第4話 仮装の力、お借りします。


ー渋谷スクランブル交差点ー



今日はハロウィン…みんながみんな仮装という名のコスプレをしている。そして私も、



例にもれず「それ」をしている。



こんだけの人がいて「異次元人の魔女」とかに夢を吸われたりしないかなぁ…あ、あれは子供だけか。

「光の力お借りしても良いかな…?」

ここずーと交差点辺りをうろうろしているものの、一向に声をかけてもらってない…ちょっとしたモデル気分なのかもしれないけど、本気の「クレナイ・ガイ」のコスプレしてまで渋谷に来てるんだから、誰か写真撮影でもしてくれればいいのに…もしかしてみんな「ウルトラマンオーブ」のガイさんを知らないのかな?あっちは元々男の人だし…というかガイさんの衣装、意外と着やすい…

「故郷の歌…吹いてみようかな…」

オーブリングやらカードやら色々入っているバッグからクロマチックハーモニカを取り出す。大丈夫、この日のために家でガイさんの「故郷の歌」を練習してきたんだから!

ピィィィィ……

目を閉じ、準々に歌を吹いていく…ガイさんのように上手くはないけど、それなりに出来ている自信はある。そして、その演奏を聞いて足を止める人がかなりいたことに私は気がつかなかった。演奏が終わり、私が目を開けると恐らく20人くらいはいるであろうかなりの人だかりが出来ていた。

「ねぇ君、今の曲って何?」

若い男の人が私に尋ねた。

「故郷の歌です。ウルトラマンオーブのクレナイ・ガイさんが吹いている…」

「あぁ~どこかで見た格好してるなーって思ったらウルトラマンだったのか!ねぇねぇ、写真撮ってもいい?」

「はい!良いですよ!」

やっとだ…ようやく写真のお願いが来た!!しかも男の人に続いて「私も!」などの声が聞こえる。これは期待に応えなければ!

「光の力、お借りします!」

『フュージョンアップ!ウルトラマンオーブ!スペシウムゼペリオン!』

オーブリングを起動するポーズ、変身する際のオーブリングを掲げるポーズ…劇中さながらのガイさんの動きをほとんどしたような気がする…そしてしばらく時は経ち、

「さっきのハーモニカの演奏、もう一回やってくれないかな?」

まさかのアンコール。これもまた1つの幸せってやつなのかな…

「はい!喜んでやります!」

そう言い、もう一度「故郷の歌」を演奏した…


ー数分後ー


演奏の終わると同時に拍手喝采が起きた。嬉しい…いつの間にか凄い笑顔だった。私の顔。

「君は来年もここに来るのかい?」

そう質問された時、私はこう答えた。

「どうせ地球は丸いんです。またそのうちどこかで会えますよ!」と。

続く。



次回予告

雄子がゲーセンに!?

「そう…ガンバライジング。」

狭い確率の壁を打ち破れ!

「最高レアの確率低い!低すぎる!」

次回「確率のライダーバトル」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る