第7話

第7話



  『まとめ』


 これまでご紹介したことで、すでにあなたは薄々感じておられるだろう。


 ある春の日、カタカナの「イ」の字が泥沼から出現しているところを目撃したなら、今後あなたは、夏の日が終わるまでせっせとその泥沼に足を運ぶことになるかもしれない。秋が終わり、冬が始まってもあなたは八百屋でハスと対峙するのだ。もう、生涯ハスのお世話になるのだ。ハスに魅かれる人にはいとまがないのだ。

 現に、本格的なカメラ機材を用意して通い詰めになっている方がおられた。私も、春夏の間は他の道には目もくれず、早朝、ハスの田んぼの脇を自分のランニングコースとしてデジカメを持って、毎日のように通いつめたのである。お互いに同じことを考えていたかもしれない、あっ!(撮り鉄ならぬ)「撮りハス※《補足説明⑤》」だと(笑)。


 

≪補足説明⑤≫

 ここに登場する二人の「撮りハス」が写していたハスは埼玉の蓮田にある「ハス田」のハスである。蓮田は古くから、ハスの栽培に適していた場所であり、名前の由来となった話が残っている。うろ覚えだが確か…

 ある高僧が旅の途中、一夜の宿を求めた。旅の疲れもあってかすぐに眠ってしまった。一夜あけてみるとどうだろう、それはそれは美しいハスであたり一面埋まっていたのだ。高僧は思わず一首歌を詠った。以来「蓮田」と呼ばれるようになった、というものだ。

 高僧が宿を借りた寺の址には、現在小さな記念塔が建っている。

 ハス仲間の「撮りハス」さんも私も、その記念塔から約1キロ西にあるハスの田んぼのハスを撮り続けていたのだ。(付近には「撮り鉄」さんも多くいる~ハスの田東側踏切は鉄道ファン絶好のポイントなのだ)

想像して、私も一首謡ってみます。

 ありがたき 一夜の宿飯

 起き抜けに

 見れば蓮の田 蓮ハス蓮よ

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