第16話 光晶祭 ‐魔封の儀‐
日が完全に昇った頃。クリスタ君達を起こした私は早速コロンさんに教えてもらった高価な物というのを選ぶ為に宿の人に聞いたんです。
ですけど、そこで衝撃の事実が!!
「コロンさん大変です。コロンさんの言ってたようなのが売ってるお店。お祭りのあいだ閉まってるらしいですよ!」
「え?あ、そうなの?」
聞いて来た事を報告したらコロンさんはぽかーんとした様子で返答します。
むむむー!そうなの?じゃないですよ!
どうするんですか!高価な物買えないですよこれじゃあ!
「やっぱりこの石あげる?」
「ですです。私もぴかぴか石よりもその美味しい石の方が良いです。ですから、お姫様もこの石の方が好きだと思いますです!」
私がもやもやしてたら二人がそう言いました。
ですけど、ですけどぉ。むむう。
「買えないなら仕方ないですね」
私はそんな二人の案で妥協しました。
それじゃあ、早速――
「え?本当にその石あげるの?」
と、部屋を後にしようとしたらコロンさんがそんな事を言いました。
そんな事言ったって仕方ないじゃないですか!
「うん!美味しいもん」
「です!美味しいです!」
私がむむーと思いながら何か言おうとしたらクリスタ君とコクヨーちゃんが先にそんな事を言いました。
そうですよ。美味しい物は貰うと嬉しいですからね。
「普通に怒られると思うけど。石食べるって話だけど、どう見ても普通の石だし」
「ふえ?美味しい石だよ?」
「です。美味しい石です」
コロンさんの言葉に二人は首を傾げて言います。
うむむ、そんなに美味しい美味しいって聞いたら凄く味が気になりますよ。
どんな味なんでしょうかね?
「まあ、いいけど。で、そのお姫様がどこにいるのか知ってるの?」
コロンさんが問いかけてきました。……そう言えば知りませんね。あ、こういう時は。
「知らないので聞けばいいんですよ!」
我ながらとても素晴らしい発想を披露します。
ふふ、どうですか!
「まあ、そうだけど。レシア、昨日知らないで行こうとしてたの?」
「そ、それは。その、聞けば分かるかなって思ってですね。そのー」
「はあ、全く」
言い訳をしていたら呆れられちゃいました。
うう、なんというかごめんなさいです。
コロンさんに申し訳ないという風にしていたら、くいくいと手を引っ張られました。
見ればクリスタ君です。
「じゃあ、早く聞きにいこー!事前じょーほーはじゅーよーなんだよ!」
「おりなー、事前じょーほーって何です?」
「事前じょーほーはねじゅーよーでね大事な事なんだよ!」
「事前じょーほーはじゅーよーで大事なんですか!じゃあ、大事ですね」
二人はそう言って頷きあいました。
ふふ、ついにクリスタ君も教える立場に少し立てたみたいですね。
「それ、意味分かって言ってる?」
「うん!事前じょーほーはじゅーよーで大事な事なんだよ!」
「はい!事前じょーほーはじゅーよーです!」
コロンさんの言葉に二人はそう言いました。
ですけど、まだ何か腑に落ちていないみたいです。ですけど、今はそんな事よりも宝晶族さんの、トパーズサイト様を元気にするのが先決でしょう!
なので区切らせていただきますよ!
「いや、そうだけど……」
「まあまあ、早く行きましょう!事前情報は重要ですから」
私はそう言ってコロンさんの会話に乱入しました。
こうすれば即行動に移せるんです。それに今は、動く時です!細かい話は後ですよ!
という訳で私達は宿の人に聞きに行きました。
「すみませーん」
「はい。何でしょうか?」
「トパーズサイト様のいる所ってどこですか?」
「……はい?」
あれ?宿の人も知らないんでしょうかね?
首を傾げられちゃいました。
「ちょっとレシア」
そんな宿の人の事を見ていたらコロンさんに押されちゃいました。
「すいません。宝晶族の方が住んでる場所ってどこですか?」
「宝晶族様ですか?それでしたら、宝岩の城に居りますけど、行っても外観しか見れないですよ?」
「中には入れないんですか?」
「無理ですね。伯爵様の許可が無ければいけませんし、基本的に許可が下りることはありませんので宝晶族様が見れる事は基本的にありません。お祭りの時しか一般の目に触れませんから。この時期に旅人さん達は良い経験出来てますよ。それに、少し耳を貸していただいても良いですか?」
と、宿の人はコロンさんに手招きして耳に元で何か言っています。
何言ってるんですかね?
そう思って見ていたらコロンさんの表情が急に青ざめていきます。
んー?どうしたんでしょうかね?
と、宿の人はコロンさんの耳元から離れて姿勢を戻しました。
「まあ、それでですね、お祭りの期間中は宝晶族様は昨日の光晶の儀をした会場にいますからまだ見に行ってないなら行ってみてはどうでしょうか」
宿の人は満面の笑みで言います。
なるほど、昨日のあの光った魔宝石の場所にいるんですか。
場所も特定出来ましたし、それじゃあ早速――
そう思った瞬間でした。突然腰にぎゅっとしがみ付いてくる感触が。
見ればクリスタ君とコクヨーちゃんです。
「あそこ、やー」
「です。嫌です」
二人は首を振って言いました。
確か、二人とも嫌がってましたね。うむむー、ですけど。
「クリスタ君、コクヨーちゃん。お二人はお姫様を元気にしたいんですよね」
「うん」
「はいです」
私の言葉に二人は頷きます。
だったら
「だったら、頑張りましょう。大丈夫です。私がついてますから」
私は二人に応援を送ります。
そうです。やるならばそれ相応の勇気が必要な場面があるんです!
「うん、頑張る!」
「です。頑張るです!」
と、私の応援にちょっと間を置きましたけど、強く頷いて二人はやる気を出してくれたようです。
それじゃあ、
「早速出発です!」
「あ、ちょっとゴメン」
意気込んだらコロンさんがまたストップをかけてきました。
むー、なんなんですかもう。
「私、宿で留守番してても良い、かな?」
そんな事を急に言い始めました。
何言ってるんですか!
「コロンさんも行くんですよ。クリスタ君とコクヨーちゃんもやる気出したんですから!」
「で、でもー」
何故か急にごね始めたコロンさんです。でも、なんかおかしいですね。きょろきょろしてますし、んー。なんでしょう?コロンさんどうしたんでしょうかね?
「ころんさん行かないの?」
「行かないです?」
そんなコロンさんの様子を見てクリスタ君とコクヨーちゃんが心配し出しちゃいました。
二人ともうるうるしたような表情です。
「うっ、いや、その。うう、……わ、分かった。行く」
と、コロンさんは二人の表情を見て行く事に決めたようです。これで皆で出発出来ますね。
「それじゃあ出発しましょう!」
という事で私達は宿から外に出ました。
道を行き交う様々な人が目に映ります。やっぱり人多いですね。
よく見れば同じ服着てる人もチラホラ見えます。
さあ、私達もこの人達の中を歩いて目的地に向かいましょう!
「号外!号外だよー!」
そう思っていたらそんな声が聞こえてきました。
見れば何やら手に持って騒いでる人がいて、その周りに人がいっぱい集まってます。
なんでしょうかね?あれ。
そう思っていると、人の声が耳に入ってきました。
「コーメインで石の魔王復活したの勇者が倒したらしいぞ」
「それより、巨大なミスリル鉱石が産出されたって書いてるわよ」
「祭り終わったらコーメインに行くか!」
「だな。ああ、待ってろミスリル鉱石。手に入れてやるぞぉ」
なんだか色んな人がいるのにそんな内容を話していました。
コーメインの話をしているみたいですね。
んー、ですけどどうしてその話してるんでしょうか?あ、そんな事よりも。今は別の事ですよね。
「さあ、出発しましょう!」
「うん!」
「です!」
私は再度気合を込めて皆に声をかけ歩き出します。
クリスタ君とコクヨーちゃんとはぐれない様に手を繋いで、コロンさんはそんな私の後ろを歩いてきます。
そうして私達は昨日の光晶の儀をやっていた会場に来ました。
そこには多くの人が既に集まっていて昨日よりも遠くに感じますね。
「人多いね」
「です」
「お姫様遠いね」
「です」
そんな現場を見て二人はがっかりした表情をしました。
むむう、何とかしてあげたいですけどこの人混みを二人連れながらかき分けて行くのは無理そうですし。
私は必死に思考を巡らせましたけど、全然良い案が浮かびません。どうしたらいいんでしょう。むむむ。
どこかに空きが無いか私は探してみますけど、どこも人だらけで全然空きが見えませんね……。
そう思っていたらいきなり皆さんが「おお」という声をあげて少しびっくりです!
な、なんでしょうかね?
気になって視線を皆さんが向けているところに向けるとトパーズサイト様が木の箱に沢山入っている宝石に向かって手をかざしているのが見えました。
何してるんでしょうかね?
すると、昨日みたいにトパーズサイト様の手が淡く光って、な、なんと宝石がそれにあわせて色とりどりの輝きを放ちます。
圧倒的な輝き。お昼前でお天気もいいのに日光よりも眩しいですよ!
凄く綺麗です。まるでお昼なのにお星様がいっぱい輝いてるみたいです。
「れしあさん」
と、見惚れてしまっていたら手をくいくいと引っ張られました。
クリスタ君です。
「お姫様の所行けないの?」
そう言われて思い出しました。
私達、あのトパーズサイト様に会いに来たんでした!!
慌てて私は探します。通れそうな所を!ふむむむむっ!
『
頑張っていたらそんな声が聞こえてきます。
見れば、クレサン様に連れられてトパーズサイト様が皆さんに手を振って行っちゃいました!
あわわわわ!どうしましょう!
と、とりあえずトパーズサイト様の所に!
そう思ったんですけど、人が私が行きたい方とは逆に動いて全然進めませんー!
んーー!!!
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