戻れない日々、生き抜く日々
花月姫恋
第1話
8月24日。午後三時ごろ
みく、別れよう
唐突でごめん
でも俺の中でちゃんと決めたことなんだ
正直、俺とみくはあんま釣り合わないし、俺自身部活とか忙しいから、全然会えないし
だから別れよう
私は、ラインに書かれたその一言ですべてが変わった。その日は、もうすぐ夏休みが終わり、また彼と毎日会えると期待していた。彼と過ごした、花火大会は生きてきた中で一番綺麗に思えた今年一番の思い出。そう思っていたのに。
私はそのラインが来たとき、信じられなくて、一番信用している男友達に聞いてみた。しかし、その友達からラインが帰って来るのを待つ間、どこか苛立ちを感じた。それは、裏切られたというより、自分勝手だろという苛立ち。私は、いつのまにか彼のラインをブロックしていた。
彼と出会ったのは、高校に入ったときだった。彼は、私の隣の席で、飛び抜けて仲が良かったわけではない。むしろ、前の席の男子が好きだった。その男子に、男子バスケ部のマネージャーに入らないかと言われて、一時期入っていた。そして彼もバスケ部に入っていた。
高校で初めてのALTの先生の授業の時、英語で自己紹介をしようというテーマだった。私は、数学が好きだということと、男子バスケ部のマネージャーだということを英語で伝えた。その次が、彼の自己紹介だった。彼も、私とほとんど同じことを言っていた。そこから、私たちは始まった。
私は、彼に興味を持ち、ラインを追加していいかと確認した。彼は、快く承諾してくれて、どこか嬉しかった。彼とのラインは始め、部活のことだった。先輩の名前が覚えられないなどの何気ない会話だった。それでも彼は、私のために男子バスケ部全員の名前を教えてくれた。それは、私にとって心強い男友達だった。
一週間で、マネージャーをやめてしまったけど、彼とはまだ繋がっていた。それは、好きな人のことを聞き出すことだった。どうしても、好きな人の情報が欲しかった私は、彼を利用して、二、三回ほど、聞き出した。あの時の私は、申し訳ないなどとは思っていなかった。
7月3日
私は、数日前、好きな人に間接的に告白した。月が綺麗ですねと。しかし、好きな人は、今日は満月と返ってきた。それは、その日の月のことを言っているのではないのか。反射的にそう思った。しかし、その意味を知らないのかどうかが無性に知りたくなり、彼にラインしていた。
彼は、知らないみたいと返してきた。そのあとである。
I love you.
俺はお前が好きなんだよね
彼から告白された。しかし、私は、鈍感なため、どういうことと返していた。
あんま言いたくないけど素直にいうと、付き合いたいです
それは、天と地がひっくり返されたような感覚。私は、 泣きながら動揺し始めた。どうするべきかわからず、男友達にラインしてみた。はじめは、付き合えばいいじゃんと軽くきたものの、事情を話すと優しく断ればいいときた。私は、彼という存在を失いたくなかった。クラスで唯一の信用できる人で数学が好き。その数少ない共通点な人を振って終わらせることができなかった。
私は、一日で返事を返した。というのも、その日の朝、どこか浮かれて包丁で指を切ってしまい、その恐怖で好きな人への好きな気持ちを忘れてしまったからだ。
それから、私と彼との恋人同士という関係が始まった。
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