§14

「喰ったー。動けん」

 的形さんが倒れている。


「的形さん、はしたないですわ」

 そういう八家さんも動けない模様。

 何せ肉1.5キロ、御飯7合。

 それに野菜各種大皿盛り分、サンチュ1玉、ポテトサラダ1キロ。

 まさか全部クリアするとは俺も思っていなかった。


「片付けは簡単だからこっちでやるよ。焦げ付きとかも無いし」

 取り敢えずさっさと片付けよう。

 千咲がホットプレートを拭いている間に俺は皿類をさっさと下げる。

 面倒なので軽くゆすいで即食洗機に投入。

 ちなみにこの食洗機、作り付けでついているけれど使うのは年数回あるかないか。

 普段は俺と父だけだから食洗機を使わない方が早いのだ。


「千早、このホットプレートは?」

「そこの箱に入れて置いておいて、後で仕舞うから」

「あとこたつ板は拭いておいたよ」

「サンクス」


 なら後は排水溝の網を外してゴミを取って完了だ。

 千咲がビニール袋を広げてくれたのでその中に排水溝の網を入れる。

「よし、完了」


「何か見ているとやっぱりお前ら2人、息が合っているな」

 今の様子を見ていた明石にそう言われる。


「兄妹だしさ」

「恋人だしね」

 違う台詞でハモった。


「いや恋人は無しだろ、兄妹なんだからさ」

 慌てて訂正させる。


「いいじゃない別にそれくらい」

「よくない」


「もう諦めたらどうだ、網干」

 諦めるのは俺の方かよ。

 まあいい。

 明石の台詞は無視だ。


「ところでどうする。何か食べ過ぎでゲームをするって状況じゃないけれどさ。寝るなら一応1人1部屋用意してあるけれど」

 何せこの家は無用に部屋数が多い。


「どうせなら皆で話をしながら寝ようよ。5人分位布団敷けるでしょ」

「その方が楽しそうですね」

 女子2人がそんな事を言う。

 おいおい、男女同室かよ。

 いいのか高校生がそんな感じで。


「姫路さんと網干が同衾するというなら遠慮するぞ」

 明石がとんでもない事を言う。


「兄妹でそんな事する訳無いだろ」

「なら問題無いな」


 それとこれとは違うだろと言いたいのだが、どうもお客様3名同意見の模様だ。

 なら仕方ないか。


「2階のさっきの部屋、隣との襖を開ければ合計16畳になる。布団は取り敢えず用意しておくからちょっと待っててくれ」


「なら先に順番でお風呂入ろうか」

 おいおいおい、千咲まずいだろそれ。

 男子高校生もいるんだぞ。


「そうだね。何なら3人一緒に入る?」

「流石にそれは狭いかな」

「なら順番ね」


 いいのかそれで。

 色々気にしているのは俺だけか?


「なら風呂は順番として、残りで2階の用意をしておこう。それにカードゲーム位なら寝っ転がっても出来るだろうし」

「なら先に風呂を沸かして入っているよ」


 そんな訳で俺は千咲以外を引き連れて2階へ。

 さっきの部屋の一つ手前に入って、間仕切りのロックを外して襖を外す。


「こういうところ、昔ながらの家は便利だよな。幾らでも広く使える」

「布団は出してあるのを使ってくれ」


 こっちの部屋の布団は使える事を千咲が確認済み。

 見てみると敷き布団と掛け布団が5枚ずつ用意されていた。

 さては千咲も最初から皆で一緒に寝るつもりだったな。

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