第23話 光晶祭 -宿にて-
「それでねそれでね!僕、れしあさんと旅してるんだよ!それでね、こーめいんっていう町でね――」
遺跡から宿に戻ってきた私達は部屋でのんびりしています。
一応、戻ってくる時には元の服装にして、トパーズサイト様にワンダーさんの黒い布をかけて黒の服装にして連れてきました。
帰る途中、お城に戻らないとと言って帰ろうとするトパーズサイト様をなんとか説得するのは大変でしたけど。
まあ、クリスタ君とコクヨーちゃんに協力してもらって、一緒じゃ無きゃ嫌だーって駄々をこねてもらったお陰ですけども。
その時の二人、凄く可愛かったです。ふふ。
ちなみにコロンさんはベッドで寝ています。ずっと起きなかったので背負って運びましたけれども。
そしてその二人は今、トパーズサイト様にいろんな話をしています。
と、言っても主にクリスタ君がコーメインでの事を話していますけどね。
「それでね。これ見つけたの!」
クリスタ君はそう言うと二人にコーメインで貰った石を見せています。
ですけど、掴んで見せるんじゃ無く両手を合せて、その上に石を乗せて見せてるクリスタ君。凄く可愛いですよね。ほっこりしますよ。
「そ、それは――っ!」
すると、石を見たトパーズサイト様はびっくりしたようなそんな反応をして見ました。
凄く驚いてる様子です。
そんなトパーズサイト様にクリスタ君は笑顔のまま答えます。
「これ凄く美味しいの!」
「え、ええ。ここからでも分かります。オリナー、こ、これは」
なんだか凄い反応ですよね?
うーん、私には普通の石にしか見えませんけど。ですけど、トパーズサイト様のあの反応を見るにもしかして何か特別な石だから美味しいっていうのが分かるんですかね?
むむむ。ですけど、どう見てもただの石にしか見えませんよ。
「お姫様にあげるー!」
そうして私が首を傾げていたらクリスタ君は当初の目的通りに石をあげようとしています。
トパーズサイト様はちょっとびっくりしていますね。
「え?よ、良いのですか!?」
「うん!」
クリスタ君は元気よく頷くとその石をトパーズサイト様に渡します。
トパーズサイト様はその石をまじまじと見ています。
でも、凄く目がキラキラしていますよ。
「えへへ~、食べてみて!」
「ですです!食べてみて下さいです!」
二人はただ見ているだけのトパーズサイト様に凄い勧めています。
そこまで勧めているのを見ると、私も気になりますよ!
ですけど、私じゃ石食べられないですし。むむぅー。
「そ、それでは、オリナー。頂きます」
私が少し悔しい中、トパーズサイト様はゆっくりと石を口に運んで、ガリッと一囓り。
すると、口元を押さえて目を見開きました。
「お、美味しい。美味しいですわ。オリナー」
凄い大絶賛です。それを聞いたら、ああ、私も食べてみたいです。
食べてみたいですけど、食べれないんですよね。ううー。
「……今更こんな事言うのもおかしいけど」
悔しさに拳を握っていたら、不意にマイティアちゃんから声をかけられちゃいました。
なんでしょうかね?
「……無関係な貴女に迷惑かけてごめんなさい。この街の問題なのに」
そうマイティアちゃんは頭を下げます。
えーと、多分、トパーズサイト様の事でしょうかね?
「いえ、良いんですよ。それに、クリスタ君が仲間にいる以上無関係じゃありませんし、それに、――見るからに良い人ですから、亡くなるのは私も辛いですから」
私はそう言ってちょっと辛くなっちゃいました。
両親の事、ちょっと思い出しちゃいましたから。
すると、マイティアちゃんがぼそりと何か言いましたけど聞き取れませんでした。
なんて言ったんでしょうかね?
「……それじゃあ、私はそろそろ行くから」
「え?帰るんですか?」
「……うん。一応、護衛だけど、まだ未成年だから。今は祭の期間中で外出許可時間は伸びてるけど、深夜を超えての夜遅くの出歩きは許されてないから」
そう言うとマイティアちゃんは立ち上がり、ドアに手をかけました。
残念ですけど、そういう決まりみたいですし仕方ないです。
それにまた明日会えますよね。
「あれ?まいてぃあさんどこか行くの?」
私がマイティアちゃんに声をかけようとしたらクリスタ君が先に声を発しました。
どうやらマイティアちゃんが帰るのに気付いた様子です。
「……時間だから寮に帰らないといけない、から」
「えー、まいてぃあさんも一緒に泊まろうよー」
「ですです!皆一緒が良いです!」
マイティアちゃんを引き留めようと二人は声をかけます。
ですけど、「……時間は守らなきゃいけない事だから。また明日」と言って出て行っちゃいます。
それにクリスタ君とコクヨーちゃんは少し残念そうでした。
「大丈夫ですよ。クリスタ君、コクヨーちゃん。明日また会えますから」
そんな二人を励まします。そうですよ。今生の別れじゃ無いんですから。
「では、
そう言ってトパーズサイト様も立ち上がります。
「それは駄目です!」
なんで帰ろうとするんですか!この人は!
断固として帰しませんよ!犯人が見つかるまで!
「え?何故帰っては駄目なのですか?」
「えーと、それはですね。貴女の――」
あれ?本人に殺される可能性があるって言って良いんですかね?
「皆にね、お願いされたから」
「です!皆にお願いされたからです!」
悩んでいたら、二人がトパーズサイト様にそう言いました。
皆って誰でしょうかね?
「皆、ですか?」
「うん!お姫様を笑顔にしてって」
「です!お姫様を笑顔にしてって言われたです」
どうやらあの皆に言われたっていう事みたいですね。
一体誰に言われたんですかね?
そんな二人はトパーズサイト様をじっと見ています。
「そう、なのですか」
するとトパーズサイト様は二人を見て、少し遠い目をしました。
えーと、一体どうしたんでしょうかね?
「あとね、一人からね、お姫様を助けてって頼まれたの!」
「です!娘を助けてとも言われたですけど!でも、まずはお姫様を助けるです!」
私がお姫様の行動に推測を立てる前にクリスタ君達はそんな事を言いました。
というか、え?いつ言われたんですかそれ!?
「クリスタ君、コクヨーちゃん?それ、いつ言われたんですか?」
私がそんな二人に問いかけると、
「初めてお姫様見た時」
「です!皆が見てる時です!」
二人はそう言いました。ふむふむ。そうすると、あの光に襲われた時ですかね。
……え?
「私それ、初耳なんですけど!」
なんで言ってくれないんですか!二人とも!
少し仲間はずれで悲しいです。
「だからね、お姫様を守るんだよ」
「です!お姫様を守るんです!」
二人はそう言ってお姫様に向き直ります。
言ってくれなかったのは悲しいですけど、でも、目的は同じです。だったらやる事は一つですよね!
「そうですね!私達でトパーズサイト様を守るんですよ!頑張りましょう!クリスタ君、コクヨーちゃん!」
「うん!」
「はいです!」
こうして私達は団結します。
トパーズサイト様守る隊結成です!
ふふ、頑張りますよ!と言う訳で!
「それじゃあ、トパーズサイト様を中心にしてお休みしましょう!」
「うん!」
「はいです!」
「え?あの、ちょっと!?」
こうして私達はトパーズサイト様を中心にしてベッドに、私、クリスタ君、トパーズサイト様、コクヨーちゃんの順番で眠る事にしました。
本当は私がトパーズサイト様の隣で寝たかったんですけど、クリスタ君達も一緒に寝たいって言ってたので仕方ないですよね。
ここは譲ってあげます。ですけど、次は私が隣で寝ますからね。
そう胸に秘めて
明日、良い日になりますように。
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