第32話 光晶祭 ー部屋漁りー

 アンデットさん達を無事に祝詞で送ってから、私達はとりあえずどうしようかと考えていると、トパーズサイト様に「一度、クレサンの部屋を調べてみたら霊廟の場所分かると思われます」と言われました。

 その話を聞いて皆さんが確かにその通りという事になって、私もその通りだと思いました。流石はトパーズサイト様です。

 というわけで私達は今、トパーズサイト様の住んでいるお屋敷に来ています。


 でも、その普通に入ろうとこの屋敷に来た時に、トパーズサイト様いるのに入り口で止められちゃいました。

 そのトパーズサイト様が説明や説得しても、入り口の人達が全く信じてくれなかったんですよ。

 もしかして格好で分からないのかと思ってトパーズサイト様の黒布の服を外したら、入り口にいた人達が凄く驚いてました。

 皆さん、格好で分からなかったんですね。


 ただその時にコロンさんが「あ」と何かに気付いた様子でしたけど、何だったのかよく分かりません。


 まあ、そんなこんなで私達は中へと入ると、なんていうか凄く立派で、中もなかなか凄いです。

 色々キラキラしたものがありますし、置かれてる壺とかもキラキラしていますよ。


「こちらです。皆様」


 辺りを見渡しながらトパーズサイト様について行き、クレサン様の部屋の前までやって来ました。

 そこは他のお部屋と同じようなドアです。

 私達はトパーズサイト様を先頭に中へと入っていきました。


 その中は、なんていうか、す、凄かったです。

 壁一面に色々な紙が貼られてて、そこには大きな文字で『許さない』とか『父のかたき』とか書いてました。

 なんていうか凄く怖いって感じの部屋です。ぞわぞわしますよ。


「クレサン……」


 その部屋に入り、ポツリと聞こえます。声的にトパーズサイト様みたいです。


「と、とりあえず、手分けして探しましょ」

「そ、そうですね」


 カリンさんの言葉にコロンさんが返答して、私達は部屋の中を色々探します。

 といっても、色々紙があってどれがそれなのか分かりませんけども。


 というか、なんか光る黄緑色の液体の入った変な形のコップみたいな物とかありますし、でも、あの液体は普通に安心して良いような感じがするのは何でなんでしょうかね?

 って、あ、あれ? その隣にある小瓶に入ってるあれって。


 そう思って小瓶の中にあるそれを手に取ってみたら、間違いないです。この質感。これ、私の髪の毛ですよ!?

 ええ!? なんでこんな所に丁寧にあるんですか!?

 よく分からないですけど凄く寒気がします!? うひゃー!


「レシア、大声出してたけど何か見つかったの?」


 自分の髪の毛を見つけて寒気の走った私の背中にコロンさんが声をかけてきました。

 というか他の人達も寄ってきています。

 でも、気持ち悪いので皆さんに話します。一人だけぞわぞわしてるの嫌ですから!


「あの、何故か知らないですけど。ここに私の髪の毛があるんですよ!」


 現物を見せながら説明したんですけど皆さんなんか変な顔してます。なんていうか疑っているような、信じてないような。でも、置いてあったんですって!


「まあ、レシアの髪、緑色だし珍しいからじゃない? 種族的にもエルフとアルラウネのハーフだし」

「でも、クレサン。そんな趣味あるなんて一言も聞いたこと無いですけれど」

「ちょっと待って。確かレシアちゃんはアルラウネでもあるのよね?」


 皆さんが普通な感じで話していたら、カリンさんが問いかけてきました。


「へ? はい。そうですけど」


 とりあえず答えましたけど、そんな事気にしてどうかしたんでしょうかね?


「アルラウネって言ったら……」


 そう思っていたらカリンさんがポツリと呟いてあの光っている液体に目を向けていました。

 んー? 何かあるんでしょうかね?


「その液体、絶対にクリスタちゃんとコクヨーちゃん、あとトパーズちゃんには触れさせないで」


 そう思っていたらカリンさんがそんな事を言いました。

 触らせる気は無いですけど、どうかしたんでしょうか? というか何なんでしょうかね? これ。


「なんでダメなの?」

「です。なんでダメなんです?」


 この液体がなんなのか疑問に思っていたら、カリンさんに当の本人達が質問しました。

 確かになんでダメなのか気になりますよ。

 するとカリンさんは少し考え、口を開きました。


「そうね。分からないなら知っておいた方が良いかもしれないわね。触っちゃいけない理由は、それが万能霊薬エリクサーだからよ」

「ふーん?」

「へー?」

「です?」

「そうなのですか?」


 なんかエリクサーってものみたいです。この黄緑色の液体。


万能霊薬エリクサーって、かなり高級薬品じゃ無いですか! それがこれなんですか!?」


 私には、というか皆さんの反応的に皆さんもよく分からない物みたいでしたけど、急にコロンさんが驚いた感じでカリンさんに問いかけました。

 その雰囲気を見るに、なんだか凄い物みたいですね。


「ええ、そうよ。私達の難病でも重傷の怪我でも治してしまう凄まじい回復能力がある薬よ」

「これがそうなんですか」

「ええ」


 コロンさんはカリンさんの説明を聞きながらマジマジとその薬を見ています。

 というかそう言ってくれたら私にも分かったんですけど。でも、そんな凄い物。というかそういう効果なら別に大丈夫だと思うんですけど。

 そして私もコロンさんみたいにマジマジと見ていると冷静なカリンさんの説明が続きます。


「で、例外的な種族がいてそれが岩食族なの。私も実際に見た訳じゃ無くて聞いた話だけれど、飲んじゃったりすると死んじゃうって話よ」

「そうなんですか」


 なるほど。それで、クリスタ君達に触るなって言っ―――……え? つまりこれがクリスタ君の体内に入ったらクリスタ君が死んじゃうんですか!?


 私は咄嗟に隣で同じようにその薬品を見ているクリスタ君をかかえて、飛び退きました。

 だってそうですよね!? 普通ですよね!?

 というか、


「なんでそんな危険な物があるんですか!?」


 私はクリスタ君を抱えて守ります。かかったら大変じゃ無いですか!


「昔からの言い伝えだけれど、私がまだ幼かった頃に大長老が教えてくれた事よ。あの人は冗談でもそんな事言わないから、多分本当なのでしょう。それで、危険だから教えたの。でも、多分狙ってるのはクリスタちゃんではないわ。さっき見かけた紙に書いていたけれど、これはトパーズちゃん用みたいね」


 トパーズサイト様用って、ええ!?


 カリンさんの言葉に驚いていると、カリンさんはそのエリクサーとかいう危険な薬品に近寄って、その変な形の器を手に取りました。

 何をするんでしょうかね? もしかして捨てるんでしょうか?

 そう思って見ていたら、カリンさん、一気に飲んじゃいましたよ!?


「―――ッカァ! これやっぱり万能霊薬エリクサーだわ。だって凄い力が湧いてくるもの」


 飲み終えたカリンさんはそう言って手を握ったり開いたりしています。

 でも、確かに、見るからに力湧いてる感じがしますね。

 なんというか雰囲気的に。



「あ、これ」


 そんなカリンさんを見ていると、不意にコロンさんが声を発しました。

 見ると何か紙を拾い上げてます。

 近づいてそれが何なのか横から見ると、いっぱい文字が書かれていて、そこに大きな絵も描かれていますよ。

 なんか、その絵は不思議な感じがします。

 何でか知らないですけど、知ってるような知らないような。でもこの絵、ただ大きな丸が書いてあって、その中に四角いものがあって、その四角いものを避けるように線が引っ張ってあって、その先には矢印があるっていうだけなんですけど。


 んー、なんでしょうかこれ? でもどこかで見たような気が……。うーん?

 そう思って見ているとカリンさんが横から、「これよこれ!」と嬉しそうに声を出しました。


「でかしたわコロンちゃん。多分――、いいえ、これが霊廟に行くための地図よ!」


 どうやらそれが探していた霊廟の場所を示したものみたいです。

 というかそうです! 地図ですよ。この町に来た時に見た地図です。

 コロンさん、凄いです見つけるなんて。これは褒めた方が良いことですね! という訳で!


「流石コロンさん。見つけるなんて凄いですね」

「いや、偶然だけどね」


 少し照れた様子で言うコロンさん。ふふ、嬉しそうなの隠さなくても良いんですよ。

 と思っているとカリンさんが「あら、これ」と何かに気がついた様子です。

 んー? なんでしょうかね?


「どうか致しましたか?」

「これ、指し示している場所が広場の会場の所になってるわ」


 カリンさんが何に気付いたのかと首を傾げていると、二人がそんな会話をしています。

 えーと、つまり―――


「入り口はあの会場周辺にあるって事でしょうか?」


 って、先にコロンさんに言われちゃいましたよ! 私が言いたかったのに!


「多分そうね。とりあえず行ってみましょう!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る