第2話

付き合って数日が経っても、私たちは、お互い話すことができなかった。ラインで話せるのにと二人して思ったほどだった。バスケ部待望の休みの時だって、彼は先に帰ってしまい、一緒に帰ることができないでいた。


ある日のことだった。

七夕っていつだっけ

彼からそんなラインが来た。私の住んでいる都市では、七夕祭りは8月の6、7、8日にある。今年は、平成最後ということできっと盛り上がるはずだと期待していた。私は、彼と行きたいと思いながら日にちを教えていた。

多分どれかはいけると思うんだけど、一緒に行かない?

私は、嬉しくなってそのつもりだよと返していた。その後にだって、一緒に行かなかったら、損しかないもんと添えながら。

そして、その会話の後にこんなことが返ってきた

俺もミクにたくさん会いたいな

私は、もう友達としてはなく完全に彼氏として彼を扱っていた。


それから、数日が経って、私も彼と一緒にいる時間を増やしたいと考えるようになった。その日は、球技大会の前日だった。私にとって球技は、どうでも良かったが、それは、神様がくれたプレゼントだと思っていた。二人っきりになれるプレゼントと。


球技大会当日

彼は、フットサルと障害物に参加するらしかった。障害物は二日目なため、彼の出番はフットサルだけ。フットサルは、同点がほとんどで、そのうちの一回は彼が決めていた。私は、とてつもない高い叫び声を上げていた。だが、結果は最下位に終わった。それでも、彼の決めたシュートのおかげで私は満たされていた。

そのあと、私は、ドッチボールに出た。ドッチボールは優勢で二日目の準決勝戦まで残った。私は、ただ単に逃げていただけだったけど。しかし、私は、一番の目的であった二人っきりの時間を作れなかった。それは、どこか遠慮していて、騒がれるのが嫌だったからだと今でも思う。


二日目は、決勝戦から始まった。私のクラスは、ドッチボールの他にバレーボールも優勢だった。ドッチボールは、また逃げればいいと思ったが、運悪く頭に当たった。それは、外野には入らなかったが、その痛みはひどく、彼に甘えていた。

結果は、そのどちらとも準優勝でとてつもない喜びだったけれど。

彼の障害物は昼食の後、すぐだった。トップバッターで緊張しているのにもかかわらず、彼は叫んだ。

「陸上部の人」

その声は、私の好む声の低さで一緒に二人三脚をすることができない悔しさで押し寄せていた。私は、クラスで彼氏のいる女子の背中を押し、その場を乗り切った。


球技大会終了後、私たちのクラスは、集合写真を撮ろうという話になった。私は、適当に端のほうにいたが、クラスの女子が、気を利かせ彼を私の後ろに無理やり入れた。私は、どこか舞い上がり、彼の手を取って繋いだ。始めは袖を掴もうとしたが、写真に映ってしまうことを恐れ、恋人つなぎにした。


総合順位は、五位だった。でも、私は順位よりも彼との時間が少しでもできたことが嬉しかった。

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