第24話 光晶祭 ー朝の日差しー
ふと、目を覚ますとカーテン越しに入ってきた朝日によってお部屋が明るく照らされていました。
ふぁ~、今日も快晴みたいですね~。
私はいつも通りに腕の中にいるクリスタ君をベッドに下ろして、カーテンを開けて、お部屋に朝日を招き入れます。
んー、入ってくる光。気持ちいいです。
凄く光合成が捗りますよ~。むふへ~。
私は朝の日差しで日課の光合成を満喫します。
やっぱり朝一番で光合成は気持ちいいですね。
さてと。
見渡す先にはまだ寝ている方々が映ります。
朝ですから皆さんを起こさないと、ですね。
だから、まずクリスタ君から起こしましょう。
「クリスタ君、朝ですよ」
「んうぅ~?」
私が声をかけて体を
そして、ぽけーとして辺りを見渡すクリスタ君。まだ眠いみたいです。
「あー、おはよー。れしあさん」
と、目が合ったクリスタ君は眠た気ですけど可愛らしい笑みでそう言いました。
ふふ、いつもですけど可愛いですね。って、返答しないとですよね。
「はい。おはようございますクリスタ君」
あ、そうです。クリスタ君にも皆を起こすの手伝って頂きましょう!
「それでクリスタ君」
「なーに?」
「トパーズサイト様を起こして貰って良いですか?」
首を傾げているクリスタ君にとりあえずトパーズサイト様を起こすように言いうと、「うん!」と元気に返答しました。
ふふ、じゃあ、クリスタ君にそこは任せて、さて、私はコクヨーちゃんとコロンさんを起こしますか。
まずは、そうです。距離的に近いですしコクヨーちゃんを起こしましょうかね。
そういうことで早速起こそうと動いた私の視界の端では、クリスタ君は隣に寝ているトパーズサイト様を揺すっています。
お姫様起きてーって言いながら。なんだか笑みがこぼれちゃいますね。微笑ましいです。
って、私もクリスタ君に負けないように起こさないとですね。
「コクヨーちゃん。起きて下さい」
という事で私も早速コクヨーちゃんを起こします。
「ふえ~?まだ眠いです~」
でも、コクヨーちゃんは唇を尖らせてそう言います。
まだ眠いみたいですけど、もう起きる時間なんですから起こさないといけませんよね。
ここは心を鬼にしてコクヨーちゃんにビシッと言わないとですね!
「駄目ですよ!しっかり起きないと。体悪くしちゃいますよ?」
「うう、分かったです」
そうしてコクヨーちゃんは目をごしごしして起きました。
少し可哀想ですけど、こうしないと駄目ですもんね。正しい生活リズムは必要です。そうです。これで良いんです。
それで、あとはコロンさんですね。
私がそう思って視線を向けるとコロンさんが丁度起きましたよ。コロンさんが一人で起きるなんて珍しいです。でも、自分で起きれる事は良い事です。
はっ!ここは褒めるべきですよね!という事で褒めないと。
「コロンさん、自分で起きれて偉いです!」
「いや、朝からそんなに騒いでたら普通起きるから」
え? そ、そんなにうるさかったですかね?
「とりあえず、起きちゃったしこれからどうする?」
私がうるさかったかうるさくなかったのか自問自答していると、コロンさんが問いかけてきました。
んー、そうですね。
「私、お祭り行きたいです!」
考えていたらコクヨーちゃんがコロンさんに言うじゃ無いですか!
凄く良い案ですね。確かに昨日はお祭りあんまり楽しめませんでしたからね。
「いや、お祭りって。宝晶族様はどうするの」
「一緒に行くです!」
「コクヨー、分かってる?宝晶族様は狙われてるんだよ?」
「でも、お祭りは楽しいってころんさん言ってたっておりなーから聞いたです!だからお姫様笑顔に出来るです」
確かに。楽しい事に誘えば笑顔に出来ますね。
コクヨーちゃん、頭良いですね。そうと決まれば早速お祭りに――
「いやいや、それとこれとは別だから。それにさっきも言ったけど宝晶族様狙われてるって言ったでしょ。人混みに入って取り返しのつかない事になったらどうするの」
コロンさんは反対の様子です。
ですけど、確かにそうですね。トパーズサイト様は狙われているみたいですから。
んー、ですけど、私もコクヨーちゃんと同じトパーズサイト様を笑顔にし隊ですしコクヨーちゃんの案を通して皆でお祭り見に行きたいです。
むむー、それにはどうすれば良いんでしょうかね?
トパーズサイト様は狙われてますし、私達はそれを守らなきゃいけませんし。
ん? 守る? そうですよ!
「コロンさん! 大丈夫です! 私達で守れば良いんですから!」
私は早速このとても良い案をコロンさんに伝えます。
ふふ、どうですか! この案!
「レシア、守るって言っても誰が犯人かも相手が何人いるかも分からない状況で人混みに行くのは賛同できないから」
来ましたね。コロンさんの否定的意見! ですけど、見せてあげましょう! 私のこの決意を!
「大丈夫です! 守れば良いんですから!」
強い決意や意思には誰も逆らえないって本で読みましたから!
ふふ、これでコロンさんも納得するでしょう!
「レシア、守るって言ってるけど具体的にどうするの?」
「え?」
ぐ、具体的に?
え、えーと
「守るんですよ」
そ、そうです! 守るんですよ!
「あのねレシア、考えもなしに提案しても皆が困るだけだから」
コロンさんがため息をついて凄く呆れた感じで言います。
うう、でも。
「そうです! おりなーに聞いてみるです!」
意気消沈していたら横からコクヨーちゃんが言いました。
確かに、クリスタ君なら何か閃くかもしれませんね!
あれ? そういえばクリスタ君、さっきから静かな気がしますけど……?
確かトパーズサイト様を起こすの頼んだはずですけど。
そう思って振り返ると、そこではクリスタ君がトパーズサイト様と眠っていました。
って、クリスタ君!?
「クリスタ君、何してるんですか!? トパーズサイト様を起こしてって言ったじゃ無いですか!」
慌ててクリスタ君を起こすとクリスタ君は「んう」と小さく言って目を覚ましました。
「れしあさん、どーしたの?」
「どうしたのじゃないですよ! なんで一緒に寝てるんですか!?」
「ふえ?」
「起こしてって言ったじゃないですかー!」
「あ、そーだった! ごめんなさい」
全くもう、クリスタ君は。
ですけどクリスタ君、シュンとしてる様子ですから反省はしているみたいです。
ならこれ以上怒る必要は無いですね。
「おりなーおりなー聞いてくださいです」
と、私の横からコクヨーちゃんが顔を出します。
「なーに?」
「お姫様とお祭り行きたいですけど、どーやってお姫様と行けば守れるか教えて欲しいです」
「ふえ?」
コクヨーちゃんの言葉にクリスタ君は首を傾げちゃいました。
でも、そうですよね。クリスタ君いきなりそう言われても困っちゃいますよね。
私でも良い案が浮かびませんし。
「うーん。あ、そーだ!あのね、お姫様に別のおよー服着せてあげたら良いと思うよ!」
クリスタ君はそんな事を言いました。
別のお洋服ですか。
「別のおよー服です?」
「うん! 昨日れしあさんがいつもと違うおよー服着てたの見て、れしあさんかなー?ってちょっと思ったから」
クリスタ君はそう言って説明してくれました。
えーと、つまり、どういう事なんでしょうかね?
「いつもと違う格好をさせて。うーんと、つまり変装させるって事?」
私が考えていたらコロンさんがクリスタ君に問いかけました。
それに対してクリスタ君は「うん」と元気に返答します。
へぇ、いつもと違う格好をするのを変装って言うんですか。初めて知りました。
「確かに宝晶族様だと分かられなければ襲われる心配も無いか」
コロンさんがまた何かブツブツ言っています。
「それでねそれでね。あのわんだーさんから貰ったのをね、およー服にするの!」
なるほどー! 確かにそうすれば大丈夫ですね!
「それは良い案です。クリスタ君やりますね」
とても良い案をいっぱい出してくれたので頭なでなでしちゃいます。
撫でられている間、クリスタ君はえへへーと笑顔です。ふふ、可愛いですね。可愛いのでもっとなでなでですよ。
そんな私の隣ではコクヨーちゃんが「流石おりなーです!」と大絶賛です。
よーし、という事で今日の動きが決定しましたよ!
「ふぁ、何やら賑やかですわね?」
今日に予定が決定したところでトパーズサイト様が起きました。
そして寝ぼけ眼で目を擦り、辺りを見て、目が合います。
「あ、お姫様! おはよーございます」
「おはようございますです」
そんなトパーズサイト様にクリスタ君とコクヨーちゃんは朝の挨拶をします。
あ、私もしないとですよね。
「お二人とも、おはようございます」
って、思ったらトパーズサイト様が二人に挨拶を返しちゃったので流れが途切れちゃいましたよ!
ど、どうしましょう。このままじゃ挨拶も無いまま過ぎてしまいますよ。
そしたら、私、挨拶も出来ないアルラウネとエルフのハーフだと思われちゃうかもです。
ぐぬぬ、ど、どうにかしないといけませんね。
何か、何か策は無いですか!?
「それに、オリナーのお友達の方々もおはようございますわ」
その時、流れが来ました! 来ましたよ!
なれば、というか絶対にこの流れに乗るしか無いです。
いざ
「はい! おは―――」
その瞬間でした。急にドアが吹っ飛んで窓を突き破って外に落ちちゃいましたよ!?
えっと、何が、あったんでしょう?
「ふふ、どうやらお客様お揃いのようね」
ぽかーんとしていたら私達の部屋にそんな声が。
見ると、長い金色の長く艶やかな髪をなびかせて、淡い黄色のワンピースにエプロンを
声的に男性ですけど、喋り方は女性って感じです。しかも、明らかに身長とかギルシュガルデさんよりも大きく感じます。
えっと、どちらさまでしょうか、ね?
「あら、カリンさん。おはようございますわ」
そしたらトパーズサイト様がその人の名前だと思うものを口にしました。
この方、カリンさんって言うんですね。ふんふん。
「おはようトパーズちゃん」
その、カリンさんは片目をパチッと閉じて私達の方にも視線を向けてきました。
会話の内容的にトパーズサイト様と仲が良いみたいですね。
「え? あ、あなたは?」
と、コロンさんがカリンさんに質問します。
「あら、ごめんなさい。自己紹介がまだだったわ。私はこの宿、カリンザリリーの店主。カリン・マクナウェルよ。よろしくね。ウフ」
カリンさんは腰を曲げて首を傾げて頬に人差し指を当てて自己紹介しました。
なんだか動きが大きいのに可愛らしい動作で凄く凄いですよ。
って、そうです!
自己紹介されたなら私達もしないと失礼ですよね。
「カリンさんですね。私はレシアって言います。よろしくお願いします」
なんとか流れに沿って出来ましたよ。ふう、一安心です。
「僕はね、クリスタだよ!」
「コクヨーです!」
ホッと胸を撫で下ろす私に続いていつものようにクリスタ君が続いて自己紹介をしました。それに続いてコクヨーちゃんも。
って、一人してないじゃないですか!
このままじゃこの流れに乗れないですよ。
はっ! そうです。そうならば私がサポートをするんです! それが仲間ですから!
「で、こちらがコロンさんです」
私は的確なサポートでコロンさんを紹介しました。
ふう、どうですか!
「ふふ、親切にどうも。でもね。あなた達の事はフクゥダちゃんに聞いてるから大丈夫よ」
「え? そうだったんですか?」
聞いてたんですか。で、でも、自己紹介は大事だから良いんです!
「それにしても本物の岩食族なんて、五百年ぶりね」
カリンさんは部屋に入ってくるとそう言ってクリスタ君とコクヨーちゃんの前でしゃがんで二人を見ます。
って、五百年ぶりって事はこの人……。
「カリンさんって五百年も生きてるんですか?」
「フフ、そうよ。もっと言えば千年くらい生きてるわ。って、乙女に歳を言わせないで!」
「ご、ごめんなさい!」
お、怒られちゃいました。でも、そんなに生きてるんですね。凄いです。
「まあ、私、エルフだから長寿なのよ。あなたと一緒でね」
感心していたらカリンさんがお茶目に片目を瞑って言います。
え、エルフだったんですか!
そういえば確かに長い髪の所から長くて尖ってる耳が出ていますね。
って、そうです。
「いえ、あの、私、アルラウネとエルフのハーフですから純粋なエルフじゃ無いですよ」
そうなんですよね。私は純粋なエルフじゃ無いんですよ。
そこはちゃんと言っておかないとですよね。
「あら、そうな――……アルラウネとエルフ?」
カリンさんが眉間に
「えっと、どうかしましたか?カリンさん」
「あ、いえ。何でもないわ。それよりも、クリスタちゃんとコクヨーちゃんだったかしら?」
カリンさんはクリスタ君達に視線を戻しちゃいました。
うーん、気になる言い方でしたけど何でもないなら何でもないんですよね。
「うん! でも、僕、ちゃんじゃなくて君だよ?」
「です! おりなーは君です!」
「オリナー? あら、クリスタちゃんオリナーなの?」
「そーだけど、ちゃんじゃなくて君だよ?」
「ふふ、そう。珍しい種族なのにその中でも一番珍しいオリナーだなんて。って、そんな事よりも」
カリンさんは穏やかな表情から一変して真剣な表情に変わりました。
「あなた達の
え? 何でカリンさん、クリスタ君達に涎欲しいなんて言ってるんですかね?
「ふぇ?」
「涎です?」
二人もその言葉にキョトンとしてますよ。
「ええ、一滴二滴で良いの。くれないかしら?」
ですけどカリンさんは真剣ですよ。
クリスタ君達の涎、なんでそんなに欲しいんですかね?
「良いよ」
「です。あげても良いです」
「まあ、ありがとう」
考えている私の前で二人は了承するとカリンさんは凄く表情が明るくなりました。
するとカリンさんはどこから取り出したのか、小さな瓶を二人の前に出して「この中にお願いね」と二人に言います。
二人は口から涎を瓶に入るようにお互いの頬が触れてムニーとなっている状態で垂らしていきました。
んー、見ていてなんだか良い気持ちの風景ではないですね。
だって涎ですから。
ですけど、カリンさんはまるで宝物を見るかのようにその様子を見ています。
正直、んーって感じですけど。
「うふ、ありがとう。もう良いわよ」
と、カリンさんは二人に言って瓶を二人から離しました。
そして瓶を大切そうにしまい込みました。
あの瓶どうするんでしょうかね?
あ、聞いてみれば分かりますよね。
という事で聞いてみる事に。
「あの、カリンさん」
「ふふ、何かしら?」
「クリスタ君達の涎どうするんですか?」
「あら、二人も岩食族を連れているのに知らないの?薄めてお肌に塗るのよ」
ほへー、なかなか強烈な使用方法です。
というか、え?
「塗るんですか!?」
「そうよ」
凄く平然と返されちゃいました。
でも、涎を塗るのって抵抗ないんですかね?
「もう五百年も昔だもの忘れられても仕方ないかもしれないわね」
使い方に驚く私にカリンさんはやれやれというようにため息をついて続けます。
「この子達の涎は凄いのよ?お肌に塗って洗い流すともちもちでプルップルな輝く肌になるの。それに口から摂取すれば安全で爽快な目覚めが約束される速効性の睡眠薬にもなるの」
そ、そんな効果があったんですか!
初めて知りました。
「だから昔は乙女の必需品として良く売られてたのよ?」
カリンさんはまた片目を瞑って言いました。
そんなに人気だったんですか!
クリスタ君達、大人気ですね。
「カリンさん」
感心していたらコロンさんが口を開きました。
カリンさんを呼んで一体どうしたんでしょうかね?
「何かしら?」
「そんな事より、ここに来た理由を説明してくれませんか? そんな理由で来た訳では無いでしょ?」
え?そうなんですか!?
「あら、そんな事とは心外だわ! でも、そうね。
「そうだったんですか!?」
カリンさんの言葉にびっくりです。
ただ涎が欲しくて来たのかなって思い始めてたので。どうやら違かったみたいです。
「そうね。一つ言っておくわ。何かあったら私も頼りなさい」
カリンさんはそう言って腕を組みました。
おお! なんだか凄く頼りになりそうですよ!
「それを言うって事は」
「ええ、大体の事はフクゥダちゃんから聞いてるわ。あなた達頑張って」
カリンさんはそう言って部屋を後にしました。その後ろ姿は凄く勇ましく頼りがいがある感じがします。
あ、そういえばドアと窓どうすれば良いんですかね?
今、凄く風が入ってきてますけども。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます