第2話 同居生活?回目
§5
別に俺は千咲の事が嫌いな訳では無い。
妹としては充分に愛しているというか好きだと思う。
幸せになって欲しいと思う。
それは間違いない。
ただ、あくまで妹としてだ。
「だからそれ以上は勘弁してくれ」
ちなみに帰りの電車の中である。
何せ俺と千咲、最寄り駅が同じなので。
「もう無理だと思うよ。これで私と千早の関係はクラス中の知るところとなったしね。これで千早に言い寄る女の子も出ないだろうし」
それは大変悲しい話だけれど、まあいい。
「問題なのは俺より千咲だと思うぞ」
「私は別に困らないから問題無いもん」
おいおいおい。
「別に私が千早の事を好きなのは知られたって問題無いし、その事であれこれ言われようが気にしないから」
いやいや。
「俺としては別に俺に固執しなくても、高校、大学とこの後幾らでも好きになれる奴が出来ると思うけれどな」
「私は千早がいいし、それで必要充分」
困ったものである。
まあこの手の話し合いは今まで何度となく平行線を辿っている訳だ。
それが今日で片付くとは全く思っていない。
でも高校第1日目にしてこんなに大々的に先制攻撃をされた日にはもう……
「あ、そう言えば見た?今日は仕事で父さんも母さんも帰れないから、どっちかの家で一緒に泊まって夕食を食べておけって」
なぬっ、と言いたいところだが、実はこういう事はよくある。
月に2~3回という処だろうか。
念の為俺は自分のスマホを確認する。
SNSには確かにそんなメッセージが入っていた。
「ならいつも通り俺がそっちの家に行くよ。一度家に帰って着替え持って、教科書とか用意してついでに買い物してから行く」
母と千咲が住んでいるマンションの方が俺と父が住んでいる家より駅に近い。
それに千咲を色々動かすのも悪いしな。
「うーん、今日は久しぶりに私がそっちの家に行こうかな。そっちの方が広いし」
まあ別にそれはかまわない。
「わかった。鍵は持っているよな」
「大丈夫、家にあるよ」
「なら買い物して帰るから、先についたら中で待っていてくれ」
「わかった」
なお2人の時の料理担当は俺だ。
何でも手を出さずにいられない母と住んでいる千咲。
自分の事は自分でやる主義の父と住んでいる俺。
どっちが料理に慣れているかは言うまでも無いだろう。
ちなみに夕食、朝食の他に明日の弁当の事も考える必要がある。
学校のパン屋は買う人が多い激戦区らしい。
いまひとつとろい千咲がちゃんと買えるか不安だからな。
コンビニ弁当を持って行くののも何だし。
そんな訳で電車を降りて、駅で別れる。
俺はここから自転車。
千咲はマンションまで歩き。
さて、晩ご飯は何にしようかな。
千咲は肉好きだよな。
そんな事を考えながら俺はスーパーへと向かった。
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