第50話 お絵かき
お話も終わってトパーズサイト様のお城からフクゥダ公爵様のお屋敷に戻って来た私達はとりあえずお部屋に戻って荷物を置いて、そこで使用人さんから「夕食の用意が出来ました」と言われたので食道へ。
と行く予定だったんですけど、クリスタ君が「僕もうお腹いっぱいだからお部屋にいるー」って言ったので私一人で今日、ご飯を頂いた部屋へと案内されました。
「わぁ~!」
そこには凄い量のご飯とかおかずがズラリと。
「それでは何かありましたらメイドへお声かけ下さい」
「はい。ありがとうございます」
そうして使用人さんは礼をしてお部屋から出て行きます。
はぁ~、それにしても美味しそうです。見てたらお腹がなっちゃいました。
それじゃあ、早速!
「いただきまーす!」
そうして私は思う存分食事を楽しみました。
ふふ、満腹です~。私は満足しつつお部屋に戻ると、クリスタ君がテーブルに向かって何か真剣にせっせとやってるのが見えました。
何してるんでしょうかね?
「クリスタ君、何してるんですか?」
「あ、れしあさん。えーとね、お姫様のことお絵かきしてたのー」
「そうなんですか」
「うん!」
元気に返答するクリスタ君。
その横から絵を見てみると、なんというか昨日も見たのと同じように凄く上手いです。
細かいところまでちゃんと描いてますし。
それにしても、この感じ、
「クリスタ君、なんでトパーズサイト様が煉瓦を見てるところなんですか?」
明らかにトパーズサイト様がコクヨーちゃんから煉瓦を受け取って眺めてたところですよね?
「凄くお姫様がキラキラしてたから!」
「なるほど」
言われてみれば、確かに。なんとなく良い感じの表情をしていたと思いますね。
「あとねあとね、ふくーだこーしゃく様も描いたのー!」
「え? あ、本当ですね」
今、クリスタ君が描いてる所を見ていたので言われるまで気付きませんでしたけど、隣には確かにフクゥダ公爵様が描かれてますね。
ですけど、これはどんな場面なんでしょう? なんか上を見てるところですけど……。
んー……?
あ! そうですよ。クリスタ君に訊いてみれば良いんですよ。
「クリスタ君クリスタ君」
「んー? なーにー?」
「このフクゥダ公爵様ってなんで上見てるんですか?」
「上ー? あ! えーとね、れしあさんが剣をぱきーんって飛ばしたところだよ! その時にねふくーだこーしゃく様ね上見てたの! それを描いたんだよ!」
「はー、なるほど」
その時、そんな事があったんですね。初めて知りましたよ。
というか、剣を壊しちゃった話はあんまりしないで欲しいですけど……。
ん? あれ? そういえば、なんで見てたならフクゥダ公爵様避けなかったんですかね?
むむー、謎です。
って、クリスタ君が今描いてる紙の横にある紙にも何か描いてありますね。なんでしょう?
気になりますね。
「クリスタ君、その紙に描いたの見せてもらってもいいですか?」
「いーよー」
私の言葉にクリスタ君はその紙を「はい」って渡してくれます。
その紙を見てみると、そこにはカリンさんとかノクターンホロウの時のコロンさんとかの絵が描かれてます。あと、私が初めて買い物した時の屋台の人とか他の屋台の人とか、踊ってる人とかの絵も描いてありますね。
むむぅ、どれも上手でなんか凄いですけど悔しいですね。
ですけど、クリスタ君が頑張って描いたんですから褒めてあげるのが良いでしょう。褒めて貰えると嬉しいですし。
「クリスタ君、いっぱい描きましたね」
「うん! れしあさん来る前にいっぱい描いたの! あとね、見て見て! 出来たー!」
そう言ってクリスタ君が見せてくれた絵には煉瓦を見上げてるトパーズサイト様とそれを見てるコクヨーちゃんとクレサン様があの時の様子のままそこにいるように描かれてます。
「おー! クリスタ君、凄いですねこれ! 皆さんが絵になっちゃったみたいですよ!」
「そんなにー?」
「そんなにですよ! 凄いです!」
「えへへー、ありがとー!」
私の言葉にクリスタ君は嬉しそうに微笑みます。
でも、凄いですから凄いですよね!
とクリスタ君の絵に感心していたら、ふぁーって可愛らしい欠伸の声が。
見ればクリスタ君が目を擦って少し眠そうです。そういえばもうお外は真っ暗ですね。
「クリスタ君、眠いですか?」
「んー、うん。楽しくて嬉しかったけどね、なんか眠くなってきちゃった」
「そうですか。じゃあ、あとお休みしちゃいましょう。明日もいっぱい街回ってみたいですし」
「うん」
ということで、私とクリスタ君は眠る準備をしてベッドへと。
ベッドに入ると、凄くふかふかです。
これじゃあ、すぐにでも寝ちゃいますよ~。
「それじゃあ、クリスタ君。おやすみなさい」
「おやすみなさーい」
そうしてクリスタ君の眠そうな返事を聞いた私は、その後すぐに眠っちゃったみたいで気付いたら朝になってました。
今日は―――、晴れみたいですね。昨日は雨だったので出来ませんでしたけど今日はいっぱい光合成出来そうです。
ということでまたまた腕の中にいるクリスタ君を起こさないようにそっと起きて窓を開けて光合成です。
んー、とっても気持ち良いです。
そうして光合成を満喫した私。さて、それじゃあ。
「おはようございます。クリスタ君、朝ですよ!」
「んぅー」
クリスタ君を揺すり起こすとクリスタ君は少し動いてから少し目を開いてこちらを見て―――。
「おはよー。れしあさん」
「はい。おはようございます」
お互いに挨拶をして、お目覚めなクリスタ君はんーって伸びを。
さて、クリスタ君も起きましたし今日はどうしましょうかね。
「あれ?」
と、そう考えていたらそんな声が。
見ればクリスタ君です。首を傾げて、どうかしたんでしょうかね?
「クリスタ君、どうかしました?」
「お絵かきしてた紙が無いのー」
「へ?」
クリスタ君の言葉にテーブルの方を見てみると、確かに無くなってますね。
昨日、片付けてないですし、無いって事はないはずなんですけど……。
あ、もしかして下に―――、……無いですね。あ、もしかして。
「もしかしたら、凄い絵だったので妖精さんとかが持っていっちゃったのかもしれませんね」
「そうなの?」
「はい。よく、大切な物とか綺麗な物はしっかりお片付けしないと自由な妖精さん達がいらない物だと思って持っていっちゃうってお母さんに言われましたし」
「そーなんだ。あ! もしかしてよーせーさんって、のくたーんほーろーなの?」
「え? んー、どうなんでしょう? 多分、違うと思いますけど」
「そーなの?」
「はい。コロンさんは妖精さんじゃないですから」
「そっかー」
「ですけど、妖精さんに持って行かれちゃったら妖精さんのお家に行かないと取り返せませんし、困りましたね」
「んー、絵ならまたお絵かきすれば良いから、よーせーさんにあげる!」
悩んでいたらクリスタ君はそんな事を。
「良いんですか? クリスタ君」
「うん! だって、よーせーさんも僕の絵きれーって思ってくれたんでしょ? だから、あげるの」
「優しいですねクリスタ君」
クリスタ君の頭を撫でてあげるとクリスタ君はえへへーって笑顔に。あ、なら、今日はそんな優しいクリスタ君にご褒美に予定を決めて貰えば良いですね。
「そんな優しいクリスタ君、今日はどうしましょうか? 今日はどこに行くかクリスタ君が決めて良いですよ」
「いーの!? それじゃーね」
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