第7話

四日目の朝、右胸の痛みがあった。しかし、熱を計ってみたが正常値だった。私は心の中で、また休む方法を考えたが思いつかなかった。

「学校どうするの」

と母に言われたが、それはただの意思確認であり、どうせ強制的に行かされるため同意するしかなかった。


家から出て、もう一つの休む方法を試そうと足を滑らせ、体勢を崩したところで手提げのバックを投げ、自殺を防ぐという完璧な作戦。だが、近くの歩道橋は急ではなかったため、実行する気が伏せた。そのあともう一つの歩道橋があると思い出したが、周りにも影響があると考え全て潰れた。


私は、もうやる気が失せ、一冊の本を取り出した。その本は、三日前に学校の図書館で借りた本だった。その本は一度借りたことがあり、ページをめくった瞬間、読まなくてもいいやと思っていた。だが、その本のあらすじが書いてある裏を見ると、私と同じく、孤独感を感じる高校生が主人公だった。それはまるで、私に今後の生き方を教えるかのように。その高校生は、今私以外の女子高生ならみんなやってそうなインスタグラム(通称 インスタ)を生きがいにしていた。インスタだけが自分の居場所だと。私は、こういうものを見つけるべきだと思った。だからといってインスタを始める気はないのだけれど。


校舎に入る直前、私にとって嬉しい知らせが響いた。

「断水しました。貯水タンクの水がなくなったら完全になくなります」

それは、なぜ断水したのかわからない。しかし、水がなくなったら、全校生徒が困る。それよりも貯水タンクにはどれくらいの水が入っているのか。なぜかそこに興味を持った。


一校時目が終わったとき先生方の臨時職員会議があったという。私は、二校時目はそれで遅れるのではと期待していたが、それよりも嬉しいことが起こった。二校時目の教科担任からの第一声。

「午前中まで貯水タンクが持つか怪しいので三校時目で終了です」

私も含め、クラス中がいつも以上に騒いだ。そう、まるで私を孤独から救ってくれる神の手かのようだった。

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