第22話 光晶祭 ー裏事情ー
うう、痛いです。
レオンさんの攻撃を避けられず、私は、もろに攻撃を受けて遺跡の中にコロコロ転がって入ってしまいました。
痛いです。あ、で、でも、遺跡の中に入れたので後はクリスタ君達と合流すれば良いだけです、よね。
そうですよ。これはあれですね。あのー、怪我の功名というやつですね。
そうです。何事も前向きに考えれば良いんですから。
それじゃあ、立ってクリスタ君と合流――
「動かないでください」
しようと思ったらそんな声が後ろから聞こえて、私は固まっちゃいました。
だって凄く怖い雰囲気なんですもん!
「さあ、
声的にレオンさんですけど、いつもの優しい声色じゃ無くて凄く怖いです!
あわわわわ、ど、どうしましょう!どうすればいいんですか!?
私は考えます。これはもう一生懸命考えないと。
私、うつ伏せの状態ですし。
えーと、こういう時は――
「うわーん、何も思いつかないですー!」
何も思いつかないですよ!
あ、そうです。レオンさんにも話して協力して貰えば――
って、そんな事して、もしレオンさんが犯人だったらフクゥダ公爵様の犯人捜しの邪魔になっちゃうかもしれませんし。
どうすれば良いんですかー!
「この状況でまだ何かするつもりなの、です、か?え?」
私が悩んでいたら、レオンさんがそう声をかけてきました。ですけど、後半なんだか勢いが落ちたような感じになってます。
「その声、まさか、え?レシアさん、ですか!?」
はえ?
「そうですけど――」
ってー、私何を言いそうになってるんですか!
凄く普通に答えるところでした。
危ないです。今、私はラフです。ラフなんですよ!
「いえ、私は、怪盗ノクターンホロウの弟子。ラフです!」
私は言い直して、レオンさんに向かって言いました。ふう、危なかったです。
「え?いや、あの、どう見てもレシアさん、ですよね?」
「ち、ちちち、違います!ラフです!そんな名前なわけないじゃないですか!」
私は一生懸命もう抗議です!
これなら流石に私がレシアって事も疑われないでしょう。ふう、危ない危ない。
「あ、れしあさーん」
「れしあさんです」
そうしてたら、そんな声が聞こえて、見ればクリスタ君とコクヨーちゃんが遺跡の展示室の入り口からてててーと走ってきました。
二人を見たら安堵のため息が出ますね。これにて一件落着です。
「れしあさん、お姫様はー?」
「てぃあら、手に入れたんです?」
二人からそんな質問です。
ふふ、その事ですか。
「ふふ、ばっちりです。というより、ティアラではなく本命のトパーズサイト様をこの通り――……」
私は得意気に二人にトパーズサイト様を見せようとして気がつきました。
トパーズサイト様が私の腕にいない事に!というかコロンさんも!
ど、どこに!?
そう思って見渡していたら、二人とも私から離れたところで一緒の格好で目を回して倒れています。
というかコロンさんとトパーズサイト様、凄い、なんか逆立ちに失敗して頭を打って気絶してる感じの格好で倒れてますけど、苦しくないんでしょうか、ね?
って、そんな事よりも!
「だ、大丈夫ですか!?二人とも!」
私は駆け寄って揺すります。
大丈夫ですよね?大丈夫ですよね!?
「二人とも起きて下さーい!」
「あへぇ~」
「あ、う。こ、ここ、は?」
そうしたらトパーズサイト様だけ起きました。
って、コロンさーん!しっかりしてくださいよ!
「わぁ!お姫様だー!」
「です!お姫様です!」
そうしてコロンさんをがくがくしていたら、私の横にクリスタ君とコクヨーちゃんが立って、トパーズサイト様を見て嬉しそうにぴょんぴょんしています。
その姿にとりあえず目標は達成したという感じがします。
「え?あ、あなた方は?」
「僕はクリスタってゆーの!」
「コクヨーです!」
二人は戸惑っているトパーズサイト様に笑顔で答えたら、お互いに顔を合わせて「せーの」と言い、またトパーズサイト様に顔を向けました。
何かするんでしょうかね?
「「民は
そう言って二人は笑顔でトパーズサイト様に頭を下げます。
えーと、なんでしょうか?その言葉。
「あなた方、まさか、岩食族、なの、ですか?」
首を傾げていたらトパーズサイト様が信じられないと言った様子で言葉を発しました。
それにクリスタ君とコクヨーちゃんは頷きます。
「うん!そーだよ!」
「です!あ、でも、こちらは、おりなーです」
コクヨーちゃんはクリスタ君の紹介もしてますね。
するとトパーズサイト様は今度は口に手を当ててます。なんだか、驚いてるようなそんな表情で。
その後、しくしくと泣き出しちゃいました!
その様子にクリスタ君とコクヨーちゃんもびっくりです。私もびっくりですよ!
「お姫様どーしたの?」
「お腹ぺこぺこです?」
二人は心配そうに、いえ、心配してトパーズサイト様に近寄りました。
すると、トパーズサイト様は二人をぎゅっと抱きしめます。
「ごめんなさい。ごめんなさい。民は、民は、まだ、わ、私を、姫と、してく、くれるのですか?」
凄く泣きじゃくりながら二人に言います。
その言葉の意味はよく分かりませんけど、二人はトパーズサイト様の頭をよしよしとしながら
「うん!」
「です!お姫様はお姫様です!」
と、言いました。
そうしてトパーズサイト様は泣きじゃくりながら二人を強く抱いて、二人はその間ずっとよしよししていました。
身長的にはトパーズサイト様の方が大きいですけど、なんだか二人の方がお兄さんとお姉ちゃんみたいになってますね。
……少しうらやましいです。
「それで、レシアさん?」
「はい、何でしょ――」
レオンさんが声をかけてきた事に普通に返事を返しちゃいました!
あわわわ。こ、ここでは私はまだ怪盗の助手です!
正体をバラす訳にはっ!
「どうして、というか、宝晶族様を連れてくるなんて、君は何をしているのか分かっているのかい!?」
言い訳を考えていたらそんな暇など無く、私はレオンさんに問い詰められちゃいました。
え、えっと、
「ええっと、それは」
な、なんて言えば良いんでしょうか!
本当の事を言ったら、クリスタ君達も怒られちゃいますし。
それにフクゥダ公爵様にも秘密にして欲しいみたいに言われてますし。えーと、えーと。
「……二人は、協力してくれただけ」
一生懸命考えても答えが出なくて、頭真っ白になっていたらそんな声が聞こえて、見れば、いつの間に来たのかマイティアちゃんが立っていました。
「君は、確か。マイティアさんだったね。どういう事だい?」
「……ノクターンホロウは公爵様に言われて宝晶族様を祭の会場から離すために雇われた」
レオンさんに対してマイティアちゃんは淡々と言います。
なんだか、私と最初に会った時みたいな、少し冷たい様な言葉です。
「祭の会場からって、何故、そんな事を」
「……敵を騙すにはまず味方から」
そう言うとマイティアちゃんはレオンさんに何やら紙を渡します。
なんの紙でしょうかね?
私がぼーっと見ていたら、レオンさんはその紙を広げ見ています。何やら文字が書いてあるみたいで、目の動き的に読んでいるみたいです。
レオンさんは読んでいる途中から顔を
あんな顔をするって事は、何が書いてあるんでしょうかね?
すると、レオンさんは顔を上げました。
「これって」
「……そのままの事」
「信じられないな。けど、冗談にしては笑えない事だね」
レオンさんはそう言って凄く難しい顔をしています。
えーと、何が書いてあったんでしょうか?凄く気になります。
「あのー、何が書いてあるんですか?」
気になったので質問したら「……あなたに教えた事」ってマイティアちゃんに言われました。
じゃあ、私も知っている事ですか。ふむふむ。
え、どの事でしょうか?
「でも、一般人である彼女を巻き込むのはどうかと思うけれど」
「……仕方ない。犯人が身内かもしれないから、外部の協力者は必須、だから」
どの事なのかを考えていたら二人はそんな会話をしています。
その二人の言葉を聞いてピピーンと来ました!これは、あれですね。
殺されるかもしれないトパーズサイト様を祭の間、私に預けるっていう事が書いてあったんですよ。それならしっくりきます。
流石、私。
「それで、僕はどうすれば良いのかな?彼女達と宝晶族様の護衛についた方が良いかい?」
「……貴方が護衛だと目立ちすぎる。だから、勇者レオン様、貴方は公爵様の調査の方を手伝って欲しい」
「分かった。それじゃあ、とりあえず細心の注意を払うよ。一族の名にかけて」
「……お願いします」
そう言ってレオンさんは遺跡から出て行っちゃいました。
えーと、なんだか二人だけで会話成立してましたけど、なんだか凄い話してた感じがしますよ。
でも、これって協力してくれる人が増えたって事ですよね。
そう思ったら、頑張らなくちゃですよね!
「……それにしても、ボロボロだけど。大丈夫?」
私が気合いを入れていたら、マイティアちゃんが心配してくれました。
「はい!大丈夫ですよ」
「……そう。でも、そっちは」
そっち?
マイティアちゃんが指で示した方へ視線を向けると、そこには未だに気を失っているコロンさんが。
わ、忘れてましたー!
「コロンさーん!起きてくださいーい!」
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