第3話 変・身・祭
「はいじゃあ、文化祭の出し物はヒーローショーでいい?」
「賛成!うちのクラスには雄子ちゃんがいるからね!」
文化祭…それは、イマドキの女子が青春だの恋だので大騒ぎする1日…!!(※あくまで雄子自身の意見です)前回も言ったが、私は青春のスイッチなどオフなのだ!そんな中、私はヒーローショーの主役兼振り付け係に抜擢されてしまった。別に人前でやることはさほど嫌いではないが…
ー文化祭準備期間ー
「ヒーローらしくやるってどういうことだ?」(村田大夢)
「僕、動き出来るかな…」(皆藤清二)
まさかの他に変身する人は男子二人。私が主役兼振り付け係をやるとなってはこの二人にも振り付けを教えなければならない…一応作られた台本には全て目を通している。変身する小道具も全て私の私物…壊さないかだけ心配だ……
「とりあえず練習するね。じゃあまずは最初の変身シーン、皆藤くんはゴーストアイコンを右手で持って左手を平手にして横のスイッチを押す…」
カチッ。
「こうかな?」
「うんうん出来てる!バッチリだよ!」
皆藤くん、意外と劇中再現高い…もしかしてゴースト見てたのかな?っていうくらい。
「そんで…俺はどうすればいい?」
「村田くんは確か何の役だっけ…?」
「俺は台本見る限り、怪盗でヒーローのレッドに変身する男って書いてある。」
まさかのここでルパンレッド。何で皆藤くん(仮面ライダーゴースト)と私(仮面ライダージオウ)なのに一人だけスーパー戦隊のレッド…まぁヒーローショーだからいっか。
「そうだな…村田くんは銃の後方の取っ手を掴みながら赤い戦闘機の付いてる方を上側に回す。それで引き金を引くと…」
「こうか?」
ガシャ!
まだ若干動きが難しいが、一連の動作は出来ている。このままいけば順調にいけば文化祭も問題なくいけそうだ。
ー文化祭2日前ー
「よし!今日は衣装係が作ってくれたヒーローの衣装を着てやるよー!」
「ず、随分と今のやつって派手なんだな…」
「僕のスッゴいオレンジと黒…」
衣装に疑問を持つ二人だが、今更ながら退くわけにはいかないと意を決している顔だ。これは最高の配役を決めたな文化祭実行委員…
ー数分後ー
「「「変身!!」」」
まずは生身。台本だとそこから舞台が暗転してその間に私達が衣装を着ると。暗転してる間は怪人役の生徒が尺稼ぎをしてくれるという「それ大丈夫なの?」と言わんばかりの方法だが…
「じゃあ次は変身後の動きね。」
ー数分後ー
「私は人々の笑顔が好きだから…それを脅かすあなたと戦う!」
「勘違いするなよ。協力するのはここだけだ。俺はあいつの持ってるお宝が欲しいだけさ。」
「僕も…みんなの笑顔を取り戻せるなら…この命、燃やして戦う!」
中々良い感じ!凄く良い!みんな独自のキャラが出てきてカッコよくなってる!これは本番が楽しみ!
「今の良かったか?」
「うん!凄く良かったよ!」
「後の本番、楽しみだね!」
ー文化祭当日ー
「客の状況は?」
「最初の講演は満席だね。でも二回目の講演もすでに何人か来てるよ!」
こんだけの客がいるならば尚更燃える…!というか私、結局文化祭に熱中しちゃってるな…
「じゃ、最初の講演始めます!」
「時は現代…数々の英雄が繋いできた正義の町に突如、襲撃者が現れる。その襲撃者とは一体何者なのか?そして、その悪に立ち向かう三人の若者の英雄がいた…」
ここで私の出番。二人は後に待機している。
「ガハハハ!!破壊だぁ!!俺はこの町を破壊しつくしてやるんだ!!」
「そこの者、止まれ!」
「き、貴様……最近出没してるという例の英雄…仮面ライダーか!?」
敵の方も中々に美味い演技をしてくれる。この演技が引き立ててくれるんだ。
「そうよ。私はこの町の笑顔のために戦う仮面ライダー!今から、あなたの駆除を開始する!」
『ライダータイム!カメ~ンライダ~♪ジオウ!』
「なに!くそっ…目が…」
その間に用意した衣装に着替えてジオウのマスクを被る。そしてここから戦闘シーンに入る…
「まさか本当に仮面ライダーだったとはな…」
「よそ見してる暇はないわよ?」
バッ!
台本通りの避け方をし、敵役の腹に当たらない程度の拳を入れ、裏で音楽係がラジカセを大音量にしたSEを鳴らす。
ズドォン!!
「この力…想定外だ…ならば俺も本気を出そうではないか!!」
ゴゴゴゴ……
「なに!?今までのは手を抜いていたというの!?」
「ハァ!!」
「ぐっ!…」
ここで皆藤くんの出番!私のピンチに駆けつけてくれるライダーとして登場だ!
「うぉぉぉぉ!!」
ドゴォン!
「あなたは…?」
「僕はゴースト。君と同じ仮面ライダーさ!」
ナイス!自己紹介の部分も完璧!さぁ、残すは村田くん…頑張って!
ー数分後ー
「仮面ライダー?違うね。俺もヒーローかもしれんが、本業は怪盗だ。」
村田くんも完璧!役になりきってる!さぁいよいよクライマックス!最後まで頑張るぞー!
「怪盗に英雄か…ふん、三人が相手になろうがこの俺には敵わん!!」
「私は人々の笑顔が好きだから…だからそれを脅かすあなたと戦う!!」
「勘違いするなよ。協力するのはここだけだ。俺はあいつの持ってるお宝が欲しいだけさ。」
「僕も…みんなの笑顔を取り戻せるなら…この命、燃やして戦う!!」
「「「変身!!」」」
最高だ…!!もう最高すぎる…!!息ピッタリだし、これは誰も文句は言えない!!
ー講演終了ー
「みんな!今日の講演お疲れさま!」
「ここまで完璧にいけたのは英前のおかげだぜ。」
「僕も、英前さんがいなかったらきっと良い演技なんて出来なかったよ!ありがとう!」
何故か涙がこぼれる…ここまで感謝されたのは初めてだから、なんだか…
「おいおい…泣くなよ。」
「だって…私達、今日だけ本当のヒーローになれた…みんなの笑顔が見れて…二人にも凄い感謝されて…」
「英前さんはクラスのヒーローですよ。これからも頑張っていきましょう!」
「二人ともぉ……ありがどう!」
涙をこぼしながら不器用なお礼を言った。今日は私達にとって1日だけヒーローになれた日だった。
続く。
次回予告
ハロウィンの渋谷で特撮コスプレ!?
「ガイさんの衣装って意外と着やすい…」
まさかの大量写真撮影!?
「(こんな撮影されたの初めて…)」
次回「仮装の力、お借りします。」
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