第214話 雲江、名古屋に行って来たってさ


 木曜の夜からレンタカーで出発し、金曜の夜にホテルで一泊して、土曜の深夜無事帰宅しました。

 名古屋、楽しかったです。というより美味しかった。でも、独特な街でもありました。


 目的である中部空港セントレアと名港トリトン、熱田神宮は見学できたし、食べたかったあんかけスパとひつまぶしと喫茶店のモーニングもクリア。味噌煮込みうどんが胃袋的に間に合わなかったのが残念です。


 東京では食べられないあんかけスパですが、想像していたのと違いました。てっきり天津飯みたいな甘辛いあんがかかってるのかと思ったら違った。もっとジャンクフード的なものを想像してましたが、実際は上品な洋食風です。


 昔、ナポリタン発祥の地と言われる横浜のホテルニューグラントで食べたオリジナルのナポリタンに近い印象でした。


 すずめさんやえーきちさんに勧められたヨコイ、そこのKITTE店にいったんですが、祭日の開店前から行列してました。基本、祭日はどこも行列しているようです。

 それにしても、あんかけスパことミラカン。このネーミングでこの味というのがまさに名古屋。独特のセンスです。


 あっという間にたいらげ、ちょっと少量だったので、そのままえーきちさんに教えてもらったラーメン屋の「麺屋獅子丸」まで行きました。


 街道沿いに歩いていくと、はるか遠くから黒い行列が見えてビビる(笑) 並ぶこと約一時間。頂いたのは伊勢海老ラーメン。本当は味噌ラーメン食べたかったんですが、売り切れでした。


 店内では、若い人が普通の調子で楽に働いていて、外の行列とは別世界のよう。出てきた伊勢海老ラーメンは、てっきり海老が、シャチホコみたいにどどーんと乗っているものを想像したのですが、ん?ってくらい大人しいビジュアル。が、ひと口すすると、あり得ないくらい海老の風味、いや突風が。


 なんか高級フレンチみたいでした。こんな上品で濃厚で芳醇なラーメンがあるんですね。これを啜る時間は、まさに至福の一時です。クリーミーで奥深く、そのくせカリっカリに海老の風味で。

 チャーシューではなくて、あれはローストビーフなんですかね。単体でもおいしいけれど、これがスープに絡まると、これまた格別。でも、ちゃんとラーメンなんですよね。不思議だ。


 ぼくはラーメンの行列に並ぶことはあまりないのですが、納得しました。

 ──世の中には、行列に並ばないと手に入らないものがある、と。


 二日目の昼には、ひつまぶしを食べたんですが、すっごく大きかったんです。よく見ると、品書きでは「櫃まぶし」になってました。たしかにお櫃に入っている。

 久しぶりでしたが、やはり鰻はおいしい。しかも、ご飯の上にがっつり敷きつめられている。


 食べ物もおいしいんですが、名古屋は歴史もありますね。

 名古屋城、名城っていうんですかね?も行ってきましたし、あとは徳川美術館。


 名刀が展示されているのですが、正宗、村正、虎徹がそろってる……。さすが徳川家。持ってるもののレベルがちがう。

 熱田神宮の草薙館にも名刀が多かったですが、あちらが金将銀将をずらりと並べているとするならば、徳川美術館は飛車角をそろえている感じ。すごいです。


 妖刀村正ですが、徳川家から忌み嫌われていたということなのですが、実際は家康も所持していたらしく、展示の解説によると妖刀伝説は後世の創作であろうと。


 が、しかし。

 展示されていた村正の迫力が凄かった。のたれた刃紋が呪われたようにうねって鎬の上にまでかかっていて、見ていて両肩から背筋に悪寒が走りました。

 いやこれ、まさに妖刀だろ。妖刀と言わずして、何と言う?

 目録や資料がどうなっているか知らないけれど、目の前にあるこれは、確実に妖刀。すげーもん見ちまったよ、名古屋の地で。


 宿泊は栄のホテルに泊まったんですが、あのあたりは東京で言うと歌舞伎町に似てますね。夜中から朝方まで活動中。とくに深夜のタクシーの行列が歌舞伎町と同じ。


 そんな時間帯に、栄ではちょっと異質の、ただし他の都市では一般的なBARで三杯いただきました。他に客が一人もいなくて、入るのちょっとビビりましたが、ちゃんとたBARでした。

 そこのマスターの作るマティーニがすっごく甘くて驚きました。基本マティーニって激辛ですからね。

 マスターの好きなカクテルらしいです。

 楽しい会話もはずみました。


雲江「……それで、名古屋駅まで移動したんですよ」

マスター「名駅ね」


 どうやら名古屋では、名古屋駅を「名古屋駅」というと「名駅」に訂正されるらしい。



 今回の旅行では、空港へ行ったり神宮へ行ったりと移動する必要があったので車で行きましたが、次に行くことがあれば電車ですね。なにせ、車だと酒が飲めない。


 味噌煮込みうどんを筆頭に、まだまだ食べ残したものがありますからね。今回もなかなか楽しい旅行でした。





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