第4話 激昂

世の中にはスクールカーストと呼ばれるものがある。

それは何か。

簡単に言えば、リア充とボッチの比率。

つまり、ボッチの俺と不良の三宝の関係である。

まるで王国の僕と王の様な極端な上下の関係の事を、スクールカーストという。

ある日、俺はスクールカースト上位の三宝に好かれた。

その理由としては、命懸けで救ったから。

だが俺は三宝に付き合えないと断りを入れた。

何故なら、俺は。

発達障害を持っていて、人に好かれて良い理由にならないから。

面倒を掛けてしまうのでは無いかと恐れているから。

そんなボッチ、冴島のクラスに。


「えへ、えへへ。よ、宜しくな。冴島」


「あ、ああ」


三宝が転校してやって来た。

俺は嬉しそうに横の席になった、三宝に赤面しながら。

真正面を見る。

冗談抜きで三宝は化け物級に可愛い。

.....茶色の髪の毛と、鋭い眼光さえ無ければ。

俺はため息を吐きながら、恥ずかしさに目を逸らして居ると。

三宝が話し掛けてきた。


「そ、その。冴島。私、教科書がまだ来てないんだ。だから貸してくれ」


「わ、分かった。貸すよ.....」


周りの奴らはザマァとか思っているが。

凄まじい圧力でねじ伏せている、三宝の為。

尻尾巻いて逃げていた。

三宝はそれを確認すると。

俺に対して、和かに話し掛けてきた。

まるで、スイーツを見た女の子の様な目で。


「.....えっと、その、きょ、今日も弁当作ったんだ.....その、食べてくれ。あ、あと.....発達障害について.....勉強してきた.....んだけど。辛いんだな.....その、な、何も分からなくて.....バカな私を許してくれ.....」


申し訳無さそうに話し声がゴニョゴニョになっていく。

俺はそんな三宝に慌てて話した。


「だ、大丈夫だって。そんなに気を落とさないでくれ」


「.....でも.....な.....私.....知らなかった。冴島の痛みを.....」


弁当を出しながら、俺を申し訳無さそうな潤んだ目で見てくる。

俺はそんな三宝に嬉しく思いながらも。

申し訳ない気分になった。

本当に三宝は必死に勉強してくれたんだな。

と、思って。


「.....冴島。今はな、何がキツイ?私で良かったら絶対に力になって.....じゃ無くて、なるから。教えてくれ」


「.....えっと.....」


そんな感じで赤面で居ると、リア充がやって来た。

ヘラヘラして少しばかりいじめっ子の不良だ。

俺はその人物に直ぐに沈黙した。

それを見た、三宝は。

直ぐに何かを察した様だった。


「えっと、三宝ちゃん。そんな奴ほっといてさぁ。俺達と一緒に遊ばないか?俺、これでも女の子のテク上手いんだぜ」


「.....黙れテメェ。殺すぞ」


三宝はガラッと雰囲気を変えて。

そのリア充を制圧する様に。

眉を寄せて威圧した。

恐れては居たが、リア充はゆっくりとため息を吐く。

そしてヘラヘラしながら、話す。


「.....うん、まぁ、その良いや。あ、でもさ、そいつに構う理由が分からないんだけど。殺すとかの次元は置いておいて。訳が分からないかな」


「.....あ?テメェよりかは遥かにマシだよ」


側で光景を見ていた、俺は。

三宝の目付きに青ざめ、ゾッとした。

明らかに殺すモードに入っていて、目からハイライトが消えた。

俺は必死に止める。

そんな三宝は殴り掛かろうとしていた。


「み、三宝!駄目だ。停学になりたいのか!?」


「.....だ、だけどよ、冴島.....」


このクラスで俺は最も恐れている事がある。

それは、三宝まで孤立する事だ。

だからこそ俺は必死に。

三宝を止める。

しかし、リア充は次々に爆弾の様な発言をした。


「って言うか、不良といじめられっ子が仲良くって阿呆らしい」


「.....!」


気が付くと。

俺は三宝の前に立って居た。

それは簡単に言えば。

三宝を孤立させない為の思いだった。

それ以外にも殴り飛ばさない様にする為に。

三宝の前に出た。

本当に足が竦んでいる。

だが、殴らせるなら俺が前に出る方がまだマシだ。


「三宝は.....俺を助けてくれた。だから仲良くしているんだ。とやかく言わないでくれ」


「.....さ、冴島.....」


驚愕する、三宝。

すると、リア充は眉を顰めた。

そして威圧してくる。


「は?お前何様?ボッチカスが。今は三宝ちゃんと話してるんですが」


「これ以上三宝を刺激したら君、殴られるよ」


「いや話聞いてる?」


何でリア充ってみんなこんなのなのかね。

話を聞かない、優先しようとする。

しかし、どうしたものだろうか。

この後の事だ。


キーンコーンカーンコーン


「席に着けー。って何やってんだお前ら?」


リア充はチャイムの音に。

ハッと声を出して。

去って行った。

吐き捨てる様にして、だ。


「良かったな。命拾いして」


その言葉に、激昂の態度を見せた。

三宝は本気で怒っている。

だが、最悪の事態を防げたな。

俺はその様に思いつつも。

強迫観念に襲われた。


だが、この日を界に問題が発生。

その問題とは、簡単に言えば。


俺を邪魔者扱いする勢力が激しくなった事だ。

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