第2章 俺と千咲の続柄は
第6話 メンデルの法則
§15
皆風呂に入って着替えて2階へ。
今日は千咲もちゃんとパジャマを着ている。
いつもそうしてくれたら大変に有り難いのだけれども。
ただクラスメイトの女子2人もパジャマ姿でいるのが微妙に落ち着かない。
まあ俺が意識しすぎなのかもしれないけれど。
カードゲームを2回やった後は、電気を常夜灯状態にしておしゃべりタイム。
布団は広さを活用して頭が真ん中に集まるよう円形に敷いている。
俺の右側が千咲で、左側が八家さんだ。
両側が同学年の女子というのはどうも落ち着かない。。
べつに隣になったからと言ってどうという事はないのだけれど。
「そう言えば明石、例のカードもどきコレクション、価値ありそうな物あったか」
何の気なしに聞いてみる。
「残念だが無さそうだった。強いて言えばそっちのお爺さん夫妻、どっちも血液型がAB型だったのが珍しい位でさ」
「お爺ちゃんとおばあちゃんの血液型は知らなかったな」
「献血手帳があったぞ、2人とも」
「珍しいですね。AB型は日本の人口の10パーセント以下ですから、素直に考えれば100組に1組以下の割合です」
八家さんがそんな感想を言う。
ふと、俺はある事に気づいた。
ABとABだと!
「明石、その献血手帳、もう仕舞ったか?」
「まだここにファイルごとあるが、どうかしたか」
「ちょっと見せてくれ」
まずは確認しないと。
「おいよ。でも何かあったのか」
「いや、多分気のせいだ」
そう言っておくけれど、きっと俺の気のせいだけじゃ無い。
中3の時に生物で学んだメンデルの法則。
それが頭の中に引っかかっている。
ファイルを開く。
献血手帳は最初のページに挟んであった。
名前がそれぞれ祖父と祖母のものであるのを確認して、それぞれ血液型欄を見る。
確かにABとABだった。
とすると、間違いない。
「千早、どうかしたの?」
横の布団から千咲が俺を見る。
「いや、何でも無い」
「何でも無くはないかな、今の感じでは」
的形さんが攻める。
「いや、他にも要因があるかもしれないから」
「血液型で何か問題があったのか、親子関係とか」
明石が核心をついてきた、
「言え!言わないと全員で網干をくすぐるぞ」
「それは楽しそうですね」
八家さん、コメントの方向が違う!
どうしようか。
ちょっと考えると。
「よし、なら全員でくすぐる準備!」
的形さんがそう言って布団から出た、
おいおい。
ちょっと待て。
しかも八家さんも明石も千咲まで動き出すんじゃ無い!
「わかった。でも結論はすぐに出ない疑問だぞ」
「わかりましたわ」
八家さんが何故か代表してそう回答。
とりあえず全員動きが止まる。
「じゃあ言うぞ。いや、質問形式の方がいいか。
千咲、確かお前の血液型、O型だったよな」
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