第5話 お泊まり会実施中
§12
リビングから続く和室に落ち着く。
「おうおう、ちゃんとこたつも用意してあるな」
「久しぶりに出したけどさ。麻雀でもやる気か?」
もちろんこたつと言っても布団装備の冬仕様ではない。
単なる座卓状態だ。
「いや、こたつのサイズと高さがゲームにちょうどいいからさ」
そう言って明石が例の大荷物を広げる。
人生ゲーム、モノポリー、カタン等々色々出てきた。
「最初は誰もがわかるこれがいいかな、ベタだけど」
そう言って人生ゲームの箱を開けた。
「おーなつかしいな、これ」
「私は聞いたことはありますが、見るのは初めてですわ」
俺も実は見るのは初めてだ。
名前は有名だけれども。
「良くこんなにいっぱい持っているな」
「うちは家族が多いからさ、それなりに揃っているわけだ」
そんな訳でこたつ板上に人生ゲームを広げる。
なおこたつの板は正方形なので1辺だけ俺と千咲で共有。
まあそれはホストだから別にいいだろう。
微妙にくっついてくる千咲から極力離れて角近くに陣取る。
「難しい事は何も無い。まずは自分の駒を決めてくれ。そしてお金を配ってと」
◇◇◇
人生ゲームは思った以上に盛り上がった。
1回だけでなく追加盤面もプラスしてもう一度。
どっちも俺がどべだったけれど、千咲も皆も楽しそうだったからまあいい。
2回終わった時には午後6時になっていた。
「そろそろ御飯だよね。予定では焼肉だっけ」
「あ、炊飯器スイッチ入れてない、ちょっと待って」
ゲームにかまけていて忘れていた。
慌てて俺は台所に走り、炊飯器のスイッチを入れる。
既に米と水はセット済み。
米は7合入っている。
これで足りない事は無いだろう。
「なら御飯が炊けるまでの間に、一つ提案がある」
明石がそう言ってにやりとする。
「さっきゲーム中に姫路さんが言っていたけれどさ、この家に何やらお爺さんのコレクションが眠っているらしいじゃないか。それを見て見たい」
「そんなのあったかな」
俺の記憶には無い。
「ほら、2回の西側の部屋、お爺ちゃんが昔色々集めたグッズが入っているじゃない。怪しい骨董品とか古銭とか切手とか」
そう言われればそんな物もあったような気がする。
「ただ、どうせガラクタばかりだと思うぞ」
「ひょっとしたらお宝が見つかるかもしれないだろ。テレビなんかでもよく父だの祖父だのが買ったお宝が出てくるじゃ無いか」
「ただのガラクタの可能性の方がよっぽど高いと思うけれどな」
「こういうのはロマンなんだよ」
「確かに面白そうだな」
的形さんが乗ってくる。
「でもご迷惑ならやめた方がいいですわ」
「仕分けるのが面倒でそのまま置いてあるだけだから問題無いよ」
まあそうなんだけれどさ。
「そんな訳で御飯が炊けるまでの暇つぶし、お宝発掘と行こうじゃないか」
「まあいいけれどさ」
どうせ暇だしな。
「なら行くぞ、という事で案内頼む」
「こっちだよ」
5人で階段を登って二階へ。
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