第37話 光晶祭 -解決の後で-
「―――という感じですけど」
さっきクリスタ君が話した後にそのまんまだったので私が言う事無いですけどって言ったら「後生じゃ」ってフクゥダ公爵様に泣きつかれたので、さっきクリスタ君が話した事を私ももう一度話しました。
後生の意味は分かりませんでしたけど、泣かれたら仕方ないですよね。
「ワシ、
「ですけど、言わんとしてる事は分かりますわ」
「まあ、言わんとしてる事はですけどね」
ですけど、話してと言われて話したのに、皆さんの言葉なんとなく腑に落ちません。
なんでか分かりませんけど……。
「まあ、この話についてはレオン達が起きたら本人達からも聞く事にしよう」
「そうですわね」
フクゥダ公爵様とオーラ様がそう話します。ですけど、むむぅ、腑に落ちません。腑に落ちませんよ!
「おりなー、凄いです。頑張って凄いです!」
「僕も頑張ったけどね、でもね、れしあさんがね凄くね頑張ったの!」
「はわー、それじゃあ、れしあさんも凄いです!」
「うん!」
なんでしょう。あっちの方の会話が良い感じに感じるんですが。
何の話してるのか分かりませんけど。
「とりあえず、容疑者も勇者達も皆無事に帰ってきた訳じゃ。詳しい事は後日聞くとして一旦、皆、戻った方が良いじゃろう。と言っても、ほぼ避難所しか無いが。オーラ子爵殿とお付きの者はワシの屋敷に泊まると良いじゃろう。あと、そうじゃな」
そこでフクゥダ公爵様は顎髭を撫で少し考え出しました。
「そういえば、そこのコロンとか言ったな」
「はい」
「お主も我が屋敷に来てくれ。少し手伝って欲しい事がある」
「お手伝いですか? 何が出来るか分かりませんが、分かりました」
コロンさん、お手伝いですか? 一体どんなお手伝いするんですかね?
「それと、コクヨー。お主はここに残った方が良いじゃろう」
「え? なんでです?」
「お主は貴重な種族であるからのぅ。それに、トパーズサイトと一緒の方が嬉しいじゃろう?」
「お姫様と一緒です? それは嬉しいです!」
コクヨーちゃんはるんるんって感じで答えました。凄く楽しそうです。
「という事で、お主も今日はここに泊まると良いじゃろう」
「ふえ? 僕も?」
「何、悪い話では無いじゃろう。トパーズサイトもコクヨーもおるのじゃ。たまには同族同士話すのも良い経験じゃろう」
あー、確か、クリスタ君の種族って絶滅したとかって言われてましたね。それなら一緒の種族同士でお話しするのも、……あれ?
コクヨーちゃんは兎も角として、トパーズサイト様って
それなのに同族って、うーん?
「ちょっと、フクゥダちゃん。そういう事はあまりしない方が良いわよ。私の目があるうちは」
私がそう考えていたら怖い雰囲気が伝わってきて、見るとカリンさんが少し怖い笑顔でフクゥダ公爵様に詰め寄っていました。
「な、なんの事じゃ? ワシは純粋に同種族同士でいるのもいいもんじゃろうなーと思って提案しただけであって、まあ、そこでそういう事があってもまあ、しかないかもしれぬとは思うが、断じてな。そういう事では無いぞ?」
「もう、本当に嘘つくの下手ね」
呆れた様子であわあわしているフクゥダ公爵様を見るカリンさんですけど、むむむ?
フクゥダ公爵様、嘘ついたんですか?
というかどういう嘘なんでしょうか? うーん? 謎です。
「あのお取り込み中失礼しますが、グリノレッジ公爵様。一つよろしいでしょうか?」
「む? オーラ子爵殿、どうかしたか?」
詰め寄られて、腰が逆に曲がりそうになっていたフクゥダ公爵様は首を動かしてオーラ様の方へ逃れました。
なんというか、まるでフクロウさんみたいな動きですね。あれ、凄く首回りますけど痛くないんでしょうかね?
「そちらの、レシアさんが知りたい事がございまして、その知識をグリノレッジ公爵様にその事について聞くためにここまで来られたので、教えて頂ければと」
「ふむ、そうなのか」
「はい。それで―――」
そんな感じで凄く丁寧な感じでオーラ様が話してますけど、あ、そういえばそうでした。
私、フクゥダ公爵様に聞きたい事あったんですよ。って、あれ? その聞きたい用事ってなんでしたっけ?
あ、大変です。ど忘れしてしまいました。
今のうちに思い出さないと。えーと、えーと……。
「ほう、岩食族についてか」
「ああ! そうです! 私、岩食族についてお話聞こうと思ったんですよ!」
ああ、良かった。フクゥダ公爵様のお陰で思い出せました。
ふう、すっきりです。
って、あれ? なんでしょう? なんかオーラ様が凄く見たことも無いような顔して私の方を見てきましたけれど……。
「
うーん、確かにそうですけど、クリスタ君も分らないって言ってましたし。
「僕もよくわかんないからね、聞きに来たの!」
「そーなんです?」
「うん! そーだよ!」
「ほえー、そーなんですか」
クリスタ君の話を聞いてコクヨーちゃんは納得してくれたみたいです。
「なんか、うーん、まあ、よい。それじゃあ、お主らはワシの館に来い」
「分かりました!」
「はーい!」
ということで、荷物を持って私とクリスタ君。コロンさんとオーラ様とセナさんとでフクゥダ公爵様の後をついてトパーズサイト様の住んでいるとこを後にします。
そうして歩く私達。
キングゴーレムさんが暴れていたため街は色々とめちゃくちゃですけど、そんな街を進んでいくと次第にめちゃくちゃになった建物はなくなって、立派な建造物が多く残る場所へとやって来ました。
その中の道を進んでいくと、トパーズサイト様の住むところよりは小さな感じですけど、立派なお屋敷が見えてきました。
「ご苦労。門を開けてくれ」
「「 はっ! 」」
お屋敷の門の前に立つ兵隊さんにフクゥダ公爵様が声をかけると兵士さん達は凄くビシッとした感じの声を出して二手に分かれると、門の大きな扉が開きましたよ!
どうなってるんですかこれ?
「さ、では参ろう」
凄く不思議な光景に疑問を抱えながらも、私はフクゥダ公爵様に促されて屋敷の方へ。
中に入ると、凄かったです。
オーラ様のところも凄かったですけど、こっちも凄いです。
「では、まず、……ちょいとお嬢さん。なんか光っておるんじゃが」
「へ?」
ぼーっと周りを見ていたらフクゥダ公爵様から突然そんな事を言われました。
けど、光って何でしょう?
私何か光ってるもの持ってましたっけ?
「って何ですかこれー!?」
そう思って自分の身の回りを見回したら、私のバッグが光ってます!
な、なんですかこれ!?
なんか光るもの入れてましたっけ?
うむむむむ、なんでしょう? 気になります。
「えーと、レシア。そのバッグって何入れてるの?」
気にしていたらコロンさんが訊ねてきました。
何が入ってるかですか……。
「えーと、オーラ様から頂いたお野菜とか食材とか、あと、硬金と、あ、そうです。皆さんを抱えて運ぼうと思ったので私の剣も入ってますね」
確かそんな感じで入れてましたね。
これ、レオンさんから頂いたバッグですし。あ、もしかしてもう入らないっていう事で光ってるんでしょうか?
あ、それはありそうですね。
「もしかしてもう入らないって事で光ってるのかもしれませんね」
「いや、それは無いと思うが……」
「え? 違うんですか?」
「うむ。それはワシが設計、開発したものじゃからな」
「そうなんですか!?」
へぇー、これフクゥダ公爵様が作った物なんですか!
「じゃあ、何がぴかーってしてるの?」
と、反対側からクリスタ君がぴょこっと顔を覗かせて訊ねてきました。
「んー、なんでしょう? 出してみますか」
「うん!」
提案にクリスタ君は元気に返事をしてくれます。
なら早速―――
「いやいや、待ってくれ。もし大変な事になったらどうするんじゃ! 開けるなら外で、外で開けてくれ!」
取り出そうとしたらフクゥダ公爵様に止められちゃいました。
でも、確かに。何か危ないものだったら大変ですもんね。
「分りました。それじゃあ、外で見てきますね」
「うむ、そうしてくれ」
「はい」
ということで、早速外へ―――
「待って!」
行こうとしたら、どこからともなくそんな声が。
するといきなり私の目の前に何かが落ちてきてびっくりです!
何が落ちてきたのか見たら、人が落ちてきたみたいで私の前に人がいます。って、あれ?
この人どこかで……?
「その、光、見せて」
思い出そうとしていたらその人は急にそう言って指をこっちに向けてきます。
「これですか?」
私が光っているバッグを見せるとその人はコクリと頷きました。
んー、なんで見たいんでしょうか? あ、もしかしてなんで光ってるのか分るんでしょうかね?
「お主、何故ここに? 部屋で待っている様に言ったはずじゃが」
「すみません。でも、その、声が、呼んでいたので、その入れ物から」
「呼んでいた?」
「はい。なので、それを見せて欲しい」
そう言われても。
「見せたいですけど、何か危険があるかもって話になって今から外で見てこようと思ってたんですけど……。あ!」
凄い事を思いつきましたよ!
「そうです! 一緒にお外行って、中身見に行きましょう!」
ふふ、流石私。これなら万事解決です!
そう思った瞬間、いきなり腰の辺りがグンッて感じがして、バッグが引っ張られたような感じがです。
というか何かに引っ張らてます!いえ、よく見たらなんというか中からバッグの蓋が盛り上がってて中で何かが出ようとしてるみたいです!
何が出ようとしてるんでしょうか!?
ですけど、ここで出てくるのは、というか出すのはまずい気がします!
そう思って押さえようとした瞬間、バッグの口が開いて中から何かが飛び出しちゃいました!
そして、それは目の前の人の方へ行っちゃいました!
ですけど、急に動けずに見ているしかない私。
と、その人は上手く掴んだ様子で手にそれを持っています。
それは、私の剣です。
って、剣が飛んでったんですか!?
そしたらその人はよく分からない言葉でその剣に話しかけています。って、あのよく分からない言葉で思い出しました!
この人、遺跡で出会ったあの人です。
と、その遺跡で会った人は目の前で突然、私の剣を掲げ始めます。
一体どうしたんでしょうかね? ですけど、何故でしょう。嫌な予感がします……。
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