第28話 光晶祭 ー蚊帳の外から中へー
「と、言う訳でございます」
私達のいる場所。そこではギルシュガルデさんがなんでこんな事をしたのかオーラ様に問われて教えてくれました。
ふーむ、なるほどなるほど~。
話を聞くにギルシュガルデさんは、フクゥダ公爵様の話を偶然聞いてしまって、こんな事になっているのに頼りにされていない事にがっかりして、しかし役に立とうと独自に仕事の合間をぬって犯人を捜して、ノクターンホロウの居場所を突き止めたというクレサン様が皆をここに連れて来たら、クレサン様が偽物で。
という事は、ギルシュガルデさんは犯人でも犯人の仲間でも無いんですね。
少し安心しましたよ。
「それで今に至るという訳です」
ギルシュガルデさんはそう言い頭を下げると、他の兵士さん達も顔を下げちゃいました。
な、なんだか暗い感じですよ。
ど、どどど、どうしましょう!?
別にギルシュガルデさん悪くないですし。えーと。こういう時はー、どうしたら良いんでしょうか!
「ねえねえ、れしあさん」
どうしたら良いのか困っていたらクリスタ君が横からツンツンしてきました。
「クリスタ君、どうかしましたか?」
「さっきねあのゴーレム食べてたらね体から出てきたの」
そんなクリスタ君が見せてきたのはなんか畳まれた小さな紙ですね。
あれ隙間から何か見えますよ?何か書いてあるんですかね?
「クリスタ君、それ見せて貰っても良いですか?」
「うん!」
元気に返事をしてくれたクリスタ君からその紙を受け取り、とりあえず広げてみる事に。
そこにはやっぱり字が書かれてますね。えーと
「えーと、『ただの者にしてはやるな。全てが元に戻る。けれど貴様らは足掻くんだろう。手遅れとも知らずに』」
え? 何ですかこれ?
なんか凄く読みにくいですし、というかなんでこう繋がった文章じゃ無くて全部箇条書きなんでしょうか?
それに読んでて意味が分からないですけど、なんだが凄い事の様な気がしますよ!
「レシア、今言ってた言葉はそれに書いてあるやつ?」
「へ?」
意味を考えていたら突然聞こえた声に振り向いちゃいました。
そしたら私の後ろにいたコロンさんがそう訊ねてきました。まあ、そうなんですけど。
「ええ、ですけど何か凄そうな感じってしか分からないんですけど」
「ちょっと見せて」
「はい」
と言う訳でコロンさんに渡すと隣にいたマイティアちゃんも覗いてきました。
そんな二人は首を傾げてましたけど、何かに気付いた様子で目を見開きます。
どうかしたんでしょうかね?
あ、気になったら聞いてみれば良いんですよ!
「お二人とも、どうかしましたか?」
そう問いかけるとコロンさんが答えてくれました。
「助けてって書いてあるよ。これ」
「助けて、ですか?」
え? そんな事書いてましたっけ?
うーん、そんな事書いてなかった様に思いますけど。
あ、もしかして私が見逃してたところがあったんですかね?
「これ、クレサンの字、ですわ」
と、私が首を
じゃあ、これ書いたのクレサン様なんですかね?
「……偽物がいた以上本人の身に何か起こっているのは事実だと思う」
マイティアちゃんがそう言います。
って!
「それじゃあ、クレサン様が大変じゃないですか! 探しに行かないと!」
そうですよ! 何か起きてるってそれ大変じゃ無いですか!
それに助けてって書いてるなら
「……そっちは問題ない。レオン一行がついてる」
「え? そうなんですか?」
あれ? じゃあ、なんで助けてなんて書いたんでしょうね?
んー? レオンさん達がいれば大丈夫ですよね?
「え? レオン様達がそっちに? どういう事?」
私がそう考えていたらコロンさんが驚いた様子で
「……レオンさんは昨日の夜から色々調べていてこの事件の犯人を突き止めたって言えば分かる?」
「へ?」
「え?」
「ボリボリ」
「あ、おりなー」
「んみ? あ! 食べるー?」
「はい!」
「はーい」
どういう意味なんでしょう?
レオンさん達は事件の犯人を突き止めたらしいですけど、それでなんでクレサン様の方についたって。
「事件? 事件って何の事、なのですか?」
そう考えていたらトパーズサイト様がそう言います。
「……宝晶族様、落ち着いて聞いて下さい。あなたの側近であるクレサン様があなたを殺すと手紙を出してきたのです」
「え?」
そんなマイティアちゃんの言葉にトパーズサイト様は驚いた様子です。
って、ええー!?
「何でですか!? なんでトパーズサイト様をクレサン様が殺すなんて! 何でですか!?」
いや、本当に何でですか!?
「……あなたが一番落ち着いて」
そう問いかけたらマイティアちゃんにそう言われちゃいました。
でも
「あんなに近くにいてこんなに優しい人だって分かるはずですよね!? なのになんでですか!?」
「……それを私に言われても」
「でも、こんなに優しい人ですよ!?」
「ちょっと、レシア。マイティアに言っても仕方ないでしょ。本人じゃないんだから」
慌てていたらコロンさんにそう言われちゃいました。
た、確かにそうですけど。でも―――
「レシア、とりあえずマイティアに謝ったら? レシアにその気が無くても責めちゃった訳だし」
「そう、ですね」
確かにマイティアちゃんはそう言っただけで本人じゃ無いですもんね。
あ、冷静になってきたら凄く申し訳ないですよこれ!
「マイティアちゃん、さっきはごめんなさい」
「……別に気にしてない」
マイティアちゃんがそう返答しました。ですけど、なんだか少し元気が無いような?
そう私が思った瞬間でした。
建物の外からドッゴーンみたいな音が聞こえて、建物の外から悲鳴が聞こえてきました。
な、何が起きてるんでしょうか!?
それは皆さんも思ったみたいで、困惑しています。それにその音は止まらずに地面が少し揺れてますよ!?
これは、何が起きてるんですか!?
「ええい!
「はっ!」
慌てていた衛兵さん達でしたけど、ギルシュガルデさんのそんな言葉で突然衛兵さん達はピシーッとしてこの建物の外へと出て行きます。
「れしあさん! れしあさん!」
急に変わった衛兵さん達の様子にちょっと凄いと感じていたらクリスタ君に服をクイクイと引っ張られました。
なんでしょうか? 凄く目がキラキラしてますよ。
「外にあれいっぱいいるよ!」
「凄く美味しそうです!」
え? あれって、一体なんでしょう?
「クリスタ君、あれってなんですか?」
「こーめいんで食べれなかったあのごーれむがね、いるの!」
はえ? 食べられなかったあのゴーレム?
……それって
「キングゴーレムさんの事ですか?」
「うん!」
私がそう言うとクリスタ君は元気に頷きました。
あ、それで目を輝かせてたんですかー。成る程成る程~。
「それがね、三つもあるの!」
「そうなんですか?」
「うん!」
クリスタ君は更に目を輝かせます。というか涎が出てますよクリスタ君。
って、キングゴーレムさんが三つ、ですか。
「く、クリスタさん?」
と、急にそんな声が聞こえ見るとオーラ様が少し青ざめた様子でクリスタ君に話しかけていますよ。
それにクリスタ君はいつもと変わらない様子で「なーに?」と首を傾げました。
「それは、本当の事ですの?」
「うん!」
どうやら本当みたいです。というか、クリスタ君は良い子ですから嘘つきませんよ。
だから、あのキングゴーレムさんが三体いるっていうのも本当の、本当の―――
「って、うぇぇええええ!? キングゴーレムさん三体もいるんですか!?」
それ大変な事じゃ無いですか!?
はわわわ、ど、どどど、どうしましょう!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます