ありきたりなハッピーEND
「プリンセス」
「ちょっと薄汚いんで近づかないでください。魚臭い」
「....」
「じゃぱりまん?プリンセスのは無いよ。ゴミ箱でも漁ればあるんじゃないかな」
「自業自得って言うんですよ。プリンセスさん」
「……。」
プライドも、全てズタボロにされた私は、ラッキービーストから貰うカプセルが無ければ、生きていけなくなった。
毎日が、つらい。
そろそろ、大木に縄を掛けてもいい頃かな...
そう考え、私は縄を持って飛び出した。
大木を前に私は考えた。
ステージに立ったPPPの思い出。
歓喜の声をあげる観客達。
……あの頃は楽しかったな。
そう思った。
本当に楽しかった。
でも廃れてしまった。
……もう1度だけ
「私がいないとダメね もう!だらしないわね」
私のソロ曲の歌詞が次々出てくる。
それはメロディに乗って。
みずべちほーに響いた。
「ひどいこと言って 困らせたときも」
この歌詞は……耳の良いペンギン達の耳に入った。
「……ひどいこと言って困らせた、だと?」
「これはプリンセスさんのソロ曲……?」
「ありがとう ごめんね」
「……何だよこの歌詞、ふざけやがって……。」
「でも……謝ってるの……?」
「これはプリンセスさんの個性ですね……」
「プリンセスの個性……」
その歌はペンギンと猫を動かした。
「……。歌っても意味ないわね。ええ、最期の自分への子守唄ね……」
「プリンセス!」
「……みんな?何で来たのよ?私の最期を邪魔しないで……」
私は駆けつけてきた他のメンバーとマーゲイを睨みつけた。イワビーのように。
「……すまなかった!いや、すみません。いや、すみませんでした……」
「……何よ」
「私達……プリンセスさんの個性を理解出来てませんでした……」
「悪気はなかったのに勝手に勘違いして……」
「本当にすみませんでした……!」
「……何よ何よ、みんな私を許してくれないのよね……?」
「バカ、許すに決まってんだろ!だって……お前は確かにひどい……でもいつかは俺達を許して、受け入れてくれる、そう信じれば……お前とやっていけるよ……」
「イワビー……」
……これで私もまたPPPの仲間入りってこと……?
「思えば理不尽だったな……あの八つ当たりはプリンセスの鬱だった。そう気付いてやれなくて、イワビーの鬱には気付いて気遣った。」
「コウテイさんの言う通りです……でも私達はもう変わりました……お願いです、またPPPに入って下さい……」
「プリンセスさんの歌声大好きです……!個性溢れるプリンセスさんにいつもメロメロです……またステージに立って下さい……」
「みんな……」
……私はPPPに再び入ることに……成功した。
厳しい発言はちょっぴりにした。
みんなもすんなり聞き入れてくれる。
そうよ……わたしたちのストーリーは、ここからだったのよ!
ありきたりなハッピーEND
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