幕間小話
「行ってしまいましたか」
私、オーラは見えなくなった馬車を見てそう呟いていました。
様々な方と対談をしましたけれど、あの方々は今までの方々とは違う雰囲気の方で、ふふ、久しぶりに少し寂しいですわね。
そんな事を思ってボーっと眺めていましたらメイド長より「お体が冷えますから」と屋敷の中に戻されてしまいました。
それで実感できるのはあの方達が去った屋敷の中が少し静かになっている事ですね。
なんというか物足りないといった感じでしょうか。
たった二日間いただけでしたのに。
それは他のメイド達も思っているようで少し残念な様子も見えます。
そんな時、執事の一人が私の元へとやって来ました。
多分、今日の仕事についての事でしょう。
「オーラ様、本日のご予定は」
その感は当たったようですね。
ふふ、と言いましてもそれしかありませんから。
「本日は自室にて休憩なさってくださいませ」
「え?」
私が耳を疑い聞き返すよりも先に執事は行ってしまいました。
……何でしょうか?
普段通りであれば、来客の対応で溜まっている書類があってもおかしくはありませんし、ゴーレム襲来に関する書類等もあると思ったのですが。
いいえ、それよりも折角ゆっくり出来る様ですからお言葉に甘えさせていただきましょう。
私はそう思う事にして、自分の部屋へと向かいました。
その時、チラリと見えた部屋。
それはあの方々と食事をしたお部屋です。なんだか今行けばまだ中で楽しく食事をしているような気がします。けれど、それは完全に気のせいですわ。
私はそこを通り過ぎ、自分の部屋の前へとやって着ました。
さて、一昨日読みました物語の続きでも読みましょうか。
そう思いドアを開いた私の視界に、輝く物が目に付きました。
それは紛れも無い魔宝石。それも強大な魔力量の物が複数個置いてありました。
これは、一体……?
そう思い近付くと、折りたたまれた紙が一枚置いてありました。
それを手に取り広げてみます。
『オーラ様へ。優しく親切にしていただきありがとうございました。この魔宝石は私達からのお礼です。美味しいものいっぱいありがとうございました。またどこかで会えたらよろしくお願いします。 レシア、クリスタ、怪盗さんより』
「ふふ、ノクターンホロウさんですよ。レシアさん」
私は手紙を読みつつ呟いてしまいました。
――彼女達の旅路に幸あらんことを。
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