし、もし占って貰えたら初体験ですよ!


「なんか凄そう! れしあさん、行ってみよー!」


 と、クレサン様のその言葉を聞いたクリスタ君も目を輝かせて私にそう言ってきます。

 そうですね。


「行ってみましょう。私もその占星光術気になりますし」


 こうして私達の次の目的地が決まりました!

 ああ、考えただけで凄くワクワクしますよ!

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