第13話 スクロック遺跡 ‐脱出‐
突然出てきた煙に視界を遮られた私は一生懸命手でパタパタしてなんとか視界を取り戻しました。
ふう、いきなりブシューって出るんですもん。びっくりしますよ!
まだバクバクです!
って、それよりも何が起きたんでしょうかね?
私は煙が晴れた先を見ました。
そこには、武器を構え直した皆さんが映ります。そして、その更に先にはさっきまであそこに入ってた人が出ていました。
しかも全裸です。まあ、あの中で全裸だったので仕方ないでしょうけど。
その方は私達の方じゃない方を見てキョロキョロしている様子です。
「何者だ!」
突然のその声にびっくりです。見ればギルシュガルデさんがその人に対して言っていました。
当然その裸の人もびっくりです。
私の少し前にいたコロンさんもびっくりしています。
隣にいるクリスタ君は、よく平然としていられると思います。コクヨーちゃんなんてクリスタ君にガシッとつかまって震えてますよ。
むむぅ、私もクリスタ君につかまっておきたいです。なんというか抱いてると落ち着くんですよね。クリスタ君。
そう思っていたらその全裸の人が口を開きました。
何か言っているみたいですけど、何を言ってるのか分かりませんね。ですけど、私、ピピピンと来ましたよ!
この言葉、さっき聞いた声と同じだと思います!
という事はコロンさんなら分かりますよね。
そういう事なのでコロンさんに教えてもらいましょう。
「コロンさん、コロンさん」
「な、何?」
「あの人、なんて言ってるか分かりますか?」
私がそう言うとコロンさんは視線を裸の人に向けます。
「あー、えーっと。貴方は誰?って言ってる」
「そうなんですか」
なるほど。貴方は誰?ですか。
ふむふむ。そう言う事ならば!
「私はレシアです!」
私は裸の人に聞こえるように言います。今度は自己紹介が先手で打てたので良かったです。
「僕はクリスタだよ」
続いてクリスタ君も自己紹介です。良い感じで繋がりましたね。
そう思って裸の人を見たらなんだかポカンとしています。
それに気付いたんですけど、皆さんの視線が集まってしまって、なんだか少し恥ずかしいですね。
「二人とも。私達の使ってる言葉じゃないんだから伝わる訳ないでしょ」
と、コロンさんに言われちゃいました。
そこで気付きます。
「た、確かに!」
「確か君、コロンさんだったね」
と、そんな中。突然レオンさんがコロンさんに話しかけました。
そんなレオンさんにコロンさんは大慌てで言い返します。
「そ、そそそ、そうです!コロンです!」
「コロンさん、君は彼の言葉が分かるんだよね?」
「えーと、その。少しだけですけど」
コロンさんは少し自信無さ気に言います。
何言ってるんでしょうかね?
「少しだけじゃないですよ!コロンさん、さっき聞こえた声も分かってましたから!」
「うん!ころんさん凄いんだよ!」
私の言葉にクリスタ君も頷きます。そうですよ。コロンさんは凄いんです!
「いやいや二人とも何言ってるの!?」
「はは。二人とも大絶賛だね。それでそんな君に少し協力して欲しいんだけど良いかな?」
と、レオンさんが笑顔でコロンさんに言います。
対してコロンさんは顔を赤くしながら、小さく頷きました。どうやらコロンさん協力するみたいですね。
で、何を協力するんでしょうかね?でも、協力が必要な事なら大人数の方が良いですよね。よし!それなら
「私も協力しますよ!」
「僕も!」
「おりなーがいくなら私もお供しますです!」
私もお手伝いに参加要望です。それに続いてクリスタ君も続きました。そしてなんとコクヨーちゃんも手を上げます。
よーし、それじゃあ皆さんで!
「……三人とも、今はジッとしてて」
そう思ってマイティアちゃんも、と視線を向けたらマイティアちゃんにそう言われてしまいました。
「何でですか!?」
「……今は彼女が適役だから」
それはそうでしょうけど、でも私も何か出来るかもしれないですし。
「まあ、レシア。彼女の言うとおりだ。今はお前の仲間を信じて見守るんだ」
そう思っていたらディアナさんにそう言われてしまいました。
その間にコロンさんはレオンさんに連れられて行ってしまいます。
「コロンさんは信じてますよ。ですけど、私も何かしたいんですよ」
「そう。ならジッとここで見守ってて。じゃないと話が進まないから」
そう言ったら今度はルーファンさんに言われました!
しかもなんか少し邪険にされているような……?
「こらこら、お前達もここにいなさい」
そんな声が聞こえてきたので見ればギルシュガルデさんがクリスタ君とコクヨーちゃんに待ったをかけていました。
あの二人いつの間にあそこまで行ってたんですか!?
私、気付きませんでした。
「ほら、戻った戻ッ……!?」
そう言って二人に手を回して持ち上げようとしたギルシュガルデさんでしたけど、なんか全然持ててませんね。
どうしたんでしょうか?
そう思って見ていたらギルシュガルデさんはゆっくりとプルプルしながら二人を担ぎ上げて私のところまで来ました。な、なんか凄い形相ですし、汗も出ていてなんか大丈夫なんでしょうかね?
「ヌハァ……。と、とりあえずここで待っているんだ」
ギルシュガルデさんは二人を降ろすと汗を拭い言いました。
なんかもの凄く疲れている様子です。
「あ、あの。なんでダメなんです?おりなーですよ?」
そんなギルシュガルデさんにコクヨーちゃんが言いました。
「オリナー?それが何かは知らんが、決まっているだろう。何が起こるか分からないんだ。子供は安全な場所にいるのが一番だ」
「僕子供じゃないよ!」
「私も子供じゃないです!」
ギルシュガルデさんの言葉に二人は言います。
どう見ても子供なんですけど。あ、でも私も小さかった時に子ども扱いは嫌でしたね。
そういう気分なんでしょう。ふふ、そう考えると微笑ましいですね。
「それより、他の面々は遺跡から出て行った方が良いと思う。ここは私達が残るから」
と、ルーファンさんがそんな事を言いました。
って、
「何でですか!?」
「貴女、今、自分の立場分かってる?一応、ここに閉じ込められた人なの?救助に向かう為に地上で待たせてる人達に閉じ込められた人の安全を知らせないといけないでしょ?」
抗議しようとしたらそう言われてしまいました。
むむう。ですけど、確かにクリスタ君とコクヨーちゃんとマイティアちゃんは早くここから出してあげた方が良いですよね。
うむむ、残っていたいですけど、むー、仕方ないですね。
「分かりました」
私は素直に従うという意味でそう言い、ルーファンさんの指示で動いた調査隊の人達に従ってクリスタ君とコクヨーちゃんとマイティアちゃんと共に遺跡を後にしました。
その時、いろんな人がいろんな事してましたね。
合成獣さんを触ってる人もいましたし。
あ、それとコロンさんは後で勇者さん達が宿まで送ってくれるという事でしたので、私達は宿へと戻ります。
「……あの」
と、その帰り道でマイティアちゃんが話しかけてきました。
どうしたんでしょうかね?
「どうかしました?」
「……えっと、その。さっきはあんな事言っちゃったけど、今日のお祭り一緒に行っても、良い?」
マイティアちゃんからのそんな言葉。
それを受けてクリスタ君の方を見ました。遅れてクリスタ君も私の方を見ます。
そしてまたマイティアちゃんに視線を戻しました。
「……ダメ?」
マイティアちゃんは少し寂しそうに言います。
ダメと言うより……。
「そんな事ありませんよ!一緒に行きましょう!ね、クリスタ君!」
「うん!まいてぃあさんも一緒!やったー!」
こうして彼女とお祭りに行く約束をした私は嬉しくてクリスタ君を高い高いしながらくるくる回ります。
と、そうしているとコクヨーちゃんが口を開きました。
「あのー、私も、お祭りに一緒しても良いです?」
なんと彼女からもそんな言葉が!
嬉しいですね!
「うん!」
「勿論ですよ!」
こうして私達の夜のお祭りは大人数で行く事に決まりました!
んふふ~、凄く楽しみです。ああ、早く夜になりませんかね。
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