第9話

学校が始まって最初の休日。今日は、今月唯一のボランティア。ジュニアオセロ大会の受付や競技中の補助。私は、この日を楽しみにしていた。私には、ボランティアしかないと思った夏休み中から。しかし、まさかの出来事が起きる。女の子の事情による腹痛。最近、イライラが収まらなかった理由の原因ともいえる出来事。その腹痛は、動いたり座ったりするだけでも痛い。薬を飲んでも効いている気配がない。私は、痛みが増すうちにやる気を失っていった。十時になったも痛みが治まらなかったら休もう。それは、一つの賭けだったが治まることがなかった。今日のボランティアは休む。私は、少しの暇を作ってしまった。


その暇を埋めようと、とあるゲームをやりたいという欲望が湧き上がった。もともと私は、一つのリズムゲームをタブレットに入れていた。だが、イベントがないとやる気がなく、ストレス解消にも娯楽にもなっていなかった。私は、ここ一週間とあるアプリゲームをユーチューブで見ていた。それは、ボカロ曲(ボーカロイドが歌っている曲)がプレイされていた動画だった。私は、 今まで以上の興味が湧いていた。早速、そのアプリゲームを探しインストールするか迷った。しかし、もとから迷う必要なんてなかった。なぜなら、プレイできる曲が100種類もあったからだ。いや、それだけではない。インターネット上でフレンドをつくることができ、そのフレンドと一緒に同じ曲をプレイすることができるのだ。それは、私にとってかけていたものであり求めていたものだった。私は、そのアプリゲームをインストールしやり込んでいた。


始めは慣れていないのか簡単な難易度でもミスをしてしまっていた。しかし、慣れてくるとたとえ少し難してクリアできなくても快感という波が押し寄せて来た。その快感は、私を飲み込み、いつのまにかやめられなくなっていった。


そして、気づく。今借りている小説の主人公のようになっていることを。とあるリズムゲームが私を輝かせていることに。孤独の私にとって、インターネット上の友達はたとえ顔や声がわからなくても私を一人にさせないと。私は、本当の生きがいを見つけた気がした。

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