第20話 光晶祭 ‐秘密裏‐

「おー!バレて無いですよ!」

「しー、静かに!」

「あ、す、すみません」


 私が提案した作戦を実行に移して、今、黒布の服あの服を着て、私はコロンさんを抱いて一緒に空にふわっと浮かんだんです。すると、あの子に見つからずに空を飛ぶのに成功しました!

 まあ、怒られちゃいましたけど。いやぁ、でも、ふふ。どうですか!

 まあ、鳥さんがヒントになったんですけどね。ですけど、思いついた私も凄くないですかね?


「じゃあ、このまま飛んで行きますよ」

「うん。あ、でも、レシ――、ラフ。ばれたら即撤退だからね?」

「了解です」


 私はコロンさんに返事して、ふわーっと飛んでいきます。

 気付かれないように、気付かれないように。

 私はそろーりそろーりふわふわして、ゆっくりゆっくり慎重に飛んで、あの子の上をバレてずに通り過ぎる事に成功しました。ふう。


「よし。じゃあ、ラフ。このまま行っちゃって」

「了解です」


 私はコロンさんの言われた通り、早さは少し早いくらいで少し高さを上げて空を進んで行きます。

 いやー、でも、上から見ると街、凄いですね。人が小さいですよ。まるで蟻さんがわしゃーってなってるみたいです。

 翼がある人は妖精さんにも見えますし。


「ラフ。あそこが目的地だよ」


 と、コロンさんが指し示しました。そこはあの大きな青い魔宝石がある場所です。

 確かに。今、通過して見た場所よりも多く、人が沢山いますね。


「じゃあ、その上まで行きますよ」


 私はそのままバレない様に注意しながら進んで行きます。

 でも、誰も私達に気付いてません。ふふ、流石私の案です。全然バレてませんよ!


 そうして魔宝石のある大きな広い場所の上に辿り着くと凄いですよ。

 人がいっぱいいます。けれど、皆さんほとんど同じ服を着てますね。


 それと、魔宝石の前の大きな台の上にはトパーズサイト様とクレサン様とギルシュガルデさんがいます。


「うわ~、凄い厳重。えー、これ大丈夫かな?」


 私が上から眺めてたらコロンさんがそんな不安そうな声を出しました。

 た、確かに人がいっぱいいて少し怖いですね。それに色々な魔力を感じますよ。

 皆さんやる気満々なのが伝わってきます。いや、ちょっと怖いんですけども。って、あれ?あそこにいるのって。


 私の見ている先。そこには人がまとまっている場所から離れた所。魔宝石のある場所の後ろ側の通路にマイティアちゃんが一人でいるのが見えます。


 んー。マイティアちゃん、ですよね?

 あれ?なんで一人だけ皆と違って離れた場所にいるんでしょうかね?


 んー、とりあえずコロンさんにお話しておきましょうかね。


「コロンさん、コロンさん」

「いや、レシ――、ラフ。違うから私の事は師匠マイスターって呼んで」

「あ、す、すみません!」


 早速やっちゃいました。コロンさんの事はそう呼ばなきゃいけないんでした。

 失敗失敗。今度は注意しなきゃですね!フンス!


「それで、どうしたの?」


 あ、そうです。


「えっとですね、あそこにマイティアちゃんがいますよ」


 私は皆さんと離れた所にいる人物を指差して答えます。


「え?あ、本当だ。なんであんな所に?」

「んー、なんででしょうかね?」


 そう思って見ていたら、マイティアちゃんの傍に一人誰か来ました。

 誰でしょうあの人。なんだか、凄いお髭のおじいちゃんって感じの人ですね。でも、マイティアちゃんと同じくらいの大きさですよ。

 小さいおじいちゃんですね。


「まさか、あれ、グリノレッジ公爵様じゃない?」

「え?そうなんですか?」

「スクロック魔法学校のエンブレム服に付いてるし、それに、あ、服の裏地の所にも名前見える。間違いないと思う」


 あれが噂のグリノレッジ公爵様ですか。なんかそう聞くと凄いって感じますね。

 って、ちょっと待って下さい。


「コロ――、師匠、目良すぎじゃないですか!?」

「ちょっと、声が大きい!」

「あ、す、すいません」


 またやっちゃいました。ですけど、そりゃ大きくもなりますよ。だって私からしたら髭の人っていうのくらいしか分かりませんもん。


「この眼鏡、凄い近くで見えるように見えるから」

「え?そうなんですか?」


 その眼鏡、そんな力があったんですね。凄いです。


「ラフ、あの反対側に行ける?」


 関心していたら師匠に言われました。

 ああ、はい。えーと。


「えーと、あの反対側って言うとどこですか?」

「あの、もう一つ別の通路の方」

「あー、あそこですか」


 師匠が指差した先。そこは確かに誰もいませんね。

 あれ?でも、なんでこんなに人いるのに誰もいないんですかね?


「あ、ゴメン。待って」


 疑問に思っていたら待ってと言われましたよ。

 なので待ちます。そしたらコロンさんが「えーと、どう言う事?」とか言っちゃいましたよ。うーん?どう言う事って、どう言う事なんでしょう?


「師匠どうかしました?」

「いや、この眼鏡。正体を明かしてあの二人に話しかけるのがベストとか訳の分からないこと言ってるっていうかなんか文字が浮かんできたから」


 コロンさんはマイティアちゃんとグリノレッジ公爵様を指差してそんな事を言い出しちゃいました。

 でも、正体明かすのってダメですよね。

 そうコロンさんも言ってましたから。でも、なんだか気になります。それをしたら何かあるんでしょうかね?

 むむむ……。


「師匠、どうします?」

「どうしますって、うーん、どうしよう」


 コロンさんも悩んじゃいましたよ。

 むむう、あの二人がもしかしてマイティアちゃんとグリノレッジ公爵様に変装したコロンさんのお母さんとお父さんですかね?……あ。

 そう考えた瞬間、ビビビと来ましたよ!

 きっとそうですよ!なーんだ。つまり、あの二人に言えば協力してくれるって事じゃないですか。ふう、これは解決しましたね。

 じゃあ、早速コロンさんに報告をしなきゃです。


「師匠、師匠!」

「何?」

「多分あの二人、師匠のお母さんとお父さんじゃないですか?」

「え?」


 私の言葉に固まるコロンさん。

 どうやらその発想は無かったみたいですね。ふふ、どうですか!

 もしかしたら私、天才かもしれないですね!いや、頭はいいですよ。だって、そこはお母さんとお父さんに褒められましたから。ふふ。


「いやー、あの二人なら、あそこにいるけど」

「へ?」


 そう言ったコロンさんの指す先。そこは色んな人がいる場所でした。

 って、ほ、本当です!

 コロンさんのお母さん、あの人がいっぱいいて止められてる所にいますよ!その隣にいる男の人見たこと無いですけど。んー、ですけど、雰囲気がどこと無くコロンさんに似ているような似ていないような?


「でも、この眼鏡の指示に従ったらどうなるかは分からないけど、私が最初に考えた作戦を実行するにはちょっときついかなぁ。まさか、魔法のエキスパートを育成する学校の生徒と教員全員相手となると」


 そうしてコロンさんは悩んじゃいました。

 うーん、何かいい方法は無いんですかね?

 例えば、えーとえーと……、うぐぐ、思いつきませんよ!


「あー、もう。ラフ、あの二人の所まで飛んで行って」

「分かりました」


 全然良い案が思い付かなかった私はコロンさんの指示の元、あの二人の方へ飛んでいきます。

 そうして誰にばれる事も無く、私とコロンさんはマイティアちゃんとグリノレッジ公爵様の上空へと辿り着きました。

 ふう、どうですか!この誰にも気付かれない感じ。凄いですよね。

 あ、そんな事より、降りないとですよね。

 私はゆっくりゆっくりと高度を落として、静かにマイティアちゃんとグリノレッジ公爵様の近くの建物の壁付近に降りました。


「……何かいる?」

「む?」


 そしたらマイティアちゃんとグリノレッジ公爵様がこっちを見ましたよ!

 それにビクッてしちゃいました。見つかっちゃいましたよ!


「何もおらんが?」

「……そう、ですね」


 そう言って二人はまた向き合っています。

 ふう、び、びっくりしました。二人とも目が悪いんでしょうかね?こんなに傍にいるのに見えてないみたいですよ。


「ちょっと、ラフ。なんで傍に降りるのよ」


 緊張で出た汗を拭ったら、コロンさんがひそひそ声で言います。

 表情から見るに怒ってますよ。


「だ、だって師匠が二人に接触しようって言ったんじゃないですか!だからここが良いかなって思って」


 そう私は反論します。だってコロンさんがそうした方が言いって眼鏡に書いてたとか言うんですもん。

 私は悪くないですよ!


「……誰かいます」

「誰じゃ。隠れてないで出てこんか!」


 その言葉を聞いて私とコロンさんは固まります。

 見たらマイティアちゃんはあのかっこいい短剣を手にしてますし、おじいちゃんは喝ッって感じで言いました。

 って、あ、あれ?

 ですけど、二人は私達の方を向いていたのに急に私達とは逆の辺りを見渡していますよ。

 これはどう言う事なんでしょうか?

 うーん?あ、もしかして――!


「師匠、師匠」

「何?」

「二人とも暗くて黒い服着てる私達の事見えてないみたいですよ」


 そうです。二人とも、辺りをキョロキョロしているのに私達の事見えてないみたいですから。

 たまに顔とか合いますけどなんだか私達を見てないって感じですし。

 これはそうですよ。見えてないってことなんですよ!


「そうみたいだけど、本当にそれだけかな?」


 なんかコロンさんが首を傾げます。むむー?


「どういう事ですか?」

「いや、だってさ流石にいる場所近いし隠れても無いのに見つからないっておかしくない?」


 む?んー……


「言われてみればそんな感じもしますね」

「でしょ?だから、この服に何か秘密があるような気がするんだけど」


 確かに言われればそんな気がしますね。

 この服、ワンダーさんから貰った布製ですからね。

 もしかして何かあるんでしょうか?


「あ、もしかして二人に会って性能を確かめた方がいいっていう事だったのかな?」

「性能ですか?」

「うん。いきなり大人数の前に行くよりだったら、ここで二人の様子を見て性能を確認した方がいいって事でここに誘導したんじゃないかな?」


 な、なるほど。コロンさん凄い説得力ですよ。

 ふんふん、確かに。……あれ?ですけど


「なんか声かけてみてって言ってませんでした?」

「あ、確かに。それに、正体を明かしてっても書いてた」

「そうですよね。うーん、じゃあ、正体を明かした方が良いんでしょうかね?」

「そう書いてたけど、でも、こんなに高性能な服なのにそんな事する必要性が感じられないんだけど」

「確かにそうですよね」


 コロンさんの眼鏡に書いてあったっていう文字は一体何を言いたいのかさっぱりですね。

 そう首を捻っていたら、何かがトンってぶつかりました。

 なんでしょう?


「……何かある?ッいる!」


 ま、マイティアちゃんです!マイティアちゃんがぶつかって来ちゃったみたいです!

 そんなマイティアちゃんは私に向かってあの光る棘みたいなのを放って、って、あわわわわわ!

 私は慌てて避けます。

 そんな私のすぐ横をあの黒色の輝く棘がビュンって飛んで行きました。

 か、間一髪。近かったので危なかったですけど避けましたよ。ふう~。ちょっと服をかすめて、ほんの一部破れちゃいましたけど。


「……!?」

「む?お主、誰じゃ?」


 そんな声が聞こえたので見たら、二人が私を見ています。

 え?あれ?えーと、これは……、ど、どどど、どうしましょう!?

 と、とりあえず誰って聞かれてますから、自己紹介をしなきゃいけませんよね!?


「わ、私は、あれです。えーと、師匠の――」

「……な、なんでここに?」


 とりあえず慌てて自己紹介しようとしたらマイティアちゃんに遮られちゃいました。

 なんでって。


「む?マイティア、知り合いかの?」

「……遺跡で会った人」

「ほう!この娘がか。ほー」


 マイティアちゃんからそう聞いたグリノレッジ公爵様は私の事を顎鬚あごひげを撫でながら見てきます。

 って、なんか凄い見てくるんですけど!


「して、お前さん」


 そしたら突然話しかけられちゃいました。


「な、なんでしょうか?」

「なんでここにおるんじゃ?ここは、今、ノクターンホロウが来るというから一般人は通れないように閉鎖しておるんじゃが」


 そう言ってまたじーっと見てきます。え、ええっとここはどうしましょう。

 そう思ってコロンさんの方見ると「誤魔化して」って言われました。

 誤魔化す、誤魔化す……。

 うぬぬ……。


「そ、それは、ですね」

「うむ」


 考えるんです。私なら出来ますから!

 一般人じゃないと通れないって言うなら、一般人じゃない事を伝えればいいんですよね!それなら!


「私が、一般人じゃないからですよー!」


 どうですか!この結論!

 これなら誤魔化せましたでしょう!


「な、なんじゃとー!」


 そしたらグリノレッジ公爵様はビックリして目を大きく見開いています。

 ふう、誤魔化せたみたいですね。


「つ、つまり、お主は、一般人じゃなく、ここに来るという怪盗とでも言うつもりか!」

「違います!私は、ノクターンホロウの弟子。ラフです!」


 これは決まりましたね!完全に誤魔化せましたよ!むふー。


「……」

「すると、お主はあれであろう?裏工作員としてあそこにいる宝晶族を殺しに来たんじゃろ?」

「へ?」


 え?何を言ってるんでしょうか?この方は。


「そんな事しませんよ。ただトパーズサイト様のティアラを盗りに来ただけで、それを本人に取り戻しに来て欲しいだけですよ。全く、そんな殺すなんて。そんな事したらクリスタ君とコクヨーちゃんが悲しんじゃいますよ」


 全くなんて事を言うんでしょうかね。この人は。

 そう思っていたらコロンさんに頭をポカって叩かれました!ポカって!!


「何するんですか!」

「なんで全部話してるの!?」

「へ?……あ」


 あわわわわ!!

 やっちゃいました!つい全部話しちゃいましたよ!?

 ど、どどど、どうしましょう!


「お主、おバカさんじゃな?」


 慌ててたらグリノレッジ公爵様にそう言われちゃいました。

 うう、私、おバカさんじゃないですよ。でも、これはおバカさんですよぉ……。


「……公爵様、この人捕まえますか?」

「いや、色々聞きたい事があるからのぉ。それに、そこにも居るんじゃろう?出てきて構わんぞ」


 そう言ってグリノレッジ公爵様はコロンさんにも声をかけます。

 私はそんな声をかけられたコロンさんの方へ視線を向けます。そしたらコロンさんと目が合いました。


「師匠、出てきても良いそうですよ」

「いや、出てきても良いって、これどうすればいいの?」


 コロンさんはそう言って服を見ています。

 そういえばさっきまで見えてなかった私が急に二人に見えたのはどうしてなんでしょうかね?

 うむむ、謎です。


「すいません。師匠、出方が分からないみたいですので」

「なんじゃと?それはお前さん等の魔法とか特技とかでは無いのか?」

「うーんとですね。私にもよく分からないですけど、私には見えてるんですけどマイティアちゃんとグリノレッジ公爵様には見えてないのでこれはどうしたら良いんですかね?」


 私がそう言うと、グリノレッジ公爵様は顔を逸らして考えた顔をして、口を開きました。


「お嬢さん。ワシの事はグリノレッジではなく、フクゥダ公爵と呼んでくれぬか?苗字で呼ばれたらワシの家柄が公爵家みたいでなんか嫌じゃ」


 あ、あのグリノレッジ公爵様のグリノレッジって苗字だったみたいです!

 初めて知りました!ですけど本人がそう言っているならそう言ったほうが良いですよね!


「分かりました!フクゥダ公爵様」

「うむ!」


 こうして私とフクゥダ公爵様は握手を交わします。


「いや、ラフ。それよりも姿を現す方法を探すのが先でしょ!怪盗が奪ったっていうのを知らしめないといけないんだから!」

「あ、そうですね」


 いけませんいけません。ついうっかりする所でした。


「それで、何か分かりませんか?二人に見える方法は」


 という訳で二人に聞いてみます。


「ふむ、お主が何故急に現れたのかという原因が分かれば分かると思うんじゃが?」


 フクゥダ公爵様はそう言って私を見ました。

 ふむふむ。


「そうなんですけど、私にも分からないので聞いてるんですけど」

「む、そう来るか~。うむむ、しかし、お主も分からぬとなるとワシには全く見当がつかないぞ」


 フクゥダ公爵様と一緒に溜め息をついちゃいました。

 仕方ないですよね。分からないんですから。

 そうして落胆していたら、マイティアちゃんが口を開きます。


「……そういえば、その服はどこから?」

「え?この服ですか?あの、ワンダーさんから貰った布ですよこれ」

「……そう」


 マイティアちゃんはそう言って納得してくれました。

 まあ、コクヨーちゃんの件もありますからね。納得して当然だと思いますよ。


「ワンダー、じゃと?」


 そんな会話をしていたらフクゥダ公爵様が凄い訝しげな表情で私の方を見てきました。

 どうかしたんでしょうかね?


「それはワンダーの渡した布で出来ておるのか?」

「はい。そうですけど」

「ふむ、なるほどのぉ~。――それじゃ!」

「わわ!?」


 突然フクゥダ公爵様が大声を出したのでビックリです!

 ど、どうしたんでしょうか?


「ワンダーアイテム。様々な効果が付与されておる代物じゃ。そして安くてもその品一つで街が簡単に買えてしまう程の値打ちがあるものじゃ」


 そしたら今度はそんな事を言い始めちゃいました。

 ええっと、つまり?


「じゃから、多分、お主は何らかの影響でその効果が解除された状態になったのであろう!」


 な、なるほど~。

 確かにそう言われるとそんな気がしますね。


「では、その解除の仕方とは!」

「解除の仕方は!」


 真剣に見つめあう私とフクゥダ公爵様。

 その間には張り詰めた空気と真剣な眼差しが交差します。

 刹那であるのに、長い時間がかかったような感覚。しかし、それを終わらせる動きが!そう!フクゥダ公爵様の口が動きました!


「分からぬ!」

「なんでですかー!」


 ここまで引っ張って分からないはないですよ!


「だって、そんな事言われても分からぬものは分からぬもの~」


 フクゥダ公爵様は人指し指同士を合わせてイジイジしています。

 って、イジイジしてる場合じゃないですよー!


「……私が攻撃した時、その時って何かあった?」


 フクゥダさんの動きに突っ込みを入れようとしたらマイティアちゃんにそう言われました。

 ええっと。


「マイティアちゃんが攻撃した時はですね、えーと、確か、避けて、その時にあの光るのが服を掠めてちょっとその所が破れちゃったくらいですけど……」


 確かそれくらいだったはずです。なので目立ったような所は無いです。

 そう思ってマイティアちゃんを見ると


「……服が少しでも破れたら効果を失う?」


 そんな事を言いました。確かにそれしかないですけど。


「ですけど、そんな程度で効果って切れるんですか?」

「お主、エンチャウント服は初めてじゃな?」


 すると突然、フクゥダ公爵様が語りかけてきました。

 ちょっとビックリしましたよ!

 ですけど、エンチャウント服ってなんでしょう?


「実はな魔法効果をエンチャウントされた物は一部を除いて少しでも欠損すると効果を失うんじゃよ。まさかワンダーアイテムもその例に漏れずとは思わなかったがのぅ」


 そう言ってフクゥダ公爵様は満足気に髭を撫でています。

 なるほど、そうなんですか。つまり、コロンさんの服を少し破れば良いんですね。ふむふむ。


「そう言う事らしいですよ!師匠!」

「やってみる」


 そうしてコロンさんは着ている服の袖の先をピッと切りました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る