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二人は並んで階段を下り、講義棟を出る。道行く学生たちの悉くが彼らの方を見た。
彼らの容姿は確かに目を引いた。キヨトは少々明るすぎる髪色の上、眼光こそ鋭いがかなりの男前であり、緑色のアロハシャツを見事に着こなしている。一方のハルイチもクラウドマッシュの黒髪に色付きの眼鏡をかけているためにあまり主張はしないものの、垂れ目がちながら端正な顔立ちだ。白いボートネックのロングシャツは、陽光によく映えている。同性でも、ちょっと視線で追いかけてしまうほど、青年たちは綺麗だった。
対照的なのは両者に対する周囲の反応だ。ハルイチに対しては男女問わず気安く声をかけ、ハルイチ自身も手を上げて応ずるが、隣に立つキヨトを見て大方の人間がぎょっとする。彼も別段挨拶するわけでもない。ハルイチはそんな連れの姿に思わず苦笑いする。素性を知らない者たちでも、どうやらかなり特異な組み合わせらしいぞ、と察するに余りある。
「あっちい」
しばらく無言で歩いていたが、キヨトが先に口火を切った。ハルイチが返事をする。
「これでも午前中より大分良いらしいよ。風出てきたし」
「ほお」
会話は再び途切れてしまう。お互いまだ、適切な距離を探りあぐねているらしかった。
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