第3章 俺と千咲の結びつき

第8話 俺の危惧と千咲の決意

§20

 晩ご飯の野菜と刺身を買った後。

 帰る途中に千咲の好きなパン屋に寄る。

 お互い3個ずつパンを選んで購入。

 なお食べる時はお互いどっちが選んだかを気にせず食べる。

 だいたい全部のパンを一緒に分けて食べるのが普通だ。


 今まで兄妹だからと全然気にしなかった。

 でも結婚出来る間柄と判明すると少しは気にしてしまう。

 普通に千咲がかじった後をそのまま食べたりしている。

 でもこれって間接キスなんてものじゃないよなきっと。

 まだパンを買っただけなのにそこまで気にしてしまう。


 思うに他の行動ひとつひとつも同じ。

 家に帰って他に誰もいないと下着でうろうろするとか。

 風呂に突然押しかけてくるとか。 

 妹だったから気にしないで済んだ、もしくは気にしないようにしていた事。

 その辺が色々と問題になってくる訳だ。


 千咲は可愛い。

 素直で、そう見えるかどうかは別として努力家で、結構気が利いて……。

 千咲が魅力的なのを俺は良く知っている。。

 誰よりも知っている自信がある。

 そう言ってしまうと確かにシスコンだなと自分でも思う。


 でもだからこそ妹だという歯止め無くなってしまった今、色々危険な訳だ。

 とりあえず親から状況を聞くまでは判明した事を封印。

 今まで通りの態度でやっていこうと思うのだけれども。


 家に到着。


「じゃあ2階のお布団、干しているね」

「冷蔵庫にこれ入れたらすぐ手伝う」

 千咲はいつも通りに見える。

 あの結果を意識しているのは俺だけのような感じだ。

 何だかなと思いつつも冷蔵庫に買ってきた刺身等を突っ込み、パンと書類袋はテーブルの上に置いて2階へ。

 身長が小さい千咲が大きい布団相手に奮闘していた。


「やりにくい方は俺がやるよ」

「なら掛け布団の方お願い。大きい分持ちにくい」

「はいはい」


 ベランダの手すりは千咲が干している敷き布団用にして、俺は物干し竿を使って掛け布団中心に干していく。

 2人でやると布団10枚もあっさり片付いた。


「サンキュー、掛布団は大きいから助かった。私だと物干し竿に干すのも大変だし」

「その辺はお互い様だろ」


 確かに布団、今日干しておけば片付けまで一気に済むし楽だよな。

 こういう所は千咲の方が気づくのだ。


「じゃ下でお茶飲もうか。まだお昼には早いし」

「そうだな」


 1階のリビングへ。

 ソファーの所で待っていると、キッチンから紅茶の香りがした。

 母と千咲は紅茶派だ。

 父はコーヒー派で、俺は特に好みは無いのだけれど。


 そうだ、父母に送るメールの文を考えよう。

 そう思って俺は自分の部屋からパソコンを取ってくる。

 応接セットのテーブルにパソコンを置いてコンセントをさす。

 電源を入れたところで千咲が紅茶を入れたカップを持って現れた。


「どうしたの、何か調べ物?」

「いや、今回の件を父や母にメールで聞く文章を作成しようかと」


「別に急ぐことも無いんじゃないかな。実際何か変わるって訳じゃ無いし」

「確かにそうだけどさ」


 そう、その通りなのだ。

 確かに急ぐ必要は全く無い。

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