第3話
夏休みに入った。今年は、彼氏とたくさん思い出作ると思っていたが、彼の部活が忙しいことぐらいわかっていた。それでも、彼を思っているだけで幸せだった。
私は、部活動の関係もあり、夏休みはボランティアの活動に専念すると決めていた。なぜなら、私たちの代から大学の入試制度が変わりボランティアの活動も内申書に書かれるからだ。私は、ほとんど、小学生に勉強を教えるというボランティアに参加していた。というのも、私は、お年寄りとか幼児が好きではないからだ。だが、一つだけ、お世話になった幼稚園のボランティアには参加した。きっと違う幼稚園では、幼児を可愛いと思えなかったであろうといっていいほど、やはり自分が幼児が好きではないと思った。
小学生に勉強を教えるボランティアは、教えているだけなのに小学生がわからない問題を解けるようになって行く姿を見ると私も嬉しくなった。そして、もう一度、このボランティアをしたいと思うようになった。
後から誘われた花火大会では、話しているうちにお互いの共通点がいくつも見つけられた。その後の花火では、あまり好きではない花火も好きになれた。また、彼の家庭の事情で早めに帰らないと行けないと知った時、涙が止まらなかった。それは、今まで生きていて彼が私にとってどれほど大切でかけがえのない人だったのかが気付けた数時間だった。
しかし、一番楽しみにしていた七夕は、彼も私も体調を崩し、一日目は行けなかった。二、三日目は、もう台風という敵が押し寄せ、彼が部活だからという理由だけでは済まされなかった。
私は、その埋め合わせがしたくて、いつ部活が休みなのか聞いた。でも、やはり忙しいのかもう二度と二人っきりでいられる雰囲気にはなれなかった。そうそれは、これから起こってしまった伏線だったかのように。
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