第211話 『ピーチ+1』プロット実況①



 新作のプロット実況なんですが、どこまでやるか分かりません。また、内容に関するネタバレを含む可能性もありますのでご了承ください。

 ネタバレに関しては、じつは以前やった『ときめき☆ハルマゲドン』のプロット実況で、ネタバレしないように内容に触れなかったら、あとで読んで、自分でも何が何だかわからなかったという反省からです。

 でも、極力ネタバレは避けますね。


 ということで、次回作『ピーチ+1プラスワン』のプロット実況第1回目です。いつもどおり、第二回以降があるかどうかは不明です。

 タイトル表記は『ピーチ+1』でいこうかと思ってます。そもそもが冒険小説を書きたかったので、名作『深夜プラスワン』にかけて「+1」ではなく「プラスワン」表記をしたかったのですが、それだと「ピーチ」と被るので、『ピーチ+1』にしようと思ってます。



 『ピーチ+1』のアイディアは古く、おそらく映画『ダイハード』から始まる、当時流行った「テロリストがいろんな場所を占拠する」話をやろうと考えたのが始まりだと思います。年代的に、現在連載中の『エンジェル・ジェネレーション』の次に書く予定の長編だったのかな?と思います。


 ただ、プロットで苦労したり、『エンジェル・ジェネレーション』を書いた後の激しいバックファイヤーにやる喪失感と小説を書けない時期などが重なって、アイディアだけ、プロットだけが何年も、いや何十年も放置されてしました。


 ただし、何度かプロットは洗いなおされ、頑張って書こうとし、実際に書き始めたことも二度ほどあったはず。ただし、結局書き続けることはできずに、いろんなアイディアや設定ばかりが累積されて、もうどうにもならなくなってました。


 この作品と同時期に、作りはしたけれどもうどうにもならなくて凍結されていた他の作品に、『刀剣オカルトMØDE』があるのですが、あっちはなんとか形にできました。まあ、良作とは言い難かったですが。


 何年か前に『刀剣オカルトMØDE』を形にできたとき、つぎに『ピーチ+1』も、と思ってプロットとアイディアを洗い直し、その過程はすこしこのエッセイで書いたと思います。

 そのとき、もともとのアイディアに「オーパーツ」という要素を入れ、「本屋の棚に穴を穿つ」作品として書こうとしました。が、これも、上手くいなかったのか、スケジュールが合わなかったのか、放置されています。



 さて、話を30年以上前にもどしましょう。

 当初、『ピーチ+1』は、冒険小説として書こうと思ったアイディアです。

 映画では、『ダイハード』、『沈黙の戦艦』、『トイ・ソルジャー』、『スピード』といった、テロリストがいろんなものを占拠するこれらの話をもとに、小説では、初めて邦訳されたスティーブン・ハンターの長編『真夜中のデッドリミット』、ロバート・ラドラムの『暗殺者』、あとは作者省略しますが、『グランド・マスター』、『奪還チーム』シリーズ、『追跡者犬鷲ベルクート』、『レッド・ドラゴン』、『新宿鮫』、そして『深夜プラスワン』。

 これらの、まさに読まずに死ねるかというような名作たち。それらへのオマージュやリスペクトがたくさん散りばめられていました。



 ただし、リアリティーのある話でそれをやるのは大変だなという逃げから、主人公を人狼にした記憶があります。


 本作は、『深夜プラスワン』がバディー物であることから、二人の主人公が設定されており、ひとりは人狼、もうひとりは記憶を失った暗殺者です。この記憶喪失の暗殺者は、もちろんロバート・ラドラムの『暗殺者』からもってきています。


 そして、テロリストが占拠する場所は、高層ビル→バス→学校→ディズニーランド→旅客機、というのが初稿のアイディアでした。

 そして、人狼の少年と記憶を失った暗殺者の少女が、これらをつぎつぎと開放していく。



 若い頃のぼくはこのプロットを面白いと思っていたのでしょうね。が、このプロット、いま見ると欠陥だらけです。


 まず、テロリストは何のためにこれらの施設を占拠するのでしょう? そして、人狼の少年と暗殺者の少女はなぜテロリストと戦うのでしょう?

 すなわち、彼らの目的は何か? 目的を持たないキャラクターで、小説は書けません。


 このプロットは、話になりません。事実、プロットとしてなんとか完成させようとするのですが、すごく苦労しました。ただ、それでも大枠のプロットは作ったんじゃないかな? そして、小説として書き始め、結局途中で筆は止まりました。……だろうね。



 さて、時は流れ、二、三年前。

 このプロットを書き直して、なんとか物にしようとぼくは考えました。その経緯はもしかしたら、このエッセイに書いてあるかも知れません。

 このときに、作った一行プロットがたしか、「人狼の少年と、記憶を失った暗殺者の少女が、オーパーツを動かす」だったと思います。


 ここで、オーパーツという要素を入れました。あのとき作ったプロットは、水晶髑髏がなんか怪物になるような、そしてそれが世界を破滅させるような、なんかそんなようなプロットだったような、なかったような……。

 なんにしろ、そのときのノートは引っ越しのときに捨ててしまったみたいなので、もう分かりません。

 で、とりあえずこれを第二稿とします。



 と、ここまできて、やっと現行のプロットの話になるのですが、数えるとこれが第三稿になるのでしょうか。


 まず、大前提として、今までの小説の書き方が、「これでは駄目だろう」という最近の気づきからスタートしています。これ、『ときめき☆ハルマゲドン』を書く前も言っていましたが、ほんと自分、これの繰り返しです。



 まず、『ピーチ+1』のプロットのどこに、そもそもの問題があったかということです。これは、アイディアの次にキャラクターが作られていることです。


 今までのぼくの小説の作り方は、アイディアのあと戦略プロットが書かれ、つぎにキャラクターが作られ、のちに戦術プロットとなっていました。


 が、『ピーチ+1』は、テロリストがいろんな場所を占拠する話を書こうというアイディアのつぎにすでに、記憶を失った暗殺者と人狼が来ています。また、それとほぼ同時に「どこを占拠するか」のアイディア出しとその順列が来ています。


 すなわち、戦略プロットがありません。少なくとも、「テロリストがいろんな場所を占拠する」はプロットたりえません。



 という失敗を踏まえ、第三稿のプロットです。

 まず、ピーチと+1だけでは、ストーリーが組めないので、警護対象を作りました。いわゆる『シティーハンター』における依頼人です。ゲストですね。ピーチと一徹が、その対象を守ります。


 また、物語のリアリティーを下げるために、オーパーツを多用するつもりです。そう、あの名作コミック『スプリガン』のように。


 もともとリアルな物語を作るのが大変だからと人狼を入れたのですが、そうではなく、わざとリアリティーを下げるために、オーパーツをふんだんに取り入れます。


 理由は、読者に、ふだんの日常や現実をすっかり忘れてもらえるような突飛で爽快な物語を書くためです。リアリティー度でいうと、「ああ、あるある」という物語ではなく、「そんなバカな(笑)」と思われるような滅茶苦茶な話。

 そう、『ルパン三世』のように、本屋の棚に穴をあける物語です。


 そのためのキーとなるキャラクターとして、警護対象の早乙女海蕾みらいという女性を作りました。


 また、世界を破滅させるアイディアを3つ出して、うち2つを採用。1つを没にしました。没にしたのは、「ニコラ・テスラの地球二分割破壊法」。でもこれも、いずれやりたい。


 という流れで戦略プロットを作ったのですが、少し長くなったのでその話はまた次回にします。


 おっと、どうやら実況➁はありそうな予感ですね。




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