第15話 光晶祭 ‐伝言‐
宿に到着した私は早速二人にお話を聞こうと思ってとある事を思い出しました。
そうです。コロンさんがあの場にいなかったのを思い出したのです!
そして肝心のコロンさんはといえば、ベッドで横になっていました!
うう、来るって言ったじゃないですかぁ!!
「コロンさーん!何寝てるんですかー!」
「ふえあ!?」
と、コロンさんが飛び起きます。そして辺りをきょろきょろし始めます。
そんな事よりもです!
「コロンさん!」
「え?な、何?」
「何で来なかったんですかー!」
私は怒ります。約束は破っちゃいけないんですから!
「あ、ごめん。疲れて寝ちゃってた」
そう言ってコロンさんはすまなさそうに手を合わせました。
むむう、そう言われると、これ以上責められませんね。
「むうー、仕方ないですね」
「で、光晶の儀どうだった?」
と、コロンさんが聞いてきます。
うーん?どうって――。
「綺麗でしたけど、なんか光に襲われました」
「え?何それ?」
「分からないですけど、光に襲われましたけど、別に痛かったりとかは無かったです。――あ」
思い出しました。
そうですよ。私、宿に着いたら抱えてる二人に聞きたいことがあったんでした。
「どうかしたの?」
思い出したところでコロンさんが問いかけてきました。
そう言えばコロンさんはいなかったんですよね。
なんと言ったらいいんでしょうか?
「あのですね。クリスタ君とコクヨーちゃんが光に襲われた後から何か様子が変になったんですよ」
「変に?」
そう言ってコロンさんは二人に目を向けます。
私も向けます。
二人はいつの間にか寝ていました。
「お二人とも起きてください」
「ふえ?」
「ふにゅー?」
揺すると二人はそんな可愛らしい声を出して目を開きます。
そして「おはよー」と返答します。
「おはようございます。それで、お二人に聞きたい事があるんですけど」
「何ー?」
「何です?」
「さっき変な事言ってたので、何があったのかなって思ってですね」
「変な事?」
「何の事です?」
あれ?
「覚えて無いんですか?」
「うーん?」
「よく分からないです」
どうやら二人は全く覚えてないみたいです。
むむむ。……ですけど、あんなに必死な感じで言っていたのに忘れますかね?
謎です。謎が謎ですよこれは!
「もしかしてレシアの方がその光で変な魔法にかかったんじゃない?」
首を傾げていたらコロンさんにそう言われました。
え?うーん。そんな事何と思うんですけど……。
「特に魔法の効果的なのは感じなかったので違うと思いますけど……」
「そうなの?」
「はい。ただ、明るいだけで何も無かったですし」
「光ー?」
「光です?」
と、コロンさんに答えていたらクリスタ君達が首を傾げました。
「そうですよ。あの光晶の儀の時に青い結晶の上にあった光に襲われたんですよ?」
そう言うと二人は何か考えたような仕草をすると急にビクッとして私にしがみ付いてくるじゃないですか!?
ど、どうしたんでしょうか?
「あの青いのやー!」
「いっぱい見てたです!」
私が声をかける前に二人がそう言います。
「えーと、何があったの?」
と、コロンさんが問いかけてきました。うーん、そうですねぇ。
「うーん、なんというか青い結晶に光が灯った瞬間、クリスタ君とコクヨーちゃんが怖がりだしたんですよ」
「え?なんで?」
「さあ、分からないですけど……」
「うーん?普通に綺麗なものだってしか聞いてないんだけど」
「はい。普通に綺麗でしたよ?」
「綺麗じゃないよ!やーなの!」
「嫌です。うええ」
私の言葉に二人が猛反発です。
うーん、どうしましょう。全く分かりませんよ。
ですけど、二人には落ち着いていただかないといけませんよね!
そう思い私はベッドに腰掛けて二人をベッドの上に降ろします。そして良い子良い子しながら落ち着けます。
ぐずってますけど少し二人は落ち着いたみたいです。ただ、私の服は離してくれませんけど。
「えーと、それで光が襲ってきたって具体的にどういう感じ?」
コロンさんがお話を戻します。
そうですね。これはしっかりきっちり教えないとですよね!
何か分かるかもしれませんし!
「こうびゅーんって感じに来て綺麗だなぁって見てたら突然私の方目掛けてしゅーんと来たんですよ!それはもう怖かったです」
「あ、うん。そうなんだ」
「そうです!あ、でもその初撃は避けましたよ」
「いや、それよりもその光に襲われた感じを聞きたいんだけど」
「へ?だからしゅーんて来ました」
「え、えーと、それでその光はその後どうなったの?」
「えーとですね。何回か避けたらバラバラになって襲ってきて、マイティアちゃんに守られて、最後にドーンってきました」
私は思い出しながら説明します。
確かこんな感じでしたね。うんうん。これなら私がどういう状況だったのか分かりやすいと思います。
「えぇっとぉ、最後ドーンって来たのってどういう事?」
「え?ドーンはドーンですよ?いきなりドーンです!」
「あ、うん。まあ、そうなんだ。それで、そのー、どうなったの?」
「えーと、光に包まれてー。あ、そうです!その後にクリスタ君達が変になったんですよ」
「変にってどういう風に?」
「なんかお姫様がどうのこうのって急に言い出したんですよ」
「お姫様?お姫様ってアイリス様の事?」
私の言葉にコロンさんはそう言いました。
誰でしょう?アイリス様って。ですけどなんだか凄く綺麗な響きですね。
「違うよ。お姫様だよ?」
「そうです。お姫様です」
そう思ってたらクリスタ君達がまた違うって言います。
うーん、どういう事なんでしょうか?
あ、そういえば。
「そう言えばクリスタ君達がお姫様に元気になって欲しいって言ってましたけどどういう意味ですか?」
「ふえ?」
私が思い出した事をクリスタ君に問うと首を傾げちゃいました。
どうしたんでしょうかね?
「れしあさん聞ーてないの?」
そしたらクリスタ君にそう言われちゃいました。けど、うーん?
「何をですか?」
「ふえ?お姫様がずっとごめんなさいって泣いてるの」
「え?私そんな声聞こえませんでしたけど」
「えー、お姫様泣いてたんだよ」
うーん。良く分からないですね。
泣いてるっていわれても。むむむむ……。
「それに皆言ってましたです。お姫様笑ってって。泣かないでって、皆言ってたです!」
悩んでたらコクヨーちゃんにも言われました。
一体誰が言ってたんでしょうか?
むむー、全く分からないです。
「ところでアイリス様が姫じゃないって言ってたけど、クリスタ達の言ってる姫って誰なの?」
頭からぷすぷす煙が出そうなくらい悩んでたらコロンさんがクリスタ君たちに問いかけました。
「ふえ?お姫様はお姫様だよ?」
「です!お姫様です!」
「そうじゃなくて、お姫様の名前」
コロンさんのそんな言葉。それに二人は首を傾げると当たり前と言うように言いました。
「とぱーずさいと様だよ?」
「です。とぱーずさいと様です!」
二人からそんな名前が出ました。うーん?聞いたこと無い名前ですね。一体誰でしょうか?
「と、トパーズサイト?誰それ?」
コロンさんも首を傾げました。
「お姫様だよ!」
「です!」
二人はコロンさんに言います。
うーん、もしかして。
「あの時、クレサン様の前にいた人ですか?」
「うん」
「です」
なるほど。そこで繋がりましたよ。
つまり、二人が言っているお姫様はあの宝晶族の人みたいですね。
確かにドレス着てましたし装飾品も綺麗でお姫様みたいで綺麗でしたから。うん、頷けます。
そしたらまたまたコロンさんが問いかけました。
「えーと、クレサン様って誰?」
どうやらコロンさんは分かってないみたいですね。
ふふ、ここは私の出番でしょう!!
「クレサン様は私達が遺跡に行く前にクリスタ君が道を聞いた女の人ですよ」
「え?あ、そうなの?」
「はい。それで光晶の儀の時に二人の言ってたお姫様の後ろで歩いてた方ですね」
「え?何。二人の言ってたお姫様が誰か分かったの?」
「勿論ですよ。宝晶族さんの事です」
私は胸を張って答えます。
どうですかこの読解力!
これにはコロンさんも凄いと思っているはずですよ。
「うーんと、なんで宝晶族が姫?」
「ふえ?お姫様はお姫様なんだよ?」
「です。お姫様です。初めて見たですけど、お姫様です」
二人の回等にコロンさんは何やら考え込みました。
どうしたんでしょうかね?
そう思って眺めてたらコロンさんは溜め息一つです。
「まあ、それは置いておいて。それでクリスタ達の言ってた皆って誰?」
「ふえ?皆は皆だよ?」
「です。皆が言ってたです。泣いてるお姫様に泣かないでーって言ってたです」
二人はコロンさんにそう言いました。
でも、私はそんな声聞いた覚えないんですけど……。
「レシアはそういう声聞いたの?」
「いえ、ただ周りが騒いでた声くらいしか聞こえなかったですし、そんな声は聞いてないですね」
「でも、言ってたんだよ!」
「ですです!皆言ってて、お姫様が泣いてたです!」
二人はそう言います。
ふむふむ。
えーと、私は光しか見えなかったんですけど二人にはお姫様が見えてたんですかね?
あれ?でも、そもそも、ずっと私に顔埋めてましたよね?あれ?
「でも、レシアは何にも見えてなかったし聞こえなかったんだよね?」
考えてたらコロンさんにそう言われました。
「ですね。私は光に包まれて周り見えなかったですし。それにそのお姫様泣いてる感じは無かったように思いましたけど」
「えーとそうすると、レシア達を襲った光に何かあったんじゃない?」
そしたらコロンさんが言いました。
うーん、確かにそう言われた方がしっくりする感じがしますね。
そういえば、あの光に襲われてマイティアちゃんに守られてた時、障壁に手をついてる光がいたのを思い出しました。
今思えば何か伝えようとしているようにも見えますね。うーん?そういえばあの光の人。身長的にコクヨーちゃんくらいの大きさだったような気がしますね。
「それでね。僕、お姫様元気にしたいの!えへへーって笑わせたいの!」
「です!私もしたいです!」
そう思い出していたら二人がそう言いました。
でも、確かに悲しんでるなら私も笑顔にさせてあげたいですね!
それなら!
「それなら私もそれに参加しますよ!」
という事で私も賛同します!トパーズサイト様を笑顔にするのです!!
こうして私とクリスタ君、コクヨーちゃんで結成されました。
トパーズサイト様を笑顔にさせ隊です!
「うーん、そう言っても本人に会える機会なんて無いと思うけど。どうするつもりなの?」
意気込んでいたらコロンさんがそんな事を言いました。
何を言ってるんですか。
「簡単です!直接会いに行けばいいんですよ!」
私は胸を張って言いました。
ふふ、当たり前の事をすればいいんですよ!それに思い立ったが吉日です!
「という訳で、今から行って来ます」
「え?いや、ちょっと待って。今から行くの!?」
「勿論です。元気にするなら時間はかけない方が良いって言いますし」
「そーなんだ!」
「そうなんですよ」
私はお母さんの教えをクリスタ君に教えます。
ふふ、これでクリスタ君もひとつ賢くなりましたね!
「じゃあ、僕も行く!」
「私も行くです!」
ふふ、そうと決まれば!
「ええ……、今もう夜も遅いし、明日にしたら?今からなんて失礼でしょ?」
と、私が意気込みを込めて行こうとしたらコロンさんにそう止められてしまいました。
た、確かに。夜、他所の人に行くのは失礼だってお父さんが言ってましたね。
ですけど、ですけどぉー!
「でも、それじゃあ私のやる気が収まらないですよ!」
「いや、一旦落ち着くのも大事でしょ。会ってどうやって元気にするのかとか考えないと」
私が悩んでたらコロンさんがそんな事を言いました。
なるほど。ふむふむ。
「確かにそうですね!凄いですコロンさん、そんな案を思いつくなんて!」
「え?あ、うん」
「じゃあ今日は元気にする方法を考えて明日行きましょう。それじゃあ元気にする方法話し合い開始です!何かある人は手を上げてください」
私はそう言って仕切ります。ふふ、凄く優越感です!
そしたら早速手が上がりました。クリスタ君です。
「はい!クリスタ君」
「えっとね、この石あげるの!」
そしてクリスタ君がバッグから石を取り出しました。
確かそれは、コーメインでクリスタ君が貰った石ですね。
「それ良いです!その石美味しいです!流石おりなーです!」
コクヨーちゃんはクリスタ君の案に大絶賛ですね。
ですけど、なるほど。美味しいものをあげたら元気になりますよね。
流石クリスタ君です。
「え、美味しいものって……。というか石に美味しいとかあるの?」
「ふえ?」
コロンさんの言葉に首を傾げるクリスタ君。
「これ美味しいよ?」
「です。これは美味しいです」
と、二人がコロンさんに言いました。
どうやら美味しいらしいですね。……一体どんな味がするんでしょうかね?
まさか、あの石は甘かったりするんでしょうかね?
そう考えたら凄く気になります!
「いや、まあ、二人がそう言うならそうかもしれないけど」
「うん。美味しいよ」
「はい。美味しいです」
そうやって確定されると、むむむ、更に、凄く気になります。
「でも、食べ物より何か宝石とかの高価な贈り物の方が良いんじゃない?高価なものは貰うと嬉しい物だし」
と、私が悩んでいたらコロンさんが二人にそう言いました。
いえ、そんな事より石の味の方が気になりますよ。
「高価なもの?」
「高価って何です?」
とか考えていたら二人がコロンさんに問いかけました。
そう言えば何でしょうね?高価って。
いや、待って下さい。こういう時はコロンさんが言った言葉を思い出せばいいんですよ。
宝石が高価。という事は、多分キラキラするものを指す言葉なのでは無いでしょうかね?
「高価って言うのは値段が高いものって意味。クリスタの持ってるお金を全部払ってぎりぎり買えるものとか、それよりも高いものとか」
そう考えていたらコロンさんが説明してくれました。ふむふむ。
「ふーん?」
「んー?」
「お金って何です?」
いまいち良く分からなかったですね。
というか、コクヨーちゃんが首を傾げて言います。
どうやらコクヨーちゃんはお金を知らないらしいです。
ふふ、ならば!ここは私が教えてあげましょう!
「お金って言うのはこれですよ」
そして私はコーメインで頂いたお金を一枚取り出してコクヨーちゃんに見せました。
そうです。これはコーメインに行く前に出会ったセナさんと同じ動きです。私もただ見聞きしている訳では無いのですよ。
「わあー!きらきらです!キラキラしてます!まるでキラキラ石みたいです!」
コクヨーちゃんは私の見せたお金を見て目を輝かせました。
ふふ、教えるのってやっぱり気持ちいいですね!
……ところでキラキラ石って何でしょうね?
「キラキラ石?キラキラ石って何ー?」
私が質問するより早く、クリスタ君が質問に入りました。
「おりなー知らないです?キラキラ石はこのー、お金みたいにキラキラしてるです」
「そーなんだ」
「そうです」
なるほど、つまりキラキラしてる石なんですね。ふむふむ。
どんな感じなんでしょうかね?むむ、考えると気になります。
「ちょっと三人とも。話
と、コロンさんからそんな言葉が。
そう言えばそういう話してたんじゃないんですよね。
私はコロンさんの言葉で我に返りました。
「で、高価って意味が分からないんでしょ?」
コロンさんがそう言います。
な、なんで分かったんでしょうかね?
「高価っていうのは、まあ、説明難しいけど。レシアとクリスタ。どっかで買い物とかした?」
コロンさんが急にそんな事を聞いてきました。
えーと、何でそんな事聞くんですかね?
「串焼き買いましたけど」
「それ何枚お金払った?」
「へ?」
高価とそれと何の関係があるんですかね?
でも、何かコロンさんに考えがあるんでしょうか?
とりあえず、私はコロンさんに支払った金額を教えます。
「なるほどー……、え?串焼き一つにそんなに払ったの!?」
「あ、いえ。四本買ったので」
「あ、ああ、そう。で、例えばその串焼き一つに使ったお金があるでしょ?」
「ありますね」
「で、その支払ったのがその物の価値で、高価っていうのは―――」
こうしてコロンさんが真面目に話してくれました。
その真剣さに真面目に聞いていた私。ですけど、少し眠くなってきました。
ですけど、話してくれているのに寝たら失礼ですよね。
そう思い頑張っていた私は気付いたらふかふかのベッドで眠っていました。
そんな私の腕の中にはクリスタ君とコクヨーちゃんがいて寝息を立てていました。全く二人とも私の腕の中に来るなんて甘えん坊さんですね。
そしてコロンさんは説明に疲れたんでしょうかね?床で寝ています。全く、ちゃんとベッドで寝ないと風邪引きますよ。
私はそんなコロンさんを見かねて、クリスタ君たちを起こさないようにゆっくりと腕を抜き、コロンさんをベッドへと運びました。
全く、世話が焼けますね。
そう思う私の瞳に朝日に照らされたカーテンが映り込みました。それによって部屋が淡く明るいです。
私はそんな風景に見惚れつつ、思いました。
凄く、光合成がしたいです。
ですけど、開けたらまだ寝ている皆さんに悪いです。悪いですけど、否!そうです。朝とは起きるものです!
私は少し皆さんを甘やかそうとしてしまった事を反省して、カーテンを思いっきり開けました。
朝に起きないで夜に起きるのは体に悪いってお母さんとお父さんが言ってましたし、その通りだと私も思いますから!
そうして朝日が部屋へ降り注ぎます。
あ~、気持ちいいです~。
私はそれによって朝一番の栄養を補給する事ができました。
良いですよね。早起きは良い事ですから!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます